一般行員が謎を解明してライバルを打ち倒すパターンが多い池井戸さん。
このため、庶務行員に焦点を当てた今回の作品は面白かったな。
不正を暴き自分を辞職に追いやった人間に仇をうつために、主人公の恋窪氏が東奔西走する姿に心から応援したくなります。
勧善懲悪ものや池井戸さんが好きな人には面白い作品だと思いますよ。
ただ、結末があまりにもあっけなく終わるのが残念ですね。
<目次>
庶務行員
貸さぬ親切
仇敵
漏洩
密計
逆転
裏金
キャッシュ・スパイラル
◎1963年、岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部・法学部法律学科卒。1988年、三菱銀行(当時)に入行。1995年、同行を退職。コンサルタント業のほか、ビジネス書の執筆を手がける。
1998年、『果つる底なき』(講談社文庫)で第44回江戸川乱歩賞を受賞
55P
「アドバイスと言えるかどうかわかりませんが、事業計画が出されたときには、二つの視点で目を通してみることですよ。一つはこの計画を信用する視点、もう一つは徹底的に疑ってみる視点です。信用するのは簡単ですけど、疑うのは難しい」
111P
「叩き潰してやる」
そう言っていた。
忘れようとしていた。庶務行員という新しい仕事を得て、あの東京首都銀行時代の様々な軋轢や蹉跌を忘れようとしていた。
だが、いま恋窪はそれが不可能なのだと知った。
人生の途中でやり残したことがある。それをやり遂げなければ、恋窪に新しい人生は訪れない。いま恋窪ははっきりそれを悟っていた。
