「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
マルクス・レーニン主義(科学的社会主義)、資本論、マルクス経済学などの社会主義、共産主義に関する言葉は聞いたことがあるがよく内容を知らない。賛成、中立、批判などのどの立場をとるかの前にまずは触れることが大切だと思った。
最近、「社会主義」という言葉が少しずつ目に触れるようになってきた。
著者が言われているように、日本社会の富の偏在、経済力等の格差が拡大してきたことが原因だと思う。
非正規労働者のような構造的に立場が弱い人々の賃金が低く解雇されやすいため、地域間や階級間の格差が拡大してきたこと。また、
AI(人工知能)の急速な広がりによりデジタル化が加速したことによる。
経理、審査、営業など従来の事務職の人員が削減され、低賃金で働かざるを得ないことなどによるであった。
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「高望みをしても仕方がない」と受動的になってしまう人もいるが、社会構造に問題があるという意識を持ち、社会の構造を変えようとする人も一定数出てくる。
日本ではほぼ死語になっている社会主義(socialism)という言葉が、ヨーロッパのみならず伝統的に社会主義に対する抵抗感の強い米国においても、最近、頻繁に用いられるようになっている。日本でも近未来に社会主義の価値が、肯定的文脈で見直されることになると思う。
その際に重要なのは、歴史に学び、過去の過ちを繰り返さないように努力することだ。日本における社会主義の歴史を捉える場合、共産党、社会党、新左翼の全体に目配りをして、その功罪を明らかにすることが重要と私は考えている。
元NHK記者と元外務省職員による対談により構成されていた。
第二次世界大戦後の1945年から1960年までの日本の左翼運動の歴史を日本社会党と共産党の動向を柱にして論じられた、佐藤氏・池上氏としてはいつもになく硬派な内容であった。
<目次>
はじめに
序章 「左翼史」を学ぶ意義(議論の準備1 左翼とは何か?、議論の準備2 共産党とは?社会党とは?)
第1章 戦後左派の巨人たち(1945~1946年)(GHQによる「非軍事化」と「民主化」、アメリカを「解放軍」とみなした共産党 ほか)
第2章 左派の躍進を支持した占領統治下の日本(1946~1950年)(「逆コース」の時代、「寄り合い所帯」としての社会党 ほか)
第3章 社会党の拡大・分裂と「スターリン批判」の衝撃(1951~1959年)(社会党の国家観が反映された「平和四原則」、「血のメーデー事件」と朝鮮ビューローの謎 ほか)
第4章 「新左翼」誕生への道程(1960年~)(社会党はなぜ安保反対運動を起こしたのか、新左翼を育てた「社会党の傘」 ほか)
おわりに
池上彰
1950年、長野県松本市生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。報道記者として、さまざまな事件、災害、消費者問題、教育問題などを担当する。1989年、記者キャスターに起用され、1994年からは11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーになり、執筆活動を続けながら、テレビ番組などでニュースをわかりやすく解説し、幅広い人気を得ている。また、9つの大学で教鞭をとる
佐藤優
1960年、東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア日本国大使館勤務などを経て、本省国際情報局分析第一課に配属。主任分析官として対ロシア外交の分野で活躍した。2005年に著した『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮文庫)で鮮烈なデビューを飾り、翌2006年の『自壊する帝国』で大宅壮一ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞を受賞。2020年、菊池寛賞を受賞
【No.911】真説日本左翼史 戦後左派の源流1945-1960 池上 彰 佐藤 優 講談社(2021/06)









