日本出国後(2025/4/8) マドリッド(スペイン)~南仏~イタリア~クロアチア南西部・イストラ地方ロシュ村まで(4/16) 2,100km
(地図が横になり見にくいがピンク色の線が走行ルート。赤で印したところが宿泊した場所だ。スペインの首都マドリッドを出発してレリダ(Llerida)~フィゲレス(Figuesres)~南仏アルル(Arles)~イタリア・ピエトラ・デ・リグレ(Pietra de Ligure)~アガダ(Agada)~スロベニアの一部を通過~クロアチア南西部・イストラ地方のロッシュ村(Roc)に至る)
日本出国時からマドリッド着までの難儀
4/8に成田空港からアブダビ(Abu Dhabi)のエティアド(Etihad)航空にてアブダビ経由スペインの首都マドリッドに向かった。
エティハド航空は日本ではあまり知られていないが、石油収入が豊富なアラブ首長国連邦のアブダビを拠点てする航空会社であるため、最新の機材を使用して、エコノミークラスでも預入れ荷物は数量に関係なく30kgまで載せられる。
ヘルメット、スペアーパーツやキャンプ用品等オートバイツーリングの用品が多い当方には便利だった。しかもこの時期成田空港からマドリッドへの片道航空運賃は9万円弱だった。
成田空港からの出発が定刻から約4時間遅れていた。
本来はアブダビで2時間待って、乗り換え便でマドリッドへ行くはずだった。アブダビでの乗り換え便に間に合わない。そのため、アブダビからエジプトのカイロへ飛び、さらにカイロで再度乗り換えをして本来より7時間遅れでマドリッドに到着した。
乗り換えで預け荷物が到着空港に届かないことを懸念していたが、やはり3個預けた荷物のうち1個が届かなかった。幸いツーリングには使わない荷物だったので、マドリッドのバイク店に後を任せることにした。(その後一週間経てもまだ荷物は届いていない)
マドリッドのオートバイショップ(Happy Rider Motorcycles)
日本人のライダーが日本からユーラシア大陸横断後に、オートバイの修理やメインテナンスでよくお世話になるバイクショップがある。 ドイツ系の先祖を持つスペイン人のホセ氏(Jose Luis Ruiz Amade)が信頼できるメカニックとして経営している。
また同氏の奥さんが日本人でスペイン語の通訳ガイドをしている関係で、奥さんを介しての日本語でのやり取りも可能なため、多くの日本人ライダーがお世話になっている。
知人がコロナ禍前にユーラシア大陸横断後、同ショップに預けっぱなしとなっていたスズキ製のVストローム250を知人から昨年夏に有償で譲り受けていた。オートバイは既にタイヤやチェーン等主要な消耗部品は交換を済ませて、当方の出発に併せて、トップケースもオートバイに装着してもらっていた。
以前は日本人ライダーが同店でオートバイを買い、ツーリング後に同店が買い戻す<買取レンタルバイク>のサービスを提供していた。 しかしながら、2年前に法律の変更でスペインの保険会社がスペイン以外の国々を保険の対象としなくなったため、レンタルバイクを含め同サービスは無くなっている。
当方は2019年にアフリカ大陸のオートバイツーリングを行った。その際、スペインのバロセロナ港にて日本から輸送したヤマハ製のセロー250を引き取り、スペインを数百キロ走行後、アフリカ大陸を目指してモロッコへ渡った。その時にスペインでの強制保険(グリーンカード)を取得するため、ホセ氏のお世話になっていた。
ホセ氏とはWhatsApp(Lineの様な無料通信アプリ)を介して、オートバイのメインテナンス依頼等の連絡を取り合っていたが、今回初対面であった。
初対面にも関わらず、ホセ氏が当方をマドリッド空港で車で出迎えしてくれたのには感激した。当方は ツーリング用品が入った段ボール箱等約40kg近い荷物を持っていたので車での出迎えは助かった。
同ショップで、当方は日本から持ち込んだ装備の取付を行うが、ソフトタイプのサイドバックが上手に取りつかず苦戦した。何とか出発準備を整え、マドリッドに2泊後、まだ時差ボケが残るなか、中央アジアへと旅だった。
(マドリッド市内の地下鉄ヌエボス・ミニステリオス駅=Nuevos Ministeriosの近くのホステルはカプセルホテルのようだった。一泊27ユーロ=約4,500円)
(サイドバッグの装着に手間がかかった。オートバイ右側のサイドバッグの底が高熱のオートバイのマフラー触れないようにサイドバッグを引っ張り上げる工夫が必要だった)
マドリッドのオートバイショップ、ハッピーライダーモターサイクルズ=Happy Rider Motorcyclesのオーナーホセ氏と奥様のカヨさん)
(マドリッドのハッピー・ライダー・モーターサイクルからツーリングを開始する。雨が降りそうだったので雨具を着用しての出発だった)
スペインから南仏へ(Madrid~Llerida~Figueres~フランス入り~Arles(アルル)約1,000km
最初の目標地点はトルコとしていた。当方は2023年の7月にトルコのイスタンブールからからマドリッドまで9日間でセロー250にて約3,700km急いで走行して帰国した経緯があった。
既に知っているルートのため、今回は途中の宿泊地は決めていない。
道中のツーリングを楽しむと言うより、トルコまで早く行くと言うことに重点をおいていた。
天気がが怪しく、雨具を着込んでマドリッドを出発した。出発するとやはり雨が降り出した。オートバイツーリングの初日から雨とはついていないが、春先にはこのような天候不順は仕方ないことだ。
雨のお陰で、降雨が少ない乾燥したスペインの大地でも耕作地や牧場は緑の草や黄色い菜の花が絨毯の様に目を楽しませてくれた。
(マドリッドからレリダへの高速道路A2号。丘の上にはスペインらしい高さ7~10mくらいの雄牛の看板が見える。)
(春先の降雨のおかげで牧場や畑では緑がまぶしかった。)
初日のレリダ(Lleida)では宿探しに時間がかかった。
4軒の宿を回った後、最初に訪れていた郊外のホテルに宿泊を決めた。市内中心部から5kmぐらい離れた県道沿いのホテル(Hotel Reina Isabel)だが、ホテルの周りには何もない。部屋の広さ以外取り柄がないが、市内中心部では安全なオートバイ用駐輪場の確保が難しい。
路上駐車はオートバイの盗難やイタズラされるリスクがあるが、周りに何もない郊外ではそのようなリスクが少ない。素泊まり38ユーロ(約6,300円)はレリダでは最安値だとホテルの受付嬢に説明された。
(レリダ郊外で一泊したHotel Reina Isabel)
宿泊施設探しで、時間が失われるのはもったいないと考え直して、翌日の分(フランスとの国境近くのフィゲーレス=Figueresの町)は事前にBooking.Com(オン・ラインのホテル予約サイト)で民泊施設を予約することにした。
フィゲーレス(Figueres)はフランスとの国境に一番近い町ということで、興味があった。町は事前の想像とはずいぶん異なっていた。
スペインらしくなくフランスの町らしくも無い。アフリカ系、アラブ系、パキスタン系と外国人が非常に多い。
ファスト・フード店等食べ物系のショップは外国人労働者に頼っている。マドリッドでも外国人アフリカやアジア系の外国人労働者は増加しているが、フィゲーレス程でない。
2泊目のフィゲーイレスの民泊施設は町の中心地のアパートの一室だった。
民泊施設にはオートバイの駐車場が無いのは事前に知っていたが、何とかなるだろうと軽く考えていた。
しかしながら、町の中心地はいかにも治安が悪そうだ。警察官に聞くと<路上駐車は止めといたほうが良い>とアドバイスされる。
リーズナブルな料金で安全な駐車場を探すが、なかなか見つからない。 結局、夜間は門が閉まり、監視カメラを備えた鉄道駅の無人駐車場に駐車した。 料金は約10ユーロ(約1,650円)。
そこの駐車の係員は夜間でも警備員が常駐する地下駐車場をすすめたが、その地下駐車場は一日40ユーロ(約6,500円)の駐車料金がかかり、当方が泊まる民泊料金28ユーロ(約4,600円)より高く。 駐車料金が40ユーロでは手が出せない。
無人駐車場だと、いたずらされたり、部品を盗まれたりする危険性があると駐車場係員からさんざん脅されたが。真実かどうか知れないが、その係員は駐車中に自分の車のバッテリーを4回盗まれたと言う。
(フィゲーレス=Figueres民泊した建物)
(フィゲーレス=Figueresではアフリカ系や南アジア系の外国人を多く見かけた)
レリダとフィゲーレスではホテル探しやらオートバイの駐車場確保で当方が想定したより手間と時間がかかった。 それに懲りて、3泊目のアルル(南仏)では駐車場付きのモーテルを予約することにした。
フィゲーレスから30km~40km東に走行するとフランスに入る。
国境地帯は深い谷間になっている。国境は人の行き来が困難な山とか川とか谷になっていることを実感させられる。
道路上には国の名前を書いた看板が国境の目印として立っているが、それが無ければどこが国境か判らない。
交通量が少ない国境では、オートバイを路肩に止めて国境の看板を背景に記念撮影をするのだが、深い谷の橋上ではオートバイを止めることができなかった。もっぱら一般的には国境の写真撮影は禁止されているが。
3泊目 フィゲーレスからフランス入り。そしてアルルまで
フランス国境からアルルまで約250kmだ。時間を節約するため有料の高速道路を使う。この日も雨具を着用してフィゲーレスを出発した。出発して30分ぐらいで雨が降ってきた。
行く先の空はもっと黒い雨雲がかかっている。 雨の日のオートバイ走行は気分が滅入るが、覚悟を決めてアルルを目指す。
高速道路の一番路側帯に近い車線はトラックが十分な車間距離を取らずに走行している。250ccエンジンの当方のオートバイはトラックとトラックの間に挟まれたままで、前も後ろも見えない状態だった。
更に雨が強くなり、前方がよく見えない。
譲り受けたオートバイにはフォグランプが装備されていた。安全のため、フォグランプを点灯させて当方の前方を走行するトラックに注意を促す。
まだ時差ぼけで、頭がすっきりしない。しばらく走行すると眠くなる。パーキングエリアの椅子に頭を下げて休憩していると、フランス人ドライバーが当方のことを気遣って<大丈夫か?具合がわるいのか?>と声をかけてくれる。 どの国でも、他人に気遣ってもらうのは有難い。
アルルはルノアール等19世紀後半の絵画の印象派が活動拠点を置いた場所だった。当初は観光でもしようかと考えていた。しかし雨の中では観光をする気も起こらなかった。
予約してあったホテルPremiere Classeは高速道路近くのくたびれたモーテルだった。外廊下にはたばこの吸い殻が落ちていたり、清掃が行き届いていない。
物価がスペインより高いフランスで部屋料金が朝食付き39ユーロ(約6,400円)では<駐車場があるだけましか>と納得する。
(アルル=Arlesで宿泊したのモーテル。入口の電光掲示板には宿泊料金が表示されている)
南仏からイタリア・リビエラ海岸~ガルダ(ベロナ)~スロベニア~クロアチアのロシュ村(Roc)約1,000km
南仏にはアルルに一泊したのみで夏場にはバカンス客で賑わうニースやモナコがあるコートダジュールを一気に通過してイタリアへ入国する。海岸から高さ70m~100m位の小山の中腹に造られた高速道路から地中海の眺めが良い。
リビエラ海岸(4泊目)
このあたりの海岸はリビエラ海岸(Riviera)と呼ばれ風光明媚な海岸地帯だ。過去2回この海岸線を崖の中腹にかかる高速道路をイタリア側から南仏へのオートバイで通過したが、海岸沿いをゆっくりと走行したことが無かった。
リビエラ海岸沿いの町の宿泊物件をBooking.Comで探した。イタリア・フランス国境とジェノバ(Genova)との中間に位置するピエトラ・デ・リグレ(Pietra de Ligure)に手頃な料金のホテル(Hotel Villa Paolina)を見つけた。 部屋料金は素泊まり43ユーロ(約7,000円)だった。
奇麗でスタッフがしっかりしたホテルだった。ただしこの時期にはバカンス客はほとんどいない。寒い雨の中、ビーチに一人だけ水着姿おじさんが海に浸っていた。 変人か?
バカンス客がいない雨のリビエラ海岸は暗く物悲しかったが、そのおかげで当方は割安に宿泊できた。夏場には部屋料金は2~3倍になると言う。
(ピエトラ・デ・リグレ=Pietra de Ligureの海岸)
(ピエトラ・デ・リグレの中心部。雨で夕方のため人通りはほとんど無かった)
(ピエトラ・デ・リグレのHotel Villa Paolina)
5泊目 ヴェローナの近くの小さな町ガルダ(Garda)
リビエラ海岸から約360kmを走行してヴェローナ(Verona)近くのガルダ(Garda)まで来た。
ヴェローナは映画でおなじみのロミオとジュリエットの舞台となった古都と知られている。
ヴェローナの観光には興味がなかったので、ブドウ畑が多い郊外のガルダ(Garda)という小さな町で小さなホテルを見つけて、そこまで走行した。
降雨が多いせいで、山々はは緑の木々に覆われ、広大なブドウ畑の木が葉をつけ始めていた。この地はワインの産地であり、耕作できる土地はブドウ畑になっている。
ここでの宿泊は個人経営の小さなレストラン・ホテルだった(La Lanterna 素泊まり36ユーロ=約6,000円)。宿泊する当日の朝Booking.Comのサイトで部屋を予約した。先を急いでいたため、Bookin.Com
からの予約確認書の詳細をあまり読んでいなかった。
ホテルに到着するとレストランが休業日のため誰もいない。
どのようにしてホテル内に入るか判らない。
たまたま庭で作業をしていた職人に部屋の入り方を手助けしてもらった。
スマホをインターネット回線につなげてBooking.Comをチェックすると、 予約確認書にはダイヤル式でロックがかかっている郵便受けのような小さな箱を開けて、鍵を受け取り自分でチェックインすることになっていた。
今回はスマホに欧州各国で使用できるeSIMを事前にインストールしてインターネット回線を確保していた。
そのおかげでWiFiが無いところでもスマホでBooking.Comのサイトを確認することが出来た。
今までは滞在が数日の国をツーリングする場合はスマホにSIMカードををいれずに、ホテルのWiFiでネット回線を確保していた。
ガルダまで5連続休み無しで、高速道路を走行してきた。トラックとトラックの間に挟まれて、高速道路を走行するのはストレスが溜まり疲れる。 翌朝はもっと寝ていたいと思ったが、次の宿泊地で連泊しようと事前に決めていた。
ヴェローナ近くのガルダ=Garda付近のブドウ畑)
(ガルダ=Gardaで投宿した小さなホテルLa Lanterna。小さなホテルを兼業しているレストランが多い)
2つのルート
イタリアから先のルートを決めかねていた。
イタリアから内陸方面へとスロベニア~セルビア~ブルガリア~ルーマニア~ブルガリアからトルコへ至る内陸ルートか、あるいはイタリアからアドリア海方面へ向かい、アドリア海沿いにスロベニア~クロアチア~モンテネグロ~アルバニア~ギリシャ~トルコに至る海岸ルートの2つを考えていた。
内陸ルートはルーマニアを除けば2023年7月に通っている。しかし、オートバイの保険がセルビア以外は有効なので手間が省ける。また物価が安いのも有難い。
他方アドリア海ルートはモンテネグロとアルバニアの一部のみ2017年7月に走行しただけで、ほとんど知らないルートだ。ただし、モンテネグロとアルバニアはグリーンカード(欧州のオートバイ保険)が有効でなく、それぞれの国に入国する際に保険の加入が必要だ。
迷った末に、今後の天気がよさそうなアドリア海ルートに決めた。
6泊目 スロベニア経由クロアチアへ入国。ロッシュ(Roc)の山村に宿泊
ガルダからベネチア(Venice)方面へ向かい。そしてトリエステ(Trieste)からスロベニア~クロアチアへ入る。
スロベニアは40km~50km程度走行して通過するだけだ。
ガルダを出発したときは晴れていたが、途中から曇りとなり、その後霧雨へと変わった。天気が良くないのは判っているので、出発するときから雨具は着用する。
ヴェローナからベニスへは広い平原が続く。単調な景色だったが、200km連続走行しても、珍しく眠くならなかった。
走行距離が200km過ぎたあたりから疲れのため、急激に睡魔に襲われる。 そんな時は無理をせず、高速道路の緊急避難帯に急停車して睡魔が引くのを待つ。
ベニスを通過したあたりから高速道路のトラックの数が減り、更に先のトリエステからスロベニアへ向かう道路ではトラックは激減した。
スロベニアはアドリア海にも国土の一部が面している。 その部分は40km~50kmの距離で短い。
スロベニアの途中から高速道路を降りて山間部の一般道に入る。
まるで信州の高原道路を走行しているような景色だ。 車は非常に少ないのでマドリッドを出発して以来、一番快適な走行となった。
クロアチアでの宿泊する宿は決めていなかった。
クロアチア入国後に探すつもりで、I Overland(車両での陸路旅行者用のアプリ)のアプリで目星をつけていた小さなホテルへ向かった。
目星をつけていた街道沿いの小さなホテルは満室だった。そこの主人に教わった街道から外れたロシュという(Roc)村で見つけたゲストハウス(Apartman Pino)に宿を取った。
この時期アドリア海方面へ向かうバカンス客はほどんどいない。 そのゲストハウスは2階建ての2世帯住宅の民家だった。 当方一人で2ベットルーム、キッチンと食堂付きの家をい独占した。 6日連続走行後、休憩とブログ更新を兼ねて2連泊する。
宿の女主人に一泊50ユーロと当初言われたが、2泊で70ユーロ(一泊35ユーロ=約5,700円)で交渉がまとまった。
(スロベニアとクロアチアの国境。シェンゲン条約加盟前には国境検問所があった)
(クロアチア南西部のイストラ地方=Istraの地方道)
(クロアチア・イストラ地方のロッシュ村(Roc)。投宿した宿のベランダからみた村)
ロッシュ村のゲストハウスAtartman Pino)
(当方一人で広いゲストハウスを独占した)
通行料金が高い高速道路
欧州で高速道路が有料な国は。多くない。 有料なのはイタリア、フランス、スイスぐらいだろう。その他の国は無料だ。
イタリアの高速道路料金は高い。 約700kmの走行で通行料金は60ユーロ(約10,000円)強だった。
フランスでは約450kmの走行で30ユーロ(約5千円)強だった。 円安のためもあるが、イタリアの高速道路の通行料金は、世界でも割高と言われている日本の高速道路より高い。
以上


















































































































































































































































































