【No.361】自画像 朝比奈あすか 双葉社(2015/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

不幸の連鎖を断ち切る手段は、「復讐」ではなく「愛」なのかなと、中東情勢を仄聞するとそう思います。

 

スクールカースト、面皰、美醜、いじめ、中傷、性犯罪、忌まわしい記憶からの解放等々。

田端清子、蓼沼陽子、松崎琴美らの独白や過去の回想が続きます。

 

ひたすら重く暗いままに胃の中からなにかを吐き出しそうなくらいになり、気分が悪くなるような怖さを感じとります。

気持ちがふさぐようなお話ばかり。

確かに心に残る作品になるかもしれない。

 

「私は決して、忘れない。あの子ら、全部ぜんぜん忘れてない。」

痛みを与えた人は、いつか忘れてしまうことはできても、与えられた者はずっとその痛みを覚えているもの。

 

自画像では、他人が見た自分の姿にしか描けない。

他者化しないと描けないという表現の力。

自分自身への絶望のような想いを三人の女性から感じられ心震えました。

 

 

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー

ほかの著書に「あの子が欲しい」「天使はここに」など

 

 

 

10P

母は何も言いませんでした。田舎にしては進歩的なのか、わたしにだけ排他的なのか、判断がつかず、少しさみしいような気もしました。同時に、その時感じた不穏なもの、不安をもっと混濁させた得体の知らないものがわたしの心にずっと残ってゆくことになったのです。

 

 

69P

けれど、時おり、思うのです。現在とは、いくつも枝分かれした先にある「点」なのだと。今わたしがいる場所、見ているもの、話していること、聞いていること、すべてが、これまで重ねてきた幾千、幾万の結果なのです。

人生っていうほど、まだ生きていないじゃないか。

あなたは苦笑を言葉に変えましたね。

君は物事をこむずかしく考える癖があるのだね。