こんばんは、しろくまです。
本日は職場の盗人⑫に続いて、本日は⑬になります。
※前編はこちら↓
職場の盗人⑪
※多方面にご迷惑がかからないよう少し脚色しております
お母様が来られた日、退社後に早速電話がかかってきた。
今日の事は勿論、Bの昔話し、現在の家庭の話、奥さんからの離婚話等、
お話をうかがった。
Bは大学で他県に行き、パチンコ屋でバイトしていた時に奥さんと
知り合ったとのこと。
そして授かり婚をしたのだが、その時働いていた会社では半年ほどで
辞めてしまったとのこと。(もうこの時点で履歴書の内容と違うけどね)
その後アルバイトを転々としてうちの会社に応募してきたとのこと。
母「また正社員で働けると、報告しに来てくれたんですよ」
お母様は大切な思い出を、電話越しでもわかるような嬉しそうな声で話す。
母は凄いなと思う。
さっき「クソババァ!」と実の息子に罵られたばかりなのに、
昔話しとは言え、そんな宝物のように話せるのか、と。
ふと自分の母親の事を思い出すが、私の母もその類の人間かもしれないなと、恥ずかしくもあり、少し嬉しくもあった。
20時からかかってきた電話は、気が付くと0時を回っていた。
ご飯も風呂にも入れていなかったので、そろそろ…と電話を切った。
反面教師というとアレだが、母の事を大事にしなきゃな…と
改めて思わせてくれる機会だったなと思った。
次の日、Bと合うも別段変わった様子も無かった。
それはそれで良い、何度も申し訳無さそうにされるくらいなら、
仕事を頑張ってくれる方がありがたい。
更に次の日、その日は賞与支給日だった。
Bにとっては初めての賞与、うちの会社でというわけではなく、
今までの人生の中できっと初めての賞与。
僅かばかりではあるだろうが、賞与には変わりない。
Bが隣にいた時、そちらに向くこと無くBに話しかける。
私「なぁ、ボーナス出たんだろ?」
B「あ、はい。一応…」
私「別に使い道は個人の自由だけどさ、母ちゃんに何か買ってやりな。別に高いものじゃなくて良いと思うからさ」
B「…はい」
多分、これが私からBに言ったプライベートな事に突っ込んだ最後の
会話だったと思う。
私の中で、「お前は盗人だ」という気持ちと、変われるものなら
変わって欲しいという気持ちが混在していたから。
何となく、自分の過去をBに重ねていたのかもしれない。
私自身、腐っていた時があった。
今は、仕事で多少なりに評価していただき、親の為にお金を使える余裕も
出てきた。
どう生きるかなんて大それた人生論なんて語れはしないし、する気もない。
ただ、身勝手にも、何となく後悔して欲しくないなと、素直に思った。
まだまだ立て直せるし、やり直せる。
暫く見守ってやろうかな、と思い仕事を早めに切り上げて帰るのだった_
次回、最終回です。
最終回はハッピーエンドで終われるのか、はたまたバットエンドか?
Bの行く末はいかに?!
⑭に続く。