姫川玲子シリーズの短編集。
今回は、あまりダークで、ディープで、グロくはなく、柔らかくコミカルな感じに楽しめる内容でなかったかと。
自作も楽しみにしています。
<目次>
Color of the Dark 345-391
Female Enemy 73-131
Index 163-210
In the Dream 303-343
Reiko the Prober 279-302
Share 211-277
The Cafe in Which She Was 133-161
Undercover 5-72
◎1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。
2002年、『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。2003年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞
209P
気づかぬうちに、自分はこうあるべきという型に自分を押し込めてしまう。その型は次第に厚みを増し、硬さを増し、自身でも容易には脱ぐことのできない、重たい鋼の鎧になってしまう。さらに怖ろしいのは、そうなった状態が自分にも、第三者にも認識できないということだ。鋼の鎧は、そもそも自分の頭の中にしか存在しないのだ。
目標を持ち、それを達成しようとする。それ自体は素晴らしいことであり、人とはそうあるべきだと、玲子自身も思ってきた。しかしその意欲が知らず知らずのうちに、自分の精神や肉体を壊死させる危険性があるのだとしたら、人は一体、何を道標にして日々を生きればよいのだろう。がんばらないのは駄目、でもがんばり過ぎても駄目。ではその線引きは、どうやって見極めたらよいのだろう。誰なら見極められるというのだろう。
隣りで「うーん」と井岡が首を捻る。
