将棋順位戦の各クラス1回戦が始まり、昨日はA級で永瀬対佐藤天彦戦があった。午後9時くらいに局面にアクセスして、後手陣(佐藤側)の異形に顔を顰めるしかなく、「永瀬であれば辛く勝つだろうな」と予測したのは私だけではないはずだ。

 

 今日になって棋譜を並べてみて、佐藤が勝っていたので、驚く。AI検証の前に自分で考える。まず違和感のあったのが、1図の角成で、△3八竜とダイレクトに竜の侵入を許しなおかつ飛車金取りになっている。これで手抜けるような攻撃手段が先手にないのだから、意味が全然分からない。1六角はこのまま据置にしておくか(1五角が全く機能していないので、対比すれば有利な要因ではある)、どうしても角を使いたいなら5二に成るしかないはずである。

 

 

 ▲5九飛と回避するが手番が後手に行ってしまい、変すぎる。

 

 佐藤の△2七歩成も良く分からない手だが、そこから▲4八銀△7六歩▲3九飛が理屈が全然想像できない手順である。飛車の入手が後手玉の寄せで必要だという判断であれば、▲4八銀では▲4八金と当てるはず。2手かけて飛車に当たりをかけるのでは経済性が悪すぎる。

 

 その間に△7七歩成▲同金とド急所の桂馬をタダで取られて△8五桂打が強烈。後手に渡した桂馬が予備戦力となってそのまま先手玉に襲い掛かってくる。対して一手かけた4三馬、3九飛が全く機能していない。

 

 一体何があったのかさっぱり分からないままだったが、AIで確認すると上の感想はまずまずまともだったようではあった。その前に永瀬に勝ち筋がいくつかあったようでもあり、ご本人にとっては無念であろうが、この負けは先手番でまずは勝てると目算のあったところでのものだろうから、無念以上の痛さであろうか。

 

 永瀬の実力に鑑みれば、年度二回はタイトル戦に出ても不思議ではないのだが、藤井聡太と再度見えるのはいつのことになるだろう。