朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -157ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医、華岡青洲。

 

麻酔の発見に自分の嫁と母親を実験台として使ってこれによって妻が失明します。

 

妻と姑との確執があり数々の心理バトルが繰り広げられます。

 

以前、嫁の加恵は、姑の於継に憧憬の想いを抱いていました。

夫が戻ってくるまでの三年間はまるで本当の母娘のように仲良くしていたのにかかわらず、

青洲が留学から帰った途端、於継の加恵への態度は冷淡なものとなりました。

於継は、青洲が一番と考えていたからです。

母親にとっての息子というのは、かくも可愛いものなのでしょうか。

 

加恵の中での於継への憧憬や敬愛は、凄まじいほどの憎悪へと変わっていくのです。

 

加恵と於継だけでなく、この二人の女と青洲との間を一歩引いて冷静に眺めていた小姑の小陸の存在は重要だ。

 

「私は嫁に行かなんだことを何よりの幸福やったと思うて死んで行くんやしてよし。(中略)女二人の争いはこの家だけのことやない。どこの家でもどろどろと巻き起り巻き返ししてますやないの。嫁に行くことが、あんな泥沼にぬめりこむことなのやったら、なんで婚礼に女は着飾って晴れをしますのやろ」

 

二人の女の争いを気づかずに見て見ぬふりをし、医学の進歩のことしか頭にはなかった青洲の徹底した姿から、冷徹とも不気味にとも感じとりました。

 

他の作品も読んでみたくなるほど、切れ味や迫力、筆力があり、

やはりこれは名作だ。

 

 

「朝活」といえば、池田千恵さんのことを思い出します。

朝活を世に広めた先駆者さんですから。

 

朝活手帳を利用してから2年ほど経ちました。

 

朝活手帳に書かれてある文章をベースに書かれてあります。

今まで彼女の手帳を継続して使われている方にとっては再読するような内容もあります。

手帳を継続して利用していくためのエッセンスが詰まった本です。

この朝活手帳とともに近くに置いて、迷ったときなどにときどき参照するのがいいのかも。

 

「時間管理とは『しない』を決めることだ」

 

限られた一日の時間を上手に使いこなすためには、何をするかよりも何をしないかという観点が素晴らしい。

時間や心の余裕の積み重ねが人生においての「余白」を作るのです。

 

早朝は、ポジティブになります。

 

「これはできない」「あれは無理だ」などネガティブであった考えが、早く寝たあとの翌朝には「これはできる」「あれは大丈夫」というようなポジティブな考えに変わっていたことがあります。

 

 

ぼくは、早起きした朝にこの余白をつくりたい。

 

自分の意志で冷静な自分を取り戻すこの「余白」が大切だとわかりました。

 

 

 

262-263P

朝の余白は、心のよどみを取り去る時間です。あふれる情報を流れ込むままに「あれもこれも」と受け入れるのを、朝だけはやめてみませんか?

静かに取捨選択していき、あなた本来の希望や想いを見つけていきましょう。よどみが取り除かれたあとの、まっさらな心と身体には、きっと新しい経験やよろこびがぐんぐん入っていくことでしょう。それらがまた熟成され、あなたのなかで、新たな活力や創造力へと変化をとげていくことを、楽しみにしています。

この本が、あなたの未来のためにお役に立つことができたら、これほどうれしいことはありません。

 

 

 

 

※朝活手帳とは、徹底的に朝活に特化した朝の専用手帳。朝活第一人者が提案する早起きする人のための手帳。

朝の時間は自分の時間!上手に早起きをして人生を楽しくデザインしよう!

自分のなかのモヤモヤを解消すれば、やるべきことがスッキリ見えてきます。

自己投資する時間が増える!段取り力が身につく!ムダな残業がなくなる!趣味の時間が増える!など。

 

 

 <目次>

はじめに

序章 なぜ、朝の余白が必要なのか

第1章 人生の余白をつくる

第2章 身体に余白をつくる

第3章 仕事に余白をつくる

第4章 勉強に余白をつくる

第5章 人間関係に余白をつくる

第6章 家族関係に余白をつくる

おわりに

 

 

 

 

 

株式会社朝6時代表取締役社長。福島県生まれ。二度の大学受験失敗を機に早起きに目覚め、半年の早朝勉強で慶應義塾大学総合政策学部に入学。外食企業、外資系コンサルティング会社をへて、2009年に『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)を刊行。早起きによる思考整理、情報発信、時間管理、目標達成手法を著書や講演、企業研修などで紹介した実績をもとに、株式会社朝6時を創業

 

 

 

124P「自分締め切り日」をつくって、宣言しよう

仕事ばかりでなく、気乗りしないイベントの誘いを断るときも、なるべく早く連絡します。どんな言い訳をしようかと迷っている間にも、相手は、あなたが来るか来ないかわからないので、人数の調整ができず、困っているかもしれません。「予定が入るかも、入らないかも」と相手を不安にさせないのも、また思いやりです。

なんでも主体的に、早めに返事をして日程を決めるクセを少し続けていくことが、自分の時間も、相手の時間もたいせつにすることにつながるのです。

 

 

 

162P 資格マニアだっていいじゃない

朝の時間の使い方に迷ったら、少しでも自分が興味をもったものを、勉強するところからはじめるのをおすすめします。たとえそれが、いまの仕事に直結していなくてもいいじゃないですか。必ずあとで、「ああ、これをやっていてよかったな」と思う日がきますよ。

 

 

 

258P「残業しても17時」の世の中をつくりたい

だからこそ、「突然のハプニングに対応できる余白」と「最後の追い込みより最初の仕込み」-これらをたいせつにして、余裕をもってものごとを進めていこうという本書の考えを、プライベートはもちろん、仕事でも活かすことができたなら―日本に本当の「働き方革命」が起きるくらいのインパクトとなるのではないか?私はそう思うのです。

人に感動を与えることができるって素晴らしい。

荒木社長は、高い志をもって人を動かしています。

この会社の雰囲気は明るくて働き甲斐があり。

自分の拠り所となるような考え方や信条を持った社長と仕事ができたらやりがいがあります。

 

富山県内にこんなすごい会社があることを知らなかったのです。

社長が変化して成長するのを社員が見て、社員が変わって会社が変わりました。

そして会社全体が活き活きと動き出しました。

社長自ら社員との対話が社員のモチベーションを上げていき、意気揚々と日々働いている姿が目に浮かびます。

 

ぼくは、荒木社長の考えに近い考えを持っています。

「現状維持はだめ!変化を求めて前向きに成長していくことが肝要!」

 

 

108P

私は、荒木運輸という会社を好きになってもらうためだけに、仕事をしている。

そう思うことすらあるのです。

 

 

2P

「変わること、成長することが大切である」

多くの人たちとの出会いや葛藤の中で、人のために「思い切って何かやる」ということの素晴らしさ、「変化・成長すること」の大切さに気づき、変わっていったのです。

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 仕事環境を変化させる(変化・成長するということ、様々な社員研修で、皆が変化・成長する会社へ ほか)

第2章 コミュニケーションを変えていく(家庭のことを話題にして本音を引き出す、コメント大賞で改善点を浮き彫りに! ほか)

第3章 変化し続ける思考術(聴くことで変わる、伝えることで変わる ほか)

第4章 亡き父、子供時代に学んだこと(なりたかったもの、なったもの、イエスマンだった過去 ほか)

あとがき

 

 

 

1970年5月4日射水市(旧新湊市)に生まれる。天理大学卒業後、佐川急便株式会社に入社。そこで運送業のいろはを学び、さらに建設会社での勤務経験を経て平成8年に株式会社荒木運輸へ入社。平成18年に株式会社荒木運輸代表取締役に就任。環境省のエコドライブコンテストにおいて、1万2千事業所の中で優良賞を獲得。運送経営改善社主催の実践アカデミー賞にて、2013年は優秀賞、2014年は運送業界リーダー賞を獲得。現在は、講演や、子供の頃からの経験を元に子供向けに生き方を伝える活動も行っている

 

 

 

 

116P「聴くことで変わる」

人の話を聴いていると、いろんな情報が同時に飛び込んでくることになります。話している内容はもちろん、相手の表情、間、声の強弱などさまざまな要因がインプットされますので、自分の中でも整理が付きやすいのです。

自分が素直に感動したことは、さっそく実践してみますし、実践を重ねることによって、良い変化が起きるという好循環も生まれます。

さらに、聴いて、メモして、アウトプットする。それを繰り返すだけで、自分自身に驚くほどの変化が見られるのです。

ブログに落とし込むと、ブログの読者にも刺激を伝播させることができます。社員への訓示などで話をすることもできます。会話を盛り上げたり、相手に発見をもたらすことによって、相手の秘蔵の情報を得られたりもします。

(中略)

さらに、アウトプットはコミュニケーションのきっかけにもなりますので、本当に大切です。しかも、インプットとアウトプットとのルート上には、自分というフィルターが必ず存在しますから、アウトプットすることで、それが自分の血肉にもなります。いいことづくしなのです。

例えば、「情報はゴールから逆算して集める―バックキャスティング」のような目から鱗が落ちるような片づけ術があります。

 

「時間をかけて『キレイ』に整理するな。時間をかけず『使いやすく』片づけろ!」

 

美崎さんは、フットワークが軽い。

全国のいろいろな場所に出かけて愉しく面白い情報をつかんでおられますね。

近くで顔が見える著者さん。

友人たちのお陰でみんなといっしょに食事をしたり何度もお会いしてお話をしたことがあります。

一度と言わず何度も会いたくなるような人を引き付ける魅力を持った方ですね。

 

例えば、講演中のこと!

彼は一人ひとりの目を見てしゃべられます。

それはとってもにくい演出だと思いますね。

こころがぐっとつかまれて彼のファンになるような、そんな理由がわかります。

 

ぼくも関わった周りの仲間も読者もみんな、それぞれの人生を豊かに生きてほしいという彼の想いは、この本の中身を読んでも決してぶれていないことを確認しています。

 

「膨大な時間を使って整理するのではなく、時間も手間もかけずに使いやすく整理し、仕事のスピードと質を上げるためのノウハウです。」

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 片づけ時間が半減し、仕事が10倍速くなる!―机まわりとモノの整理編

第2章 先延ばしや仕事の洪水がなくなる!―タスクの片づけ編

第3章 細かいフォルダ管理から解放される!―デスクトップの簡単掃除ワザ編

第4章 驚くほど仕事がはかどる!―超速メール術編

第5章 仕事も気持ちもすっきりする!―SNSと人間関係の片づけ編

第6章 超速で情報を集め、最大限活用できる!―情報管理ワザ編

おわりに

 

 

 

1971年生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科を修了後、花王に入社。商品開発部門に配属される。2011年に商品開発コンサルタントとして独立。大手から中小企業まで数多くの商品開発を支援している。一方で、企業や団体での講演や、「整理術」「ノート術」「仕事効率化」「デジタル端末などの使い方」など、個人向けのセミナーも行っている。

著書に「iPadバカ」「iPhoneバカ」など多数

 

 

 

 

79P 重要度の低い作業は「分割」「集結」し、短時間で片づける

仕事の「分割」とは、文字どおり、ひとつの仕事を複数の作業に分割することです。

「別々に進めることができる」作業が見えてきます。

「集結」とは、重要度の低い細切れ作業を洗い出し、3~5分くらいの小さなブロックにして、仕事と仕事の合間やちょっとした空き時間、集中力が途切れたときなどに行えるようにしておくことです。

 

 

 

173P 情報はゴールから逆算して集める―バックキャスティング

整理された情報にしか価値はないということです。

情報を活用するゴール、情報収集のための方向性やルールを明確にしておくと、情報を集めれば自動的に整理される状態になります。

「もっとゆるく生きていい」

 

京都大学出身でニート、30代独身、年収100万円ほど、シエアハウス中。

 

文章もゆるくて読み易いです。

 

こういう考え方もあります。否定をしません。

 

こんな気楽な生き方ができたらいいなとは思うけれども僕にはなかなかできません。

 

ぼくは、世間と繋がっていたいし世のため人のためになりたいからこそ働きたいし、

結婚して子供を持って人並みの幸せをつかみたいから家族を作りたい。

 

お金をさらにもっともっとほしいという、こころがお金に縛られるのはきっぱりごめんです。

 

著者さんとぼくは、それぞれ手段が違うけれども、追い求めている最終の幸福論が似ています。

 

 

読書家であり知性溢れ出ている著者さん。

 

彼の生き方を他人に強制したり、頑張って働く人の生き方を否定していません。

 

彼の想いに共感できて面白いと思います。

 

 

僕が生きるうえで大事にしていること

1 一人で孤立せずに、社会や他人との繋がりを持ち続けること

2 自分が何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるかをちゃんと把握すること

 

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 働きたくない

第2章 家族を作らない

第3章 お金に縛られない

第4章 居場所の作り方

本書のまとめ

あとがき

ゆるく生きるためのブックガイド

 

 

 

◎pha(ファ)

1978年生まれ。大阪府大阪市出身。京都大学を24歳で卒業し、25歳で就職。28歳のときに会社を辞める。シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人

著書に「ニートの歩き方」など

 

 

 

18P

本というのは「自分がぼんやりと気づきかけていることをはっきりと言葉にして教えてくれるもの」だ。本を読んで知識を得ることで、頭の中が整理されたり、考え方の選択肢を増やすことができたり、自分の周りの世界で当たり前とされていることを相対化して見ることができることができるようになったりする。本を読むことで僕は生きるのが楽になった。

周りにいる人たちとの生活だけでそれほど違和感を覚えないのならわざわざ本を読む必要はないけれど、自分の考えていることを分かってくれる人が周りにいないようなとき、遠くにいる顔も知らない誰かが書いた文字列が自分を支えてくれることがある。

 

 

 

150P

だけど、そんな複雑で忙しい時代だからこそ、お金や時間に振り回されないためには自分なりのペースや価値基準を見失わずに持ち続けることが大切だ。そのためには「感覚や感情を大切にする」というのが有効だと僕は思う。「ごはんが美味しい」とか「散歩が楽しい」とか「夕焼けが美しい」とか、そうした生活の中にある些細な楽しみが人生の充実感の基礎を作っている。それは、お金や時間に追い詰められて社会的に切羽詰まったようなときにも、「人生はそれだけが全てじゃないよな」と一歩引いて落ち着いて物事を考えられるような、個人的な空間を確保することでもある。

シリーズ化したらいいんじゃないかなと。

ゆうれいが出てくるのでこわい内容かと思いました。

ところが、ラストには涙がほろっとこぼれるお話だ。

 

気づいたら足だけのゆうれいになっていた足子さん―季穂さんと、

見た目はトドのようでオタクなのだけど東大出身の頭脳明晰な権田、

女心をくすぐるイケメンだけど頭の弱い向田との、

長身だけども体の重さが違う、でこぼこ警察官コンビによる秋葉原の人情感あふれるミステリー。

 

題名から想像する内容とは違って、ほのぼのとして気持ちがすっと楽になるような物語。

 

 <目次>

オタクの仁義   63

メイドたちのララバイ   65148

ラッキーゴースト   149212

金曜日のグリービー   213261

泣けない白雪姫   263326

 

 

 

1964年北海道生まれ。2005年に『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。12年、『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞。15年、『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞受賞

 

 

 

106P

一歩外に出れば、厳しい社会が待っている。仕事、学業、人間関係―自由という名の絶え間ない競争にさらされて、自由の尊厳は日々削られてゆく。

たとえひと時でも、他人から大事にされ、認めてもらう。それは人が生きていく上で、何よりも大切なことなのだ。

不幸の連鎖を断ち切る手段は、「復讐」ではなく「愛」なのかなと、中東情勢を仄聞するとそう思います。

 

スクールカースト、面皰、美醜、いじめ、中傷、性犯罪、忌まわしい記憶からの解放等々。

田端清子、蓼沼陽子、松崎琴美らの独白や過去の回想が続きます。

 

ひたすら重く暗いままに胃の中からなにかを吐き出しそうなくらいになり、気分が悪くなるような怖さを感じとります。

気持ちがふさぐようなお話ばかり。

確かに心に残る作品になるかもしれない。

 

「私は決して、忘れない。あの子ら、全部ぜんぜん忘れてない。」

痛みを与えた人は、いつか忘れてしまうことはできても、与えられた者はずっとその痛みを覚えているもの。

 

自画像では、他人が見た自分の姿にしか描けない。

他者化しないと描けないという表現の力。

自分自身への絶望のような想いを三人の女性から感じられ心震えました。

 

 

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー

ほかの著書に「あの子が欲しい」「天使はここに」など

 

 

 

10P

母は何も言いませんでした。田舎にしては進歩的なのか、わたしにだけ排他的なのか、判断がつかず、少しさみしいような気もしました。同時に、その時感じた不穏なもの、不安をもっと混濁させた得体の知らないものがわたしの心にずっと残ってゆくことになったのです。

 

 

69P

けれど、時おり、思うのです。現在とは、いくつも枝分かれした先にある「点」なのだと。今わたしがいる場所、見ているもの、話していること、聞いていること、すべてが、これまで重ねてきた幾千、幾万の結果なのです。

人生っていうほど、まだ生きていないじゃないか。

あなたは苦笑を言葉に変えましたね。

君は物事をこむずかしく考える癖があるのだね。

ものすごくシリアスなお話だったあの「ナオミとカナコ」

直美と加奈子は、ちゃんと出国できたのだろうか!

ハラハラ、ドキドキのとき。

心臓がバクバクしながらも先をむさぼるように読んでいました。

ドラマにもなったあの小説を書いた著者さんの作品なのかなとちょっと頭をかたげるくらいに懐が深く感じます。

 

差し迫った重大なヒミツというわけではなく、五つの家族のそれぞれの物語。

このなかには悪い人はいなくて、みんな良い人だし良い人に恵まれている環境なので心がホッとします。

大きな事件はないしだれも死なない。

日常に起こりうるようなお話ばかり。

ユーモラスなおはなしなので面白くて安心して読めるからさわやかな読後感が得られました。

 

 

 <目次>

虫歯とピアニスト  

正雄の秋   45

アンナの十二月   93

手紙に乗せて   145

妊婦と隣人   191

妻と選挙   231

 

 

1959年岐阜県生まれ。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て、1997年『ウランバーナの森』で作家デビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞、2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞

 

 

82P

「もう充分働いたと思う。残りの会社員人生、楽したってバチはあたらないって」

「でも定年まで七年だぞ」

「あっと言う間。仕事だけが人生じゃないって」

「そう簡単に気持ちが切り替わらない。ずっと仕事が中心だったしな」

酒が入って、少し気持ちがほぐれた。考えてみれば妻と差し向かいで飲んだのは何十年ぶりか。

「船を乗り換えればいいのよ。もう少し小さくて、ゆっくり進む船」

美穂も顔を赤くしていた。確かにそうである。白幡が言っていた。船のキャプテンは一人だと。選に漏れた人間は、静かに下船するのが礼儀だ。

「絆」と「縁」

こんな床屋さんがあったら行ってみたい。

 

北海道苫沢。

モデルは財政破綻した夕張市か。

北海道の寂れてしまった炭鉱町。

過去に栄えたものの過疎化の町にある一軒の理髪店。

変化のない毎日、娯楽もあまりなく、噂がすぐに町中に広がる、住んでいる一人一人の顔がわかるようなところ。

 

地方ならではの人間模様が繰り広げられる。

誰もが勝手な意見をこぼしに来る店の日常を描く。

他人事ではなくどこにでもある風景。

おかしくて身にしみて愉しくて心がほぐれる物語。

こころがほっこりする。

 

 

 

 <目次>

向田理髪店  

祭りのあと   47

中国からの花嫁   89

小さなスナック   137

赤い雪   177

逃亡者   215

 

 

 

 

1959年岐阜県生まれ。2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞受賞。’04年『空中ブランコ』で第131直木三十五賞受賞。’07年『家日和』で第20回柴田錬三郎賞受賞。’09年『オリンピックの身代金』で第43回吉川英治文学賞受賞

 

 

 

 

 

 

38P

「おまえね、確かにおれは出向したよ。お察しのとおり片道切符だよ。でもな、仕事で負けたからって、シッポ巻いて田舎に逃げ帰るような男じゃないぞ。馬鹿にするな。お気楽なのはおまえだ。胃の痛くなるような仕事をしたことがあるのか。プレッシャーで夜も眠れない経験をしたことがあるのか。いいよな、競争のない散髪屋で。毎晩ぐっすり眠れるだろう」

今度は康彦が頭に血が昇った。

「なんだと。オメ、散髪屋を馬鹿にしてるべ」

 

 

 

132P

「おれも都会に生まれればよかったって思うことはある。苫沢じゃプライベートも遠慮もあったもんでねえ。みんな小さい頃から知ってっから、恰好の付けようがねえ。いっぺん恰好悪いことをしてしまうと、一生話のタネにされる。だから宿命だと思ってあきらめるしかねえ。大輔君、農業をやめるか?やめねえべ。苫沢から出てくか?出て行かねえべ。だったら開き直るしかないっしょ。みんながひとつの池の中で、同じ水飲んで生きてるべや。それが苫沢だ。染まれ。染まって自分なんかなくしちまえ。楽に生きられるぞ」

表紙は、居間でテレビを見ているようなきわこのうしろ姿!

興味をそそられながらグイグイとこの中に引きこまれる。

 

最後のページに書かれてある三面記事の意味がよくわからない。

そのつながりは、もう一度読み直したらわかるものなのか!

 

きわこは、実際なに者?だったのか。

彼女の地味な人生は、幸せだったのか。

きわこには、いきつくことができないものかなしさ。

 

 

見ず知らずの他人の出来事に鏤められたきわこという女の人生。

彼女はどんな罪を犯し、彼らに何をしたのか。

きわこはたのしかったのか。

 

容姿が地味でスタイルに恵まれているわけじゃなくても、男を惹きつける魅力を持っているような感じで。

 

彼らの人生の片隅にうずくまるように存在する女。

 

関わった人たちに次々と不幸が訪れるひと。

 

彼女について語る人たちの物語で構成された小説。

 

 

 <目次>

  1. 2015年2月 超突事故男性の死因「窒息死」と判明

  2. 2013年1月 「超熟女専門」売春クラブ摘発

  3. 2012年7月 他人のベランダで暮らす男逮捕

  4. 2010年7月 パトカー追跡中電柱に衝突 女性重体 

  5. 2009年12月 母親に強い恨みか 殺人容疑で長男逮捕

     

 

 

1965年東京都生まれ。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞を受賞。ほかの著書に「夜の空の星の」「熊金家のひとり娘」「完璧な母親」など。