「週プレ」9月22日号「政府はこうやって世論を操っている!俺たちを思考停止にする安倍政権“4つの | TABIBITO

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コンビ二や書店に行っても、「週刊新●」「週刊●春」「週刊現●」「週刊ポ●ト」などの“メジャー”な週刊誌は、引き続き何かに取りつかれたかのように、毎週同じような“激しい”見出しが躍り、記事の中身もこれまでの焼き写しか、目新しいものもなく、一部のコラム以外は、とても読む気になれない。
 
 
イメージ 1一方でここのところ3週連続で沖縄問題の特集を連載した「週刊プレイボーイ」の9月22日号。
もちろん、裸も多いのだが、本来、メジャー週刊誌がとりあげるべきような政治や社会に関する“硬派”な記事が盛りだくさんだ。
 
○「史上初の日・米・中合同演習inハワイの舞台裏 中国軍『無礼すぎるスパイ行動』を実況中継!」(3頁)
 
○「史上最強のネオ過激派『IS』(イスラム国)“同時多発テロ”カウントダウン!!」(3頁)
 
○「中国産は怖いけど、すでにオレたちはコンナインチキ食品を食わされている!!!」(4頁)
 
○「俺たちを思考停止にする安倍政権“4つのテクニック”!」(4頁)
 
○「豪雨、洪水で都心はここまで水没する!! 東京『危険な繁華街』『浸水する地下鉄』」(4頁)
 
○「悪化する日韓関係を改善せんと!あの統一教会が本気で日韓トンネルを掘り始めた!!」(4頁)
……あの「合同結婚式」や「壷売り」で有名な世界基督教統一神霊協会が、佐賀県唐津と長崎県対馬で広大に土地を買収して、韓国の巨済島、釜山までの海底トンネルを本気で掘り始めているというのには驚いた。
 
健康に関わる特集「20代~40代に急増中!! マジで死ぬほど痛い病気から身を守れ!」とい13頁の大特集もなかなか実用的である。
 
 
 
さて、それらの中で、元経産相官僚の古賀茂明氏の「古賀政経塾!!拡大版」で「政府はこうやって世論を操っている!俺たちを思考停止にする安倍政権“4つのテクニック”!」と題した特集を紹介したい。
 
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古賀氏は、第二次安倍改造内閣発足について述べながら「自信を深めた安倍首相は今後、『日本を取り戻す』ための政策を実現すべく、国民の説得に乗り出してくることだろう」として「だが、そこで安倍首相の言い分を唯々諾々と聞いていたら、たいへんなことになる」と警鐘を鳴らす。
そして、「安倍政権は平気でウソをつく。しかも、そのウソを巧妙な詐術で押し通してしまう老獪さも併せ持っている。その結果、特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認などのキナ臭い政策があっという間に実現していった。これ以上、政治の暴走を許さないためにも、国民は安倍政権の世論操作術を知る必要がある」として、安倍政権には「国民はどんなに怒っていても、時がたてば忘れる」という原則をベースにした、有権者を思考停止に追い込む「4つのだましテクニック」があるのだという。
 
その第1は、「勢いよく、何度も言えば“ウソでも通る“」というもの。
安倍首相は「饒舌かつ断定口調でウソをつく」「勢いよく、あるいは歯切れよくウソをつく」という。
そのテクニックで国民をだましたのが、首相がひたすら「日本が他国の起こした戦争に巻き込まれるようなことは絶対にない」と勢いよく連呼した、集団的自衛権行使容認に関する議論だ。「ウソも100回言えば、本当になる」という言葉の通り、首相の歯切れのよさに「あれだけ首相が言い切っているんだから」と言いくるめられてしまうという。
 
また、昨年のIOC総会では、福島原発からの汚染水について事実は1日400トンずつ汚染水が増え処理が追いつかないにもかかわらず「完全にブロックされている」と発言したことも指摘。
実は、官僚のつくった文章では「完全にブロックされています」の前に「福島第一原発の0.3k㎡の港湾内」という修飾語がついていたものを、安倍首相が、「論理の破綻や前後関係の矛盾などはおかまいなし」に、なんのてらいもなく「完全にブロックされている」と言い切って、「安倍首相の勢いで周囲はまんまとだまされてしまう」のだという。
 
第2は、「新しいテーマを次々出せば、国民はすぐに“気がそれる”」だ。
「安倍政権は日替わりメニューのように、国民の関心を引きそうな政策を打ち出してくる」として、例えば「オリンピック招致、企業への賃上げ要請、法人税減税、設備投資減税、残業代ゼロ政策、農協改革、減反廃止といった刺激的なメニュー」を並べ、この秋も「カジノ法案、地方創生政策」などが喧伝されるだろうが、そのメニューはほとんどが中途半端、尻切れトンボで終っているという。
「安倍政権は、本当はやる気がないのに、支持率アップを狙って国民受けしそうな政策をブチ上げる傾向がある」のだそうだ。
そして、実現できなくても不満が噴出しないように、「新しい政策を次々と提示することで、国民の関心を新しいメニュ-にそらそうとするのだ。当然話題になる。そうしている間に、つい2ヶ月前に前に議論されていた政策も静かにフェードアウトしていく」という。
 
第3は、「ひとつのテーマをバラバラに小分けして、“全体像を見えにくくする”」という戦法だ。
古賀氏は、安倍首相の本当の目標は「日本を軍事力重視の列強国」にすることだとしている。
しかし、それをストレートに打ち出すと国民が反発するので、安倍首相は、「パーツごとに小分けし、ひとつひとの政策はあたかも無関係であるかのように装いつつ、全体としては安倍流『戦争国家』の実現を目指すという手法を取っている」のだという。
例えば、「集団的自衛権の容認」「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法」「特定秘密保護法」の3つは基本的にバラバラに議論され、バラバラに成立。しかし、次のように、ひとつの線で結ぶと“共通の目的”が見えてくる。
「例えば、日本が戦争に巻き込まれる危険性のある軍事的貢献をアメリカから求めらたとしよう。集団的自衛権を容認した日本は、当然その要請に応える。その判断はNSCに参加する、首相、官報長官、外相、防衛相の4大臣だけで決められる。閣議にかければ、公明党の大臣から賛成を得るのは至難の業だが、NSCならややこしい調整をする必要はない。また、そのことは特定秘密保護法によって極秘事項とされるから、参戦の理由などについて説明する必要がなく、後々責任を問われることもない」
3つのことは「戦争に参加しやすくする」ためにセットで用意されたもので、さらに、「武器輸出三原則の廃止」「国防軍の創設」「ODAの軍事利用解禁の検討」などもその延長線上に位置するものだという。
 
そして、第4は、「表紙のタイトルと“違う中身を忍ばせる”だ。
首相が好んで使う「積極的平和主義」というフレーズは、一見、平和への熱烈な思いにも聞こえるが、実態は間逆で「安倍首相が目指すのは軍事力を使った貢献にすぎない」とする。本来は、「積極的平和主義」とは平和学でいう「積極平和」の定義から生まれ、戦争根絶に加え、飢餓や貧困のない世界をつくるという態度やイデオロギーのことを指すが、安倍首相は軍事貢献のことしか言わず、「積極的軍事主義」と呼ぶべきものだと指摘。
また、同じ様に“表紙タイトル”と“中身”があまりに違うものの代表として、「防衛装備移転三原則」という用語をあげ、武器輸出に厳格な歯止めをかける「武器輸出三原則」に代わり、安倍政権が新たな輸出基準として打ち出した「『防衛装備移転三原則』とは、『武器輸出三原則』を葬り、日本事実上の武器輸出国にするためのもの」だとする。
そして、「安倍政権は『新三原則をちゃんとつくったから』とうそぶくだけでなく、攻撃的なイメージの強い『武器』という2文字を平和的なイメージがある『防衛装備』と言い換えた。だがその正体は想像以上にキナ臭いものだ」と述べている。
 
最後に「3日の内閣改造後の記者会見で、安倍首相は、『経済最優先』で政策をすすめると宣言したが、これも大嘘だ」として、集団的自衛権の行使容認で支持率が下がり、「来春の統一地方選までは、タカ派的政策は隠しておこうというだけ」だと指摘、「地方創生、女性活躍という政策の優先課題も、支持率回復のためのまやかし政策にすぎない」と述べる。
そして、地方選が終れば、元の「軍事立国路線」に戻るのは確実で、安倍政権は国民をだまし続けている。
国民は「安倍政権のだましのテクニックを見破り、政策を批判しなければならない。軍事に絡むものは特に厳しい目で見るべき」で、「そうでなければ安倍政権はさらに増長」し、「その先にあるのは戦争に突き進む暗い未来だ」と結んでいる。
 
 
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今回の記事には書かれていないが、私が考えるには、もうひとつ、「俺たちを思考停止にする安倍政権のだましのテクニック」として、歴代の政権にもなかったような「メディアコントロール」があるだろうと思う。
首相がメディア幹部とこまめに会食を重ね、NHK経営委員も首相の「お友だち」になるなどの中で、大手新聞やテレビ、“メジャー”週刊誌が以前にも増して政府批判のトーンが弱まり、一方で、政府がすすめようとする方向へと向かう空気をつくる役割を果している。
 
嫌韓・嫌中など外国や外国人に対してもそうだが、国内でも、正規社員と非正規社員、申告納税者とサラリーマン、公務員と民間労働者、生活保護受給者と年金生活者・低所得者などの対立構図が知らず知らずのうちにつくられ、分断され、場合によっては相手の人格を否定するような事態にまで陥る。
そうなれば、権力の思うつぼであり、支配者にとってこれほど都合のよいものはない。
 
特に、これから消費税10%増税に向けた議論が始まるだろうが、いつものように、メディアの宣伝によって、国民の中に「分断と対立」を持ち込ませないように、だまされないようにすることが、国民の生活を守るためも肝心だ。
 
 
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