将棋NHK杯戦の本戦シード基準が変
将棋NHK杯戦は先週の羽生、今週の森内と相次いで永世名人資格保持者が登場した。羽生は勝利して2回戦で藤井と当たる。ファンは喜んでいる。森内は完敗。戦前のインタビューで「久しぶりに予選を突破」と語っていた。そうか、永世資格保持者でも予選回りなのか。改めてNHK杯戦の本戦シード要件を確認すると、片上の文章にぶつかる。NHK杯予選のしくみ 片上大輔七段が徹底解剖 - NHKテキストビュー|BOOKSTAND(ブックスタンド) 第71回NHK杯予選では永世称号資格者から新人まで136人が横一線に...bookstand.webdoku.jp【1】 前回ベスト4【2】 タイトルホルダー・棋戦優勝者【3】 永世称号者【4】 順位戦A級・B級1組【5】 成績優秀者 では、来期、羽生は予選回りになるのか。で、谷川は永世称号を名乗っているので、今期は2回戦シードになっている。 片上本人は『なお【3】に関しては、近年は現役中に永世称号を名乗るケースがないため該当者なしとなっており、今期は谷川九段(十七世名人)と森内九段(十八世名人)がいずれも予選から出場している。個人的な意見だが、称号を名乗るかどうかで差異が生じるのは微妙な気もする。』と抑えた言い方をしているが、微妙どころではなく、おかしいでしょ。資格保持者が名乗りをしないと予選回り、名乗ると2回戦シード。予選出場者が2回戦に達するには4勝が必要なわけで、この人達の格でここまでの格差をつける理屈は何か? 以前、米長の晩年に永世棋聖の資格で本戦シードされてはいたものの、さっぱり勝てない、言い切ってしまうとカモと化していたことを思い出すのだが、永世資格保持者のシード自体がダメだという気はない。興行的には十分ありだろう。現在の永世資格保持者5名(羽生、渡辺、谷川、佐藤、森内)をみると、羽生は竜王戦2組、棋聖戦準決勝進出、渡辺は体調不良ながらもA級、佐藤は竜王戦1組(残留確定済み)、B1(次期は厳しいかもしれない)、森内も竜王戦1組(残留確定済み、本戦進出の可能性を残す)で一流棋士としての実績を維持している。谷川は竜王戦4組でこの5人の中では相当に落ちる。 羽生がこのままだと予選回りになる来期の抽選前に、シード基準を再考する方がいい。永世資格保持者は1回戦シード。但し、3年連続初戦敗退の場合はシード資格喪失とか。米長の晩年のグダグダを回避しつつ、戦績への尊敬、興行としての期待のバランスを取ればこれくらいか。成績優秀者の優遇というのも、相手次第のところもあり、妥当性を感じない。せいぜい予選シードくらいが相場ではないか。 NHK杯戦だけこういうフリーダムが許されているのか、全棋戦、主催者には基準設定の裁量があるのか私には見当がつかないのだが、検討の余地は大ありと思います。