流離の翻訳者 青春のノスタルジア -30ページ目

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

私が大学生くらいまで、よく話し相手になってくれた叔父の家の茶の間にはテレビがなかった。その代わりに大型のラジオがいつもつけっ放しになっていた。ラジオには大きなスピーカーが接続され壁に掛けられていた。

 

家族はいつもラジオを聴きながら食事をしていた。テレビと異なりラジオだと食事に集中できた。まるで高校の教室で弁当を食べているような感じだが、家族の会話は結構弾んでいたように思える。

 

食事が終わって暫くすると、いつも叔父はウィスキーをもって二階に上がり、水割りを飲みながらテレビを観るのを日課としていた。

 

京大の英作文の問題を眺めていたら、そんなことを懐かしく思い出した。

 

 

 

(問題)

テレビが現れる前には、茶の間の中心はラジオだった。私たちは、小さな魔法の箱から飛び出してくる音を胸をわくわくさせて聞いた。テレビと共に育っている人たちは、ラジオは表現力の点で劣ると考えるに違いない。しかし、映像表現を欠くラジオはそれ故に、私たちの心をかえって想像力豊かなものにしてくれた。

(京都大学 2002年後期)

 

(拙・和文英訳)

Before television became popular among households, radio had been the center of a living room. We listened excitedly to the sound popping out of the radio, so to speak, a small magic box. Those who grow up with television must think that radio would be inferior to television in terms of expressive power. However, radio, which lacks visual expression, had made our minds more imaginative all the better for it.

 

先週、株式投資の世界にデビューした。堅調が続く昨今の株式市場を見ていて今がチャンスかと考えた。

 

現有の銘柄を整理・売却し、新規に数銘柄を購入した。株・証券のテキスト的な本や四季報を備えて株式投資をしっかり勉強することにした。暫く株価から目が離せない時期が続くことになる。

 

 

ちょっと気味が悪い名前だが「恐怖指数」というものがある。米シカゴ・オプション取引所が公表しているもので、投資家の心理を反映しているらしい。

 

 

 

(日本文)

米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P500種株価指数を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出、公表している指数で、英語では「Investor Fear Gauge」、別名Volatility Index(略称:VIX)と呼ばれる。

将来の相場に対する投資家心理を反映する指数とされており、一般的にVIXの数値が高いほど投資家の先行き不透明感も強いとされる。

通常は、10から20の間で推移することが多いが、相場の先行きに大きな不安が生じた時は、この数値が大きく上昇する傾向がある。

(野村證券「証券用語解説集」から引用)

 

(拙・和文英訳)

This index is calculated and published by Chicago Board Options Exchange (CBOE) in the United States on the basis of the volatility of options trading for the S&P 500 Stock Index. It is an index called “Investor Fear Gauge,” also known as the Volatility Index (abbreviated as VIX) in English.

It is said to be an index that reflects investors’ sentiment regarding the future market, and in general, the higher the VIX value, the stronger the uncertainty of investors.

Normally, it tends to move between 10 and 20, but when there is great uncertainty about the future of the market, this index tends to rise significantly.

今年の梅雨は、いわゆる「陽性の梅雨」のようだ。雨の降り方と梅雨の晴れ間がはっきりしている。湿度は全般に低い。そろそろ紫陽花も見頃となりそうである。

 

 

今回も金融・証券用語に関するものである。いずれも金融機関の救済に関するものである。

 

 

(日本文)

「ベイルアウト」とは、経営危機にある金融機関に対して政府等の第三者が資金を提供することで、破綻から救い出す救済方式をいう。企業救済に税金を投入するため、納税者の大きな反感を買うことが多く、ベイル・イン方式を採用すべきではないかとの議論が世界各国の規制当局によってなされている。

 

「ベイルイン」とは、経営危機にある金融機関を債権者が債務の削減・減免や返済猶予・普通株式への転換等の形で負担し、破綻から救い出す救済方式をいう。リーマン・ショックの際に、米政府が公的資金を投じて救済するベイル・アウト方式が使われ、納税者の怒りを買っったことを受け、G20の規制当局と中央銀行で構成する金融安定理事会(FSB)で、公的資金を投入した銀行救済を回避する方法として、このベイル・イン方式を国際的ルールとして策定する計画が打ち出された。

 

(拙・和文英訳)

"Bail-out" refers to a rescue method in which a third party such as the government provides funds to financial institutions in financial crisis to rescue them from bankruptcy. Injecting taxes into corporate bail-outs has often caused a great deal of opposition from taxpayers, and regulators around the world are arguing that a bail-in approach should be adopted.

 

"Bail-in" refers to a rescue method in which creditors pay financial institutions in financial crisis in the form of debt reduction or exemption, deferment of repayment, or conversion to common stock, etc., and rescue them from bankruptcy. At the time of the Lehman shock, the US government used a bail-out method in which public funds were invested to bail-out, which angered taxpayers, and the Financial Stability Board (FSB), which consists of G20 regulators and central banks, launched a plan to formulate this bail-in method as an international rule as a way to avoid bailouts of banks that invested public funds.

 

近隣の水田で田植えが始まっている。昨日6月6日は二十四節季の「芒種(ぼうしゅ)」稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く頃の意味である。

 

 

今回も金融・証券用語を一つ紹介する。「質への逃避」というもの。

 

先行きに対する不安が著しく高まった時、リスクを避けるために「より安全性(信用度)・流動性(換金性)の高い投資対象」を投資家が求めることをいう。

(野村證券「証券用語解説集」より引用)

 

 

英語では fly to quality とか flight to quality という。

 

「逃避」を和英辞典で引くと普通は escape だが、⦅文⦆として flight も記載されていた。

 

英英辞典には5⃣に以下の記述があった。

 

Flight:

Flight is the act of running away from a dangerous or unpleasant situation or place.

危険または不快な状況または場所から逃げ出す行為。

 

英文例は以下のとおり。

 

1) Reflecting expectations of the slowdown in economic growth and a flight to quality during the market turmoil, long-term government bond yields declined with fluctuations.

 

長期国債利回りは、経済成長の減速感や市場の混乱による「質への逃避」への期待を背景に、ボラティリティを高めつつ、低下基調で推移した。

 

2) In fact, after the Paribas Shock, the safe asset share jumped considerably and the total assets also skyrocketed, showing the strong flight to safety that devastated the ABCP market, and the ABS market in general.

 

実際にパリバ・ショック直後から安全資産のシェアが顕著に増加し、総資産も急増したことが観察されており、これはABCP市場を含めた資産担保証券市場全体を崩壊させた「安全資産への逃避」を示している。

 

5月下旬から株式市場が上昇してきており、今日は32,000円台を超えてきた。約33年振りのことらしい。

 

「ボナンザ(Bonanza)」はスペイン語で、良い天候繁栄豊かな鉱脈、を意味するが、金融英語の世界でも、予期しない大当たり大儲け思いがけない幸運の意味で時々お目にかかるものだ。

 

 

英英辞典の定義は以下のとおり。

 

Bonanza (= windfall):

You can refer to a sudden great increase in wealth, or luck as bonanza.

突然に財産や幸運の大きな上昇(大当たり)に恵まれること。

 

 

以下に、英文例を記載する。

 

1) Abundant natural resources are often cited as the key to Australia's robust economic growth, but taking a closer look, we will notice that the resources bonanza is not the only factor that supports the economic prosperity of Australia.

 

オーストラリアの力強い経済成長の鍵として、豊富な天然資源がよく引用されるが、よく見てみれば、オーストラリアの経済的繁栄を支える要因が多量の資源だけではないことがわかる。

 

2) Countries in the region started to record high trade surpluses, but such a bonanza period is over.

 

その地域の国々は高い貿易黒字を記録し始めたが、そんな大当たりの期間も終了した。

 

昨日は梅雨の晴れ間で爽やかな夏空が広がった。山陰線をドライブしたが、気温はさほど高くなく、すこし冷たい風が心地よかった。

 

 

今回はもう一つ動物を使った金融・証券用語を紹介する。「強気(Bullish)」「弱気(Bearish)」というものだ。

 

Bull 「雄牛」Bear「熊」だが、決して雄牛が熊より強いということではない。ブル・ベアともに、相場の強気・弱気を示す言葉である。

 

「ブル」強気のことで、雄牛が角を下から上へ突き上げる仕草から相場が上昇していることを表し、「ベア」弱気のことで、熊が前足を振り下ろす仕草、あるいは背中を丸めている姿から相場が下落していることを表す言葉として使われている。

(SMBC日興証券「初めてでもわかりやすい用語集」から引用)

 

 

 

こちらも、単語の定義を確認しておく。

 

Bullish:

On the stock market, if there is a bullish mood, prices are expected to rise.

株式市場で、株価が上昇することが予想される状況を bullish という。

 

Bearish:

On the stock market, if there is a bearish mood, prices are expected to fall.

株式市場で、株価が下落することが予想される状況を bearish という。

 

以下に、英文例を記載する。

 

1) In the meantime, a bullish economic outlook prevailed among firms, and they substantially augmented their production capacity.

 

この間、企業間で強気な経済見通しが優勢となり、企業は生産能力を大幅に増強した。。

 

2) Analysis of recent data indicates a strong sign that the current bearish cycle is unlikely to continue in the near future.

 

最近のデータ分析は、現在の弱気サイクルが近い将来も続く可能性は低いという強い兆候を示している。

 

 

「タカ派」と言ってもソフトバンク・ホークスファンのことではない。

 

「タカ派」/「ハト派」ともに、元々は政治的傾向を分類する際に用いられた言葉で、武力行使など強硬手段を辞さない人や集団のことを「タカ派」といい、平和主義的で穏健な考え方をする人や集団「ハト派」といった。

 

 

これが、金融・証券の世界ではちょっと意味が違ってくる。

 

「タカ派(Hawkish)」とは、各国中央銀行の金融政策決定に関わる幹部のうち、物価の安定を重視し金融引き締め的な政策を支持する人のことをいい、「ハト派(Dovish)」は、それと反対に、景気刺激に前向きで金融緩和的な政策を支持する傾向がある人のことをいう。

(以上、大和証券「金融・証券用語解説」より引用)

 

 

 

以下、単語の定義を確認しておく。英英辞典の定義は政治家や政府に対する元々の意味である。

 

Hawkish:

Journalists use hawkish to describe politicians or governments who are in favor of using force to achieve something, rather than using peaceful and diplomatic methods.

 

Dovish:

Journalists use dovish to describe politicians or governments who are in favor of using peaceful and diplomatic methods to achieve something, rather than using force or violence.

 

以下に、英文例を記載する。

 

1) Why the Fed is so hawkish and rushing to raise the interest rate. In other words, the Fed will raise the interest rate unless the long-term interest rate is elevated too much, or there is a radical crash in the stock markets.

 

なぜ米連邦準備理事会(FRB)はタカ派的に利上げを急ぐのか。つまり、長期金利が過度に上昇したり、株式市場が大暴落しない限り、FRBは金利を引き上げるということだ。

 

 

2) Key fixed income views on markets in 2019: With a more dovish stance by global policy makers, risk assets will find a reprieve as policy easing occurs and growth stabilizes, but the likelihood of volatility remains high.

 

2019年における主な債券市場の見方:グローバルに見ても、政策担当者の姿勢はハト派寄りであることから、金融緩和政策が行われ成長が安定化するとともに、リスク資産の動きにも一服感が出るだろう。しかし、ボラティリティの可能性は依然として高いままである。

 

最近、晩酌中にYou Tubeで食べ物系の動画を見ることが多くなっている。いわゆる「大食い」「ワカコ酒」を結構見ている。

 

「ワカコ酒」「孤独のグルメ」の女性版で、酒と肴が中心なのが面白い。主演の武田梨奈さん、空手家というのがすごい。

 

 

 

マクロ経済学にも需要と供給がある。需要サイド(デマンドサイド)①消費②投資③政府支出④輸出入で、供給サイド(サプライサイド)⑤資本⑥労働⑦土地⑧技術である。⑤⑥⑦は生産を行うための基本的な資源で生産要素とも呼ばれる。

 

①+②+③+④総需要と呼び、総需要が大きいほどGDPも大きくなる。これに対して⑤+⑥+⑦+⑧総供給にあたる。

 

需要(曲線)と供給(曲線)が定義されたので、その交点でマクロ経済の均衡点が決まることになるが、この決まり方が新古典派ケインジアンで異なる。

 

新古典派「供給が需要を決める」という考え方で、総供給(実質GDP)が、物価に関係なく供給サイドの要因で決まってしまっている(総供給曲線が垂直)というものだ。従って、需要は物価によって調整されると考えられる。

 

垂直な総供給曲線(直線)上では、すべての生産要素が完全に利用されており、すなわち完全雇用が実現されている(均衡GDP値は下図のYF)。

 

 

一方で、ケインジアンの考え方は、賃金などの調整力が弱いので完全雇用は実現しないというものだ。ケインジアンの総供給曲線は、完全雇用下のGDPより左方では右上がりの曲線となり、低い水準に均衡点(E0)が決まってしまう(均衡GDP値は下図のY0)。

 

従って、需要不足を補うために、政府による積極的な政策介入が評価されることになる。

(以上「マクロ経済学」伊藤元重著・日本評論社)から抜粋)

 

 

なお「完全雇用」とは、「ある経済全体で非自発的失業が存在しない状態」をいう。

 

こちらは昨日梅雨入りした。昨年より13日早い。鬱陶しい季節の到来である。

 

 

「金融英語の基礎と応用」(鈴木立哉著・講談社)を半分近くまで読み進めた。

 

同書によく出てくる形容詞に emerging というものがある。Emerging countries, emerging markets, emerging economies はそれぞれ「新興国」「新興国市場」「新興国経済」の意味になる。

 

動詞 emerge の形容詞は emergent だが、「新興の」の意味では emerging を使う方が圧倒的に多い。

 

 

(英文)

An emerging country is one whose economy is not yet fully developed yet either was in the recent past or very likely will be in the near future. Emerging countries are also known as emerging economies because the emphasis is on their economic development. There are some emerging countries that you have probably heard of and some that may be less familiar. Nevertheless, pay attention to these countries – you probably buy food that was grown there or wear clothes that were made there. You will probably hear more about these countries soon.

 

There are several different indices by which a country is measured as being emerging. The most recognized of these indices is the International Monetary Fund, which monitors economic development around the world and provides monetary assistance to developing countries.

 

Some of the most rapidly emerging countries include Brazil, Turkey, Russia, India, and China. Other emerging countries include the oil-rich countries of Bahrain, Saudi Arabia, Iran, Kuwait, the United Arab Emirates, Qatar, Oman, and Iraq. Many of these countries are immensely wealthy because of their oil exports, yet that wealth does not come from a well-developed private sector and job growth. Because these countries depend almost exclusively on a single resource – oil – for their growth, a collapse in oil prices could set their economics back decades.

 

 

(拙・英文和訳)

新興国とは、経済がまだ完全に発展していないが、昨今または近い将来に発展する可能性が非常に高い国をいう。新興国は、経済発展に重点が置かれていることから、新興経済国とも呼ばれる。よく聞く新興国もあれば、馴染みの少ない新興国もある。だが、これらの国々に注意を払うべきだ。何故なら、既にそれらの国々で栽培された食物を買い、そこで作られた衣服を着ているからだ。おそらく、すぐにこれらの国々についてもっと耳にすることになるだろう。

 

ある国が新興国であると測定するためのいくつかの指標がある。これらの指標の中で最も知られているのは、世界の経済発展を監視し、発展途上国に金融支援を提供する国際通貨基金の指標である。

 

急速に発展している新興国に、ブラジル、トルコ、ロシア、インド、中国などがある。その他の新興国には、バーレーン、サウジアラビア、イラン、クウェート、アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、イラクなどの石油産出国が含まれる。これらの国々の多くは、石油の輸出により非常に裕福ではあるが、その富は十分に発達した民間部門と雇用の伸びからもたらされるものではない。これらの国々の成長は、もっぱら単一の資源である石油に依存していることから、もし石油価格が崩壊すれば、その国の経済が数十年も後退する可能性がある。

 

最近よく聴く言葉に「デカップリング(分断)」「デリスキング(リスク低減)」というものがある。

 

今回のG7サミットのキーワードともなった。中国に対する姿勢である。

 

今回のG7首脳会議では、「経済的強靭性と経済安全保障」をグローバルに確保することが経済面における最重要課題の1つに位置付けられた。

 

コミュニケの前文では、同課題へのG7の取り組みとして、サプライチェーンの多様化やパートナーシップの深化、デリスキング(リスク軽減)に基づくアプローチにおいて協調することがと盛り込まれた一方、デカップリング(分断)の追求は明確に否定している。

 

今回、この2つの動詞 decouplederisk について調べてみる。英英辞典の定義は以下のとおり。

 

1) Decouple:

To end the connection between two countries, organizations, or ideas that were connected in some way:

何らかの形でつながっていた2つの国、組織、またはアイデアを切り離して接続を終了(分断)させること。

 

2) Derisk:

To make something safer by reducing the possibility that something bad will happen and that money will be lost:

何か悪い事態が発生して金銭が失われる可能性(リスク)を減らすことにより、より安全を図ること。

 

 

(英文例)

1) Developed nations need to shift from quantitative growth to qualitative one by decoupling the economic growth and energy consumption.

先進国は経済成長とエネルギー消費増を分離し、量の成長から質の発展に変えなければいけない。

 

2) We will continue to derisk the asset portfolio through a combination of outright sales or hedging, where appropriate.

今後も、必要に応じて売り切りやヘッジを組み合わせながら資産ポートフォリオのリスク削減を図っていく所存です。