朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -120ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

明石家の夫の新平と妻の英子は、年は一つ違いでお互いに90歳近い。

新平は、近所を散歩して建物を見て回ったり、ひなびた喫茶店でコーヒーを味わうこと、事務所でエロ写真整理をするのが毎日の日課だ。

英子は、認知症気味である。散歩といいながら新平が外で冨子と浮気をしていると思い心配をしている。

この夫婦には、息子が三人いる。

いずれも独身であり50歳を超えている。

長男の孝史は、高校中退後ずっと家に引きこもり。

次男建二は、男性が恋愛対象であり、フラワーアーチストで赤青二色の奇妙なおかっぱ頭。

三男の雄三は、1メートル以上の胴回りをしており、くまのプーさんのぬいぐるみとアイドルが好きだ。

 

80代の親が引きこもりの50代の子どもの生活を支えるという8050問題。

少子高齢社会や認知症、親の介護などの問題。

LGBTQなどのセクシャルマイノリティ問題。

事業に失敗して借金まみれの各種問題等々が見えてくる。

明石家は、現代社会の縮図のような家だと思う。

ほっこりと温かい家族がいて、飄々としたユーモアがあり温かさがありじんわりと胸に沁みいるストーリーがあった。

 

 <目次>

秘密の部屋 

秘密の女  

秘密の訪問  

秘密の調査   

秘密の話  

秘密の思い出 1 

秘密の思い出 2 

秘密の思い出 3  

秘密の交際  

秘密の旅路  

エピローグ 秘密の通信 

 

1962年福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒。95年『午後の時間割』で第14回海燕新人文学賞、98年『おしゃべり怪談』で第20回野間文芸新人賞、2000年『夏の約束』で第122回芥川賞を受賞

ワインバーを営んでいた前原葵の母が突然交通事故死した。

落ち着く間もなく母の店を引き継ぐかどうか葵に選択が迫られた。

昼の仕事と夜のワインバーを両立し学びながら、葵はその中で出逢う男たちとの恋愛模様を経て成長していく物語だった。

人生は多くの出会いと別れの繰り返しだ。

葵は、交差点のような人だった。

彼女は、相当に魅力的な女性なのだろう。

母親が愛人の世話になっている等複雑な家庭環境に育った。

既婚者だけども惹かれる気持ちに悩んだり、理不尽な相手からつきまとわれたり、独身で頼れるような雰囲気の相手とは発展していきそうでそうは問屋が卸さない。

こじれそうな関係も容赦なく切り捨てる姿にぼくは爽快感を覚えた。

違和感があったら「やっぱり違うと思った」と伝えられた。

相手と対等だと脳の中で考えられた。

彼女は、恋愛体質だが不倫は始めないし、引きこもりの同棲男との関係を解消することもできた。

自分軸で男との接し方の濃さや距離感を決めていく潔さがあった。

男に流されず自分で自分の居場所を決断してゆけた。

男とつきあっていても一定の距離感や温度差、違和感があった。

ぼくの少ない経験からは、これらが本当に恋愛と呼んでよいのかよくわからない。

出会って別れてまた出会い、何度も繰り返しているように彼女の周りにいろいろな男が現れては消えていく。

芯が脆いから男たちの庇護欲をかきたてるのかもしれない。

どんな男が隣にいたとしても、本物の保証は、自分が自分を受け入れることでしかないような気がする。

作中の料理やワインをいただくシーンがもの凄く美味しそうで魅力的だった。

前原葵のような誘惑を持っている女性には、ぼくはだらしのない男になりそうで出合わない方がよいみたいだ。

久しぶりに恋愛ものをしっかりと受け止めて上手に満喫したようだった。

 

270-271P

「だって恋愛なんて怖いじゃないですか。よくそんなに恐ろしいことに挑戦できるな、と思います」

彼女がそう続けたので、私は首を掲げて

「怖いって、相手がいなくなることが?」

と質問したら、彼女は素早く否定した。

「そうじゃなくて、自分が、相手のことを好きじゃなくなる日の来ることが。そんなに全身で信じた感情があっけなく消えてしまうなんて、それほど怖いことってなくないですか?私はずっと変わらずに形あるものが好きだから。恋や結婚だってそうだって言う人がたまにいるけど信じられない。恋愛なんて、こういう指輪とは対極にあるものだと思います。」

と彼女は以前も身に着けていた人差し指の指輪を見下ろした。

 

1983年、東京生まれ。2001年『シルエット』で第44回群像新人文学賞優秀作、03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞、15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞、18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞

ゼネコンの出世競争の真っただ中にいた青木は、東南アジアのある島国のリゾート地の巨大開発案件を担当していたが、独裁政権が崩壊するのと同時に失脚して巨額の負債を抱えることとなった。

出世街道から外れた青木は、原発清掃作業の所長時代に手に入れた裏金一億円を元手にして、日本を脱出してかつて関わった島の村の一角でわびしく人生を過ごしていた。

既に終わったはずの青木に再びチャンスが訪れた。

それは、数兆円を超える新たなリゾート計画だった。

この計画に乗った青木の人生の歯車が、再び狂いはじめた。

現地で飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むために動き出すのだ。

勢いがすごくかったので、島の風土を折り込んだストーリーによって、よりどんどん先へ先へとページをめくることとなったのだ。

没落した青木の怒涛の半生が語られ、物凄い壮大な計画がいきなり出てきて、これに青木はすがりつくのだ。

また、精神を病んだ女を飼う男やイカレタ男たちがお店で酒池肉林を繰り広げるありさま、金や酒、官能、暴力等々が至る所にあって息もつかせぬハチャメチャな展開が面白かった。

 

1956年香川県生まれ。「藻屑蟹」で大藪春彦新人賞、「犬」で大藪春彦賞を受賞。

死んだはずの担当編集者の尾上まひるから不思議なメールが届いた。

臨死体験の時に三人の女が迎えにきたというものだ。

一人目の母親と二人目の叔母は亡くなった親族で三人目が誰か分からない。

「とんでもない正体が分かった」

「三人目の女が、先生のところに現れませんように」

という言葉を残して、中堅のミステリー作家小谷光太郎への尾上からの連絡は途切れた。

この三人目の女とは誰なのか!

生霊が関係していたらしい!?

ほんとよくわからないフシギな話だった。

真梨幸子さんは、湊かなえさんと並ぶイヤミスの女王であり、やはりその真髄はミスリードだ。

 

 <目次>

マンションM

トライアングル

キンソクチ

イキリョウ

チュウオウセン

ジンモウ

エニシ

 

1964年宮崎県生まれ。多摩芸術学園映画科卒業。2005年、『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年、文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』が口コミで広まり、累計60万部を突破するベストセラーになる。他の著書に「ツキマトウ」「坂の上の赤い屋根」「聖女か悪女」など。

人の行動が脳や遺伝子により特徴があったことについて、脳科学者である中野信子さんが他者の意見を引用しながら説明されています。

 

不確実なときに前に進むためには、脳からドーパミンという快楽物質が出ていたとは、知りませんでした。

それではワクワクドキドキしますね。

54-55P 不確実性にわくわくする脳

私たちは先の展開がわからない状態を好む性質があるのです。これは一体なぜなのでしょうか。

疑問に対するひとつの答えは、長い生命の歴史の中で、生きることそのものが賭けのようなものだったからということができるでしょう。

(中略)

選択の連続である生のさなかにあって、確実なことしか選ぶことができない、となると、ほとんど何も決定することができません。そこで、未知の世界に勇んで飛び込んでいけるように(ときには勇み足となることもありますが)、わざわざ脳の快感を覚える部位を刺激するドーパミンを利用して、わからないほうが楽しい、興奮する、という仕組みを脳につくりあげてきたのです。

 

下に書いてあるような、人様の害悪となるような男性がいます。

サイコパス、マキャベリスト、ナルシストの3要素を持っているダーク・トライアドの男性です。

そういうのを、女性が肌で?脳で?直感で?感じているのかどうかはわかりません。

一部の男性だとは思いますが、女性にモテているのはなぜなのかという疑問の答えのひとつとなりました。

また、自分の遺伝子を後世に残したいという遺伝子は女性だけでなく男性も同じでしょう。

だから、男性も遺伝子を子孫に繋いでくれそうな女性を選ぶのではないのかなと思います。

70P ダメな男がモテる理由

人を騙したり、あちこちに借金を抱えていたり、トンデモないウソつきだったりするダメ男が、なぜか絶世の美女を次々にものにしていたりすることです。

女性は、サイコパス、マキャベリスト、ナルシストの3要素を持っている男性に惹かれやすいことがわかっています。この3要素はダーク・トライアドと呼ばれます。

ダーク・トライアドの男性は、「新奇探索性(リスクを冒してでも新しいものごとに挑む性質)」が高く、性的にもアクティブなので、遺伝子を広く拡散する性質があります。

つまり、女性にとって、ダーク・トライアドの男性と子孫を残し、そこに半分、自分の遺伝子を乗っけてしまえば、その子孫も同じようにあちこちで遺伝子をばらまいてくれる可能性があり、効率よく自分(女性)の遺伝子も次世代につないでくれる確率が上がる、というわけです。

でも、一方ではダーク・トライアドの男性と関係を持つと、恋愛関係や結婚生活そのものは破綻しやすく、面倒なことにもなりかねません。また、不倫と呼ばれる関係にもなってしまいやすく、世間からバッシングされるリスクも高くなります。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 犯人は脳の中にいる―空気が人生に与える影響とは?(“カミカゼ遺伝子”は脳内に現代も息づいているか、日本人はなぜ「醜くても勝つ」より「美しく負ける」を好むのか、ブランドを身に着けると、なぜ「人生で得をしがち」なのか、日本人は富裕層になれても大富豪にはなれない?、不倫もバッシングも脳や遺伝子に操られているのか?)

第2章 容姿や性へのペナルティ―呪いに縛られない生き方(女性の容姿への「残酷な心理実験」が映し出す現実社会、女という「呪われた」性で「婚活」に苦しむ日本人女性、レールを敷く親―子どもを蝕む「毒親」とは?、同性愛の科学―“生産性”をめぐる議論に寄せて)

第3章 「褒める」は危険―日本人の才能を伸ばす方法とは?(失敗を恐れる脳―日本人はなぜ「挑戦」しなくなったのか、なぜ報酬がいいとやる気や創造力が減退してしまうのか、「すぐに返信しない男」と「既読スルーを我慢できない女」、「超一流」が育ちにくい時代に才能を伸ばす脳の育て方とは?、20代までも成長し続ける脳が味わう試練と、その助け方)

第4章 「幸福度が低い」わけがある―脳の多様すぎる生存戦略(日本人の脳をつくったのは、環境か遺伝子か?、「弱み」は人間の生存戦略上なくてはならない)

おわりに 

 

1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに、人間社会に生じる事象を科学の視点をとおして明快に解説し、多くの支持を得ている。現在、東日本国際大学教授。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。 著書に「サイコパス」「キレる!」など。

 

川端康成の『眠れる美女』は、高齢男性の性を扱ったものだった。

一方この『眠れる美男』は、高齢女性のエロティシズムを扱う作品だった。

共通しているのは、相手の異性が眠っていることか。

元外交官の妻として裕福な生活を送る殷殷夫人は、フィットネスジムの野性的なインストラクター、パンとの恋の罠に陥ちていくのだった。

 

露骨すぎないエロティシズムな言い回しによって、じわっとにじみ出てくるインクのような桃色の気分が、紙面のほうから眼のなかへと静かに拡がっていくのでした。

81-82P

彼は彼女に肉体を見せた。

男性の肉体。

彼の肉体。

あの緩やかなスウェットに遮られた男性の肉体は、実はより多くの想像を掻き立てるのだ。一部露出する腕は、三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋の境界も明らかで、隆起する筋肉の間は、割れ目も露わだろう、それならば、隠された分厚く迫り出す胸筋、触れば固いシックスパックの腹筋、見事に強大壮健なる筋肉の両足、それらもまたいかに驚くべき姿であろうか。

彼への愛に気付いた後、彼女は彼の肉体を渇望するようになっていた。

いや、どうしても入って欲しいというわけでもない。

最初に生じたのは接触だった。

彼による接触は、まずは手によるのみである。

 

 <目次>

自序書前に記す 回春/春回

プロローグ

愛 山と海、永遠の場、夫

別 チャーリー、彼の肉体、五彩の羽衣

離 犬、時差、My Heart is Ghost Town、小鮮肉

苦 あなたは遅れた、補助薬、補助―薬、忘却

エピローグ

後記

訳注

訳者解説

 

李昂[リコウ]

1952年、台湾西海岸中部にある古都・鹿港で生まれた。1970年、台北の文化大学哲学部に入学、75年、アメリカ・オレゴン州立大学演劇コースの大学院に留学、78年に帰国後は旺盛な創作活動のかたわら、コラムニスト、テレビ評論家としても活躍。2004年にフランス政府より芸術文化勲章騎士勲功を授与されたほか、台湾では聯合報中篇小説賞、呉三連文学賞などを受賞。

 

藤井省三

1952年、東京都生まれ。桜美林大学文学部助教授を経て88年東京大学文学部助教授、94年同教授。2018年退官。現在名古屋外国語大学教授。日本学術会議会員(2005~14年)。専攻は現代中国語圏の文学と映画。

いつか経験しなければならない相続問題(争族とならないように)と、

そこに至るまでに経験する介護問題があります。

森永卓郎さんが実際に経験された事例をベースにして書かれているので既視感や納得感がありました。

民法改正なども踏まえた現実的なアドバイスもあり参考となります。

いつかはと思いながらも後回しにしてきたことです。

もうそろそろ、からだとこころの準備もしなければいけない時期にきたのかと思いを強く持ちました。

 

相続してすぐ売却しておけば、固定資産税や修繕などの手間や損失がぐっと抑えられた可能性があります。

他山の石として考えていきたい。

143P 実家管理に2400万円を投じた松本明子さん

いくら遺言だからといって、住みもしない家を持ち続けるとろくなことにならない。たとえ、「実家を守ってくれ」と亡くなった親から頼まれたとしても、さっさと売り払って「第2人生」へと気持ちを切り替えたほうがスッキリする。あるいは実家を売り払う手続きすら割愛して、相続放棄したってよいのだ。

 

「やりたいこと、好きなこと、興味があることを思いきりしているので幸せだ」という森永さんを目標としたい。

できることなら、ぼくもこうありたいものだと思います。

188P

一度きりの人生なのだから、悔いのないようにととにかく楽しんだほうがいい。思いつきでも何でもよいから、やりたいことがあったら、とりあえず何でも始めてしまう。うなくいかなかったら、クヨクヨせずに次の別のことを始めればよい。家族や人様に迷惑をかけないように手を打ちながら、好きなことを思いきりやる。そして天寿をまっとうしたらパッタリ逝くのが理想の人生だ。

「争族」問題も「負動産」問題もきれいに片づけ、人生の総仕上げの時期には、やりたいことをやって楽しい晩年を過ごす。「あの人はやりたいことをやりきって、幸せな人生を過ごしたものだな」と呆れながら、後顧の憂いを残さずあの世へと旅立つ。そういう者に、私はなりたいのである。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 「相続」は突然やってくる

第2章 今日から始める「生前整理」

第3章 ここがおかしい相続税

第4章 財産キープのルール

第5章 相続放棄プロジェクト

第6章 人生の仕舞い支度

おわりに 

 

1957年7月12日、東京都目黒区生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁での勤務を経て、91年より三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)研究員。2006年より獨協大学経済学部教授を務める。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済学、教育計画。ミニカー三万台のコレクターとしても名を知られ、埼玉県所沢市に私設博物館「B宝館」を開館した。

20P 2040年には、独身者が47%、15から64歳の有配者は31%、65以上は22%(2015年はそれぞれ41%、39%、20%、1980年は、それぞれ34%、59%、7%だっだ)

 

将来の日本には、独身者が半数を占め、結婚せずに一人で生きることが当たり前になる社会が到来するという。

それを見据えてどうしていけばよいのか。

以前の「多産多死」から「多産少子」→「少産少死」→「少産多死」へ。

いまは「少産多死」時代への過渡期であり、出生数よりも死亡数の多い「多死社会」に突入している。

人口減少を食い止めるためには、よく言われている少子化問題ではなく、本質は少母化問題なのです。

一人の女性が一生の間に子どもを生む合計特殊出生率を高めるよりも、本当に必要なのは、結婚を促進する対策を取らないといけないのだが……。

 

多死社会では、どこかに所属するよりも、これからは接続するコミュニティへのつながりを重視する方向へ転換していくと思います。

 

261P

これまでは、家族、地域、職場などの所属するコミュニティ。

これからは、本、趣味、仕事、飲み会などの接続するコミュニティ。

コミュニティは、人とつながるためのシナプスのような役割。

結婚とかソロとかの状態にかかわらず、人は個人として何かと誰かと接続せざるを得ない。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 「ソロ社会」化する日本

第2章 孤独とは悪いことなのか?

第3章 ソロの幸せ、既婚者の幸せ

第4章 恋愛強者と恋愛弱者の生存戦略

第5章 ソロ化と集団化の境界線

第6章 自分とは何か―一人の人間の多様性

第7章 世の中を動かす「感情主義」のメカニズム

終章 「withコロナ時代」の生き方を考える

あとがき 荒川和久

 

荒川和久

独身研究家/マーケティングディレクター。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されるなど、海外からも注目を集めている。

 

中野信子

1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。現在、東日本国際大学教授。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。

 

【No.724】「一人で生きる」が当たり前になる社会 荒川和久 中野信子 ディスカヴァー・トゥエンティワン(2020/12)

いままで学んできたオーソドックスな理論は、いかに人口増加と資本主義を大前提としていたのかに気づかされました。

貧富の格差の拡大化や中間層の貧困への転落が進むことにより、アメリカのサンダース現象のように社会主義に熱狂している若者が多いといわれています。

 

239P

ここで言う「社会主義」という言葉には、一般に流布している社会主義の意味以上のものを込めました。

社会性、すなわち公共性を重視するという意味での「社会主義」です。物質的な豊かさを求めるだけではない。幸福を感じながら暮らせる社会へ。

これからも、資本主義ではない新たな未来を目指しつつ、公共的な社会のあり方を広く議論していく必要があると考えています。

 

池上彰さんとマルクス経済学の専門家の的場昭弘さんとの対談形式で綴られています。

資本主義や社会主義の過去の歴史を振り返りながら、世界経済の現在、過去、未来をわかりやすく解説しています。

 

どういう風な方向に進むのか、ぼくには専門的にはわかりませんが、ものの豊かさではなく、以前から言われているようにさらに心の豊かさを求めるようになっていくのではないかと感じています。

 

 <目次>

はじめに 資本主義はどこに向かうのか

第1章 資本主義の限界―格差拡大という難題(資本主義はどこでつまずいたのか、経済格差の行き着く姿―100兆円の学費ローン、古典的資本主義の行き詰まり)

第2章 社会主義の挫折―なぜ格差を解消できなかったのか(上からの社会主義、下からの社会主義、解決できなかった難題―社会主義の欠点、世界各地で社会主義が広がった理由)

第3章 国家主義の台頭―自国ファーストが招く危機(コロナ禍に対応できなかったEU、止まらない自国ファーストの流れ)

第4章 そして、未来へ―われわれは何を選ぶのか(初めての過少消費の世界―経済学の未知の領域、「社会的共通資本」を取り戻す)

おわりに 幸福を感じながら暮らせる社会へ

 

池上彰

1950年、長野県生まれ。73年にNHK入局。2005年にNHK退職後、フリージャーナリストに。名城大学教授、東京工業大学特命教授。

的場昭弘

1952年、宮崎県生まれ。哲学者、経済学者。神奈川大学副学長。

 

【No.723】いまこそ「社会主義」混迷する世界を読み解く補助線 池上 彰 的場昭弘 朝日新聞出版(2020/12)

同音異義語を一つずつ分けて、その漢字の意味を知ると、全体の語彙の意味がわかりやすくなって漢字自体も覚えやすくなりました。

 

まずは、

昨年から続いているコロナ禍です。

「禍」と「災」とでは、「わざわい」の意味合いが違います。

120P

「禍」は、神様があけた見えない大きな穴の中に入ってしまっている様子を表しているのです。とすれば「コロナ禍」とは、未曽有の出来事という穴の中に入ってしまっているということを意味しているとも言えるでしょう。

さて「わざわい」と読む漢字には「災」もあります。行く手を阻むという意味があります。中に入れないようにしている柵のようなものです。火事などが原因で、今まで普通に暮らしていた生活が阻まれる、すなわち送れなくなってしまうことを指しているのが「災」という感じの意味なのです。

 

つぎに、

新型コロナウイルスは、早く収まってほしいです。

ぼくは、こんなときに、意味をよく知らずに、「終息」ではなく、「収束」を使ってきました。

この「終息」と「収束」です。

同じ「しゅうそく」でも漢字によって意味合いが異なります。

実際、日本ではどの「しゅうそく」となるのでしょうか。

あなたなら、どちらの「しゅうそく」を望みますか?

101P

「終息」の「終」の字の中には「冬」という字が入っています。季節は春、夏、秋、冬と流れます。つまり「冬」という字はある周期の最後であるということを表します。「終息」

の「息」には、ゆっくりと息をするということから、休むという意味があります。すなわち「終息」は、ひとつの周期があり、その周期はゆっくりと自然の流れの中で終わることを言います。

「収束」のほうはどうでしょうか。

「収束」の「収」はふたつの糸をぎゅっと手で集めるという意味があります。そして「束」はそれを束ねるわけですから、手でぎゅっと強く集め、それをもうほどけないように固めてしまうという、完全に区切りをつけてしまうことを表しています。自然な状態で終わりをむかえることを指すのが「終息」であり、強い力をもってけりをつけることを指すのが「収束」という言葉なのです。

 

さらに、

密集、密接、密閉の三密の「密」の意味です。

172P

「密」の字にある「必」には、「くっつく」という意味と「人が入って行けない」という意味があります。「密にならないでください」とは「くっつかないで下さい」ということを表しているのです。

 

終わりに、

こんな言葉を使っていけたらカッコいいなあと。

「無聊(ぶりょう)を託(かこ)つ」は、なにもすることがなく暇をもてあまし、どうして暇なのか、その理由もわからず、ひとりごとを言っている様子を指しています。

同じ意味として、

「徒然なるままに」は、何もすることがないのでなにか書いてみようかな、という気持ちであることを示しています。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 聞いたことがある言葉の語彙を知る(ことのほか、たぶらかす、裏をかくほか)

第2章 漢字の意味がわかると語彙がわかる(九牛一毛、英才教育、生産ほか)

第3章 ふたつの言葉から語彙を知る(「犬兎の戦い」と「漁夫の利」、「達磨」と「灰汁」、「うなぎ」と「あなご」ほか)

第4章 うまく説明できない言葉の語彙を知る(羽化登仙、灼熱、牢乎ほか)

第5章 人に話したくなる言葉の語彙(無聊を託つ、三密、あらくほか)

 

1963年長崎県生まれ。博士(中国学)。大東文化大学文学部大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、大東文化大学文学部中国文学科教授。主な著書に『日本語を作った男 上田万年とその時代』(第29回和辻哲郎文化賞を受賞。集英社インターナショナル)など多数。「日本語を作った男」で和辻哲郎文化賞受賞。

 

【No.722】恥ずかしい日本語 語彙力・社会人力アップのための楽しい日本語講座 山口謠司 廣済堂出版(2021/01)