表紙を見ていると、たくさんの花の中からどくろが顔を出しています。
なんとなく不気味ですね。
この本の中身を暗示しているかのようです。
例えば、第3章からの「五時六十一分」の意味する内容はなになのか?
“午前六時一分”にならないのか?などと考えながら読み進めていくと、その意味がやっとわかってきます。
それがこれに嵌ってしまう一つのトラップなのかもしれない!
この話の先があんまり読めなかった。
怪しいのは誰か!?と連城さんから宿題が出されてきます。
話しの流れが二転、三転しながら夢中のなかで惑わされ続けました。
それが連城さんの技なのでしょう。
この本は、連城三紀彦さんの遺作でした。
連城さんのご冥福を謹んでお祈りいたします。
<目次>
第1章 午前五時五十九分
第2章 午前五時六十分
第3章 午前五時六十一分
第4章 午前五時六十二分
第5章 午前五時六十三分
第6章 午前五時六十四分
第7章 午前五時六十五分
第8章 午前五時六十六分
第9章 午前五時六十七分
第10章 午前五時六十八分
◎1948年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。『変調二人羽織』で幻影城新人賞、『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、『恋文』で直木賞、『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。
ミステリー、恋愛など作品の分野は多彩。37歳の時に仏門に入り、僧籍を持つ。
2013年10月19日逝去
478P
いつの間にか壁の絵へと向けていた虚ろな視線を直行の顔へと移し、森脇は唐突に「どちらにしろ処刑だったんですよ」と言った。
直行は無言の目でその意味を問い返した。
「お兄さんが自分の体をバラバラにして遺棄させるという特殊な、残忍な……誰より自分にとって残忍な自殺法をとっているのではないかと考えた時、それは自殺とか復讐というより、処刑だという気がしたんです」
「……」
「自分の処刑であると同時に、自分を裏切った二人の処刑なんだと……」
499P
義姉が何か言ったが、その声をひどく遠くに聞き、自分がどこにいるのかも忘れ、直行はただ、果てしない闇を流星のように貫いて、どこまでも……燃えつき、力つきるまでどこまでも飛んでいく一羽の蝶を追い続けた。
