朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -179ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。



リアリティさの内容と非現実的であってほしい内容との矛盾を孕んだ小説です。




繋がっているからこそ、前著の「原発ホワイトアウト」を読んでからこれを読んだほうが断然面白い。




東日本大震災の教訓を活かしているのか!と、再度、彼から警笛を鳴らしています。




同じ悲劇を繰り返してはいけない!




「愚者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ」




この大切さを彼が強く訴えているように感じてなりません。




 <目次>


プロローグ

第1章 避難計画の罠

第2章  洗脳作業

第3章  電力迎賓館

第4章  発送電分離の闇

第5章  天皇と首相夫人と原発と

第6章  再稼働に隠された裏取引

第7章  メルトダウン再び

第8章  五〇人の決死隊

第9章  黒い雪

第10章 政治家と官僚のエクソダス

第11章 無法平野

第12章 裏切りの国政選挙

終 章  東京ブラックアウト




◎東京大学法学部卒業。国家公務員Ⅰ種試験合格。霞が関の省庁に勤務。著書に「原発ホワイトアウト」がある。





「過去に目を閉ざす者は、現在に対しても盲目となる(リヒャルト・フォン・ワイツゼッカー)」





9P


「このあと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ……いや、土下座して頼むっ、おまえと芳樹だけは、何とか生き残ってほしいんだ。原発再稼働が殺すのは、実は大都市の住民なんだ!」

248P


官邸のオペレーションルームでは、爆発が起きた原発災害を指揮するよりも、むしろ首都圏のパニック鎮圧の方策に、力点が移っていた。


戦争、内乱、恐慌、大規模な自然災害など、平時の統治機構をもって対処することが困難な非常事態には、国家の存立を維持するために、国家権力が憲法秩序を一時停止して、非常措置をとることが必要だ。この非常措置をとる権限が、国家緊急権として、諸外国の一部では憲法に明記されている。


しかし日本の場合、国家緊急権は、現行日本国憲法のもとでは規定されていない。(中略)


しかしパニックの現実を前にしては、このような個別の規定は、まったく無力なものであった。平常時の想像力では予期できない出来事、それが次々起こるのが、まさに国家存亡の危機なのである。





“こともなし”好い言葉。



当たり前の毎日がすばらしい!



じつは、それがなかなかわからないんですよ。



この本を読んで、平凡な毎日がほんとうは幸せだったんだなとじわっととわかります。



主人公の生き方や考え方が、ぼくのと重なって共感することができて、また身につまされるような感じもよかったな



 <目次>


もうひとつ 44 


月が笑う 4581 


こともなし 83119 


いつかの一歩 121154 


平凡 155194 


どこかべつのところで 195222





◎1967年神奈川県生れ。早稲田大学第一文学部卒。

90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、97年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年に産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年に路傍の石文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞を受賞





90P


母性というのは、抱きしめたいとか、頬ずりしたいとか、噛みつきたいとか、そういう気分ではなくて、この、泣きたいような気分のことを言うのではないかと聡子は思うことがある。そのほかのことにはかわいいからという理由があるが、泣きたいという気分の理由だけはわからないからだ。母性は、聡子には未だわからない分野のものである。



118P


鼻の先と耳の縁が、冷たすぎて痛む。島谷玲香を見に行った日のことが思い出される。あの日私は、私を見にいったのではないかと聡子は思いつく。つまり「もし」で別れた私だ。私の選ばなかった私。けれどそこにいたのは、当然ながら私ではなく、私と等しく加齢し、私と等しく「もし」を踏み越えて今に到着し、私と等しくときどきかつてを思い出しては「もし」の手前と、そこで別れたどこにもいやしないもうひとりの「私」に思いを馳せる、ひとりの女だった。



119P


やがて道の先にマンションの植え込みが見えてきて、その向こう、赤いランドセルが花のように揺れているのを聡子は見つける。すべて世はこともなし。泣きたいような気分で、聡子は思う。








ここは、法廷なのでしょう。



二人の男女が映っています。



お互い後ろ向きで。女性の髪は乱れて手で顔を覆っています。



この場面が、この小説を如実に語っていますね。



“ダブル・フォールト”のようなテニス用語に関係する場面も出てきます。



“さわやかな感動を呼ぶミステリー”との紹介があり……。



◎1961年生まれ。アニメーション制作に携わった後、91年『連鎖』で第37回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。


96年『ホワイトアウト』で第17回吉川英治文学新人賞、97年『奪取』で第10回山本周五郎賞と第50回日本推理作家協会賞、2006年『灰色の北壁』で第25回新田次郎文学賞を受賞






90P


人は、生きていけば笑いもするし、怒りを他人にぶつけてしまう時だってある。些細な感情のもつれから恨みや妬みが生じ、人間関係のホコリとして積もっていく。


「確かにそうですよね。重箱の隅をつつかれれば、僕だって恥ずかしい過去ばっかりです」




240P


「おっと―それが貫けないから悩んでいるなんて、学生みたいな弁解は聞きたくないぞ。理想のために努力できない弁護士なんか、誰が頼ってくれるものかよ。食事ものどを通らないほど悩んでいるのは、依頼してくる人たちのほうだ。弁護士は悩むのが仕事じゃない。ただ法律を偉そうに解釈するのも仕事とは言えない。おれたちは知恵と技術を駆使して、依頼人の背中を時に優しくさすり、時にはたたいて応援する。たとえ裁判に負けても、力を合わせて精一杯に立ち向かうことで、依頼人が力強くその先へ歩いていけるように手伝う。それが仕事だと、おれは信じてるけどな」


364P


そうだとも、僕らはまだやり直せる。

少し力を入れすぎたせいで、最初のサーブを失敗したにすぎないのだ。

僕は自分にうなずくと、震える彼女の肩を、そっと抱しめた。






姫川玲子シリーズの短編集。



今回は、あまりダークで、ディープで、グロくはなく、柔らかくコミカルな感じに楽しめる内容でなかったかと。



自作も楽しみにしています。



 <目次>


Color of the Dark 345391

Female Enemy 73131

Index 163210

In the Dream 303343

Reiko the Prober 279302

Share 211277

The Cafe in Which She Was 133161

Undercover 72




◎1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。

2002年、『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。2003年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞




209P


気づかぬうちに、自分はこうあるべきという型に自分を押し込めてしまう。その型は次第に厚みを増し、硬さを増し、自身でも容易には脱ぐことのできない、重たい鋼の鎧になってしまう。さらに怖ろしいのは、そうなった状態が自分にも、第三者にも認識できないということだ。鋼の鎧は、そもそも自分の頭の中にしか存在しないのだ。


目標を持ち、それを達成しようとする。それ自体は素晴らしいことであり、人とはそうあるべきだと、玲子自身も思ってきた。しかしその意欲が知らず知らずのうちに、自分の精神や肉体を壊死させる危険性があるのだとしたら、人は一体、何を道標にして日々を生きればよいのだろう。がんばらないのは駄目、でもがんばり過ぎても駄目。ではその線引きは、どうやって見極めたらよいのだろう。誰なら見極められるというのだろう。

隣りで「うーん」と井岡が首を捻る。



これで約19冊目となりました。


わかりやすく噛み砕いて伝える、ジャーナリストの池上彰さん。

ぼくは尊敬しています。


経済の視点から、日本の歴史や日本に関する世界の歴史をわかりやすく読み解いてくれています。



歴史の理解が深まるし、まなびあいに飽きがこないと思います。

こういう面白い講義を何回も受けたいと思えるような内容です。





説明する言葉の何倍もの知識を周辺に持っていることを行間から読み取ることができます。



彼の言葉には奥深い含蓄があります。



もちろん難しいことをわかりやすく説明し解説をしてくれます。



このような人物を世間が求めているのがよくわかりますよ。



だからこそ、マスコミや大学でも引っ張りだこなんですね。




簡単なことは当たり前のように、難しいことをいとも簡単にわかりやすく噛み砕いて説明してくれます。



物事の本質を深く理解しているからこそですね!



彼の物事をわかりやすく「伝える力」には、読んでいていつも敬服していますよ。




先日、映画「武士の家計簿」の原作者でもある、歴史家の「磯田道史」さんにお会いすることができました。



かねてからの念願であったので、とてもうれしかったですね。



はからずも彼と歴史談義に花を咲かせることができたこの濃密な時間はとても楽しかったのです。



チャンスは、準備していると目の前にやってくるものです。



これからもそのチャンスを取り逃さないようにしていきたい!




上さんにお会いしてお話できることを願いつつ期待をしながら行動をしていきたいな!





 <目次>


はじめに 


プロローグ 経済学を学ぶということ


1 経済、そして経済学とはそもそも何か

2 廃墟から立ち上がった日本

3 東西冷戦の中の日本

4 日本はなぜ高度経済成長を実現できたのか

5 高度経済成長の歪み―公害問題が噴出した

6 バブルが生まれ、はじけた

7 社会主義の失敗と教訓―ソ連、東欧、北朝鮮

8 中国の失敗と発展


おわりに



◎ジャーナリスト、東京工業大学教授、愛知学院大学経済学部特任教授。

1950年、長野県生まれ。

慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年から11年間、「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーに







石川県にある温泉旅館「加賀屋」さんは、

ひと言で言うと「非日常でありながら家のようにくつろげる場所」かな!




その加賀屋さんのおもてなしの心を脳科学者が脳科学を使って明快に解説をされています。




日本一の「おもてなしの心」を持った旅館だからこそ、

ぼくは一生のうちに一度は、行きたいし泊まってみたいな。




 <目次>


はじめに


第1章 「おもてなし」という日本の強み―さりげなくも最高の気配り・心遣いを加賀屋で体験(置き忘れたiPhoneがすぐに届いた、さまざまな気配り ほか)


第2章 加賀屋では「おもてなし」をどう教えているのか―「気づき」を生む余裕をどうやってつくっているのか(「正確性」と「ホスピタリティ」、「おもてなしの心」は訓練で身につくのか ほか)


第3章 「おもてなし」の心は育てられるのか―形から入って本質を追求することの意味(言葉を覚えて、所作へと進む、形から入ることの意味 ほか)


第4章 世界に通じる「おもてなし」のために―「おもてなし国際化時代」の脳の使い方(世界に浸透している日本の文化、そのままの形で受け入れられる ほか)





◎脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。

1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職





2P


人間の脳は、他者と向き合うことを通してこそ、自分のことを認識できる。グローバル化の中で、異なる文化、伝統を持つ人たちと交わることで、私たちはかえって、日本とは何か、日本人とは何かということに、立ち返っていくのだろうと思う。


150P


男性も女性も「お母さん力」や「ホスピタリティ」を身につけると、人間的に大きく成長する。「人に喜んでもらうとうれしい」とか「自分以外の誰かのために何かをしたくなる」というのはもともと人間が持っている特性なので、教えられたり発揮する機会が増えてくると、眠っている能力が開化するのだ。




182-183P


ストレスをなくす方法は、はっきりしている。

まず自分の努力によって結果が変わることと、そうでないことを峻別する。前者に対しては全力で努力する。つまり自分がコントロールできることについてはベストを尽くす。できないことについては諦める。できることについてベストを尽くした結果、うまく行かなかったら諦める。この整理ができれば、ストレスがなくなるのである。




やっと読むことができたのでうれしい。



ずっとなかなか手に取れず読めなかった本。



東野さんは、読むのを途中でやめることができません。



この本の中に引きこまれますね。



終わりまで読まないとそれまでの起こった意味が繋がらないしその証拠もわからない。



けっこう重い作品ですよ。



堕胎と殺人と死刑制度について考えさせられ……。




罪を背負っていくことの辛さ、その罪の償い方について考えさせられ……。




人の生き方について考えさせられ……。




虚しくて悲しい物語なのか。



加害者の家族も遺族も「虚ろな十字架」を背負っていく……。





◎1958年大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒。85年「放課後」で江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。「容疑者Xの献身」で直木賞、「祈りの幕が下りる時」で吉川英治文学賞を受賞。





153P


「人を殺した人間は、計画的であろうとなかろうと、衝動的なものだろうが何だろうが、また人を殺すおそれがある。それなのにこの国では、有期刑が下されることも少なくない。一体この誰に、「この殺人犯は刑務所に○○年入れておけば真人間になる」などと断言できるだろう。殺人者をそんな虚ろな十字架に縛り付けることに、どんな意味があるというのか。


懲役の効果が薄いことは再犯率の高さからも明らかだ。更生したかどうかを完璧に判断する方法などないのだから、更生しないことを前提に刑罰を考えるべきだ」




300-301P


「人を殺めた人間の自戒など、所詮は虚ろな十字架でしかないのに。だけどたとえそんな半端な十字架でも、せめて牢屋の中で背負ってもらわなければなりません。この罪を見逃せば、すべての殺人について見逃す余地が生じることになります。そんなことは絶対に認められませんから」



326P

井口沙織の部屋には樹海の写真が飾られていたという話を中原は思い出した。彼女にとって、その写真は大切な遺骨だったのだろう。



この本は、夢中になって読みすすめることができます。




本屋さんに関係するエピソードや人との出会いがすばらしい!




喜多川先生が伝えたいことがこの物語を通してじんじんとぼくに伝わってきました。




自分を前向きに変えたいとか、さらに成長したいと考えている人にヒントが得られる本ですね。



172P

「目の前の人の人生に興味を持ち、愛情をもって話しかける、自分の家族のように」


他人の幸せのために仕事をすることが、これほど大きな人の流れをもたらすのかという驚きは、その後も、その店に訪れるたびに肌で感じることができました。



 <目次>


第一話 長船堂書店の危機

第二話 出会い

第三話 再会

第四話 好転

第五話 迷い

第六話 種と花

第七話 奮闘

第八話 奇跡

あとがき

文庫化によせて

解説 読書のすすめ 清水克衛





◎1970年生まれ。愛媛県西条市に育つ。東京学芸大学卒。

98年、横浜市に学習塾「聡明舎」を創立。人間的成長を重視した、まったく新しい学習塾として地域で話題となる。

2005年に作家としての活動を開始。執筆活動だけでなく、全国各地で講演を行い、連続講座「親学塾」も毎年全国で開催中。現在も横浜市と大和市にある聡明舎で中高生の指導にあたっている。





15P、166P

誰に教わるわけでもなく福の神を呼び寄せる方法を知っていました。それは、

「人知れず(他の人のために)いいことをする」

「他人の成功を心から祝福する」

「どんな人に対しても愛をもって接する」



34P

「人間は僕たちの想像を超えて、ほんの一瞬で成長することができる存在である」



71P

人間が一番成長できる瞬間、それは人と出会うときです。

大切なことは、どんなときでも行動する勇気を与えてくれる人と出会わせること。



91P

「成功したことを心から楽しんで生きている人に触れることである」







優しさが満ちあふれていてこころ温かくなる家族の物語。



こういう物語ならまたいつか見てみたいな!




 <目次>


「妹」という祝福 34

サイリウム 3572

私のディアマンテ 73111

タイムカプセルの八年 113167

1992年の秋空 169210

孫と誕生会 211260

タマシイム・マシンの永遠 261275




◎1980年生まれ。千葉大学教育学部卒業。「冷たい校舎の時は止まる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。「ツナグ」で吉川英治文学新人賞、「鍵のない夢を見る」で直木三十五賞を受賞。



91-92P


誠実そうな目が、鋭く輝いていた。


ああ、この人は見た目が野暮ったいけど、よく見るときれいな人だ、とそこで初めて気づいた。


えみりと同じだ。


あの子は、とてもきれいな肌や、髪や、瞳をしている。親の贔屓目だとは思わない。あの子はダイヤの原石で、磨けば光るのに、まだ自分でそれに気づいていない、危なっかしい子供なのだ。






アイネクライネナハトムジーク=ある小さな夜の曲


モーツァルトの曲の中にありますね。


彼の楽曲の中でも非常に有名な曲の一つ。



短編集で、ひとつひとつが優しいお話。



それぞれの話におもしろみがあります。



読み進めていくと、登場人物が繋がりはじめます。



これはわりと軽く読める本です。



 <目次>


アイネクライネ 44


ライトヘビー 4585


ドクメンタ 87121


ルックスライク 123165


メイクアップ 167210


ナハトムジーク 211282




◎1971年千葉県生まれ。「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。「ゴールデンスランバー」で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞を受賞





110P


一度目の偶然は許されるが、二度目の偶然は許されない。藤間は以前、古い本を読んでいた際、推理小説家がそう述べているのを読んだことがあった。現実には、偶然が重ねることなどいくらでもあるように感じられたが、推理小説の作法としては誤りなのだろう。


今回は、と藤間は出勤前に玄関のカレンダーを眺めて、思った。今回は。偶然に期待するのではなくて意図的に、あの女性と再会してみようか、と。





179P


よろしくお願いいたします。とお互いが穏やかに挨拶をし合うのは、平和な瞬間に感じられた。果たして、この会社がプレゼンで、仕事を得るのかどうか分からないのだから、どこか申し訳ない気持ちになる部分はあった。二股をかけ、どっちつかずの対応をしているような、もちろんそういった経験はないものの、罪の意識を覚えた。


「そのこと」に気づいたのは、名刺交換の終わりかけだった。息が止まるほどの驚きを感じたにもかかわらず、声を上げるのをこらえ、挙動不審になることもなかったのは、自分を褒めてあげたいほどだった。頭の中が空っぽになるというよりは、脳の中で、目に見えぬ何かが炸裂し、言葉という言葉が散り散りになったのを必死に掻き集め、どうにかこうにか平静を装い、挨拶をした。