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貴方のぬくもり

それは・・・・・・・・


ずっとずっと



――――――欲しかったもの




もう一度君に恋をする  第二十六話




なかなか泣き止まない私を、敦賀さんは抱き寄せながら何度も

背中や頭を撫でてくれた。

何も言わずに、あやすように・・・・・・


少しずつ気持ちが落ち着いてきたところで

少しだけ顔を上げて敦賀さんの顔をチラリと覗き見ると

彼は、優しい眼差しで、私を見つめていた。


柔らかいその眼差しに、思わずキュンと甘い気持ちになり

微かに頬が上気する。



「・・・・・・落ち着いたようだね・・・・・」



「・・・・・はい」



優しい問いかけに、微かな声で答えると

敦賀さんはフワリと笑ってくれた。


私も、うれしくなって微笑みかける。


すると、敦賀さんの瞳の色が・・・・・変わった。

その瞳の奥に吸い込まれそうになる。


徐々に近づいてくる影に、私はそっと

目を閉じた―――――――





・・・・・・のに・・・・・・・


一向に、触れてこない。


しばらく待っても何も無いから、そっと目を開けると

そこには、大きく目を見開き固まったままの敦賀さんが、居た。



「・・・・・敦賀、さん・・・・??」



さすがに、どうしてキスしてくれないの、とは聞けなくて

名前を呼ぶことしかできなかったのだが

敦賀さんは、私の呼びかけに気づいてくれて

我に返ると、一言



「・・・・・・ゴメン」



小さくつぶやいた。



「・・・・・どうして、謝るんですか??」



私はそのまま聞いてきたのだが

敦賀さんは少し顔を赤くして、困った顔をするだけ。



「何も・・・・・教えてくれないんですか??」



もう一度、少しだけ目を潤ませて上目遣いで聞いてみると

ますます顔を赤くしながら、小さな声でつぶやいた。



「・・・・・ガマン、できそうにないから・・・・・」



―――――――へっ???



「最上さんに、もっといろいろ聞きたいこともあるし

話したいことがたくさんあるのに・・・・・・

君があまりにも可愛いから・・・・・・


触れたくなる。」



敦賀さんはそういうと、私の唇に

長い指をそっとあてた。


トクンッと大きく、私の胸がなった。


私は・・・・・・・・



「私も・・・・・敦賀さんと・・・・・・、その・・・・・・・

キ・・ス・・・・・・したい///////」



私の言葉が終わると同時に、抱きしめられている腕の力が強くなり

私の唇を触れていた手で、私の顎に手を添えると

触れるだけのキスをした。


何度も角度を変えて、啄ばむようなキスを続けていると

今度は、深い口づけへと変わっていく。


甘く、しびれるような感覚に、私は何も考えられなくなる。


ただ、今・・・・・この行為に・・・・・・夢中になっていた。


敦賀さん・・・・・敦賀さん・・・・・・・・

・・・・・・・・クオン・・・・・・


互いの情熱を確かめ合うような口づけを交わす間

私は、彼の名前を、心の中で

何度も呼び続けた。





*




長い口づけに解放された後、もう一度きつく抱きしめられ

敦賀さんの胸に顔を埋めていると、


トクン・トクン・トクン・・・・


彼の心臓の音が聞こえてくる。


心地よい音と、温かいぬくもり。

私、今、すごい・・・・・幸せ。



「最上さん・・・・・・そのまま、聞いててくれる?」



幸せをかみ締めているときに、頭上から柔らかい声が聞こえてきた。



「・・・・ん」



小さいながらも返事をすると、敦賀さんは話し始めた。



「・・・・・俺、さ・・・・・・

記憶をなくしたあと、新しいクオンとして

何とか生活してこれのは、実は・・・・・

微かに残っていた、キョーコちゃんの記憶のかけらだったんだ・・・・・・


何も記憶もなく、まっさらな自分は

誰も信じることができなくて、人が怖くて

周りの全てが怖くて・・・・・・

どうすばいいのかわからなかったとき、夢をみたんだ。


あの時のキョーコちゃんが、笑っているだけだったんだけど・・・・・

たった一つのそれが


俺に生きる力をくれた。

人に向き合う勇気をくれた。

もう一度、スタートすることができた。


だけど・・・・・・

なくしてしまった記憶を取り戻そうとは思わなかった。


・・・・・・怖かったんだ。

記憶を取り戻すと、今の新しい自分を失くしてしまいそうで・・・・・・


たった一つの、微かな記憶のかけらがあれば

俺はもう、大丈夫だと思ってた。


でも、もう一度最上さんと出会って、話をして・・・・・

君との過去を知りたいと思った。

過去の自分に、嫉妬さえした。


だって君は・・・・・・・敦賀蓮が、好きだったから。」



「違いますっ!!!!!!

確かに・・・・・・私が好きなのは敦賀さんですが、

それはあなた自身であって、クオンだろうが敦賀さんだろうが・・・・・・

コーンだろうが・・・・・・

貴方という人間が、好きなんです。」



おとなしく敦賀さんの話を聞いていた私は、

最後の言葉にすぐに反応して、胸に埋めていた顔を起こし反論した。

だって、そんな言い方されたら、私は俳優の敦賀さんを好きなことになっちゃう。



「俺も・・・・・・・

最上キョーコが、好きだよ。

幼い日のキョーコちゃんも、がんばりやな最上さんも

女優としてがんばる京子さんも・・・・・・全て。」



「・・・・はい。」



うれしかった。

敦賀さんにもう一度、好きと言ってもらえて・・・・・

これまで、長かったから・・・・・・・



「だから・・・・・ありがとう。

今、ここに俺が居るのも全て・・・・・・

最上さんのおかげだから」



「そんな・・・・・・」



「本当だよ??

俺に、生きる希望を与えてくれた。

俺に、記憶を取り戻そうと力をくれた。

俺に・・・・・・・愛する心を、取り戻してくれた。


本当に・・・・・・ありがとう。」



「・・・・・敦賀さん・・・・・・」



こんなことを言われるなんて、思ってもいなかった。

私は、何もしていないのに・・・・・


うれしくて、またもや涙が浮かびそうになっていた。



「また・・・・・泣かないで、ね??」



「・・・・・はい、ガンバリマス」



「・・・・・最上さん、らしいね・・・・・」



「えっ??」



「そうやって、すぐ”ガンバリマス”とか言うところ。

前向きで、いつも一生懸命で、頑張り屋で・・・・・

可愛らしかった君も、今ではすっかりきれいになってるし・・・・・」



「なっ!!!!そ・・・・・そんな・・・・・・//////」



きれいになったなんて言われちゃったから、かなり恥ずかしいよぉ~~!!!!



「ホントに・・・・・きれいになって・・・・・・・」



そういいながら、私の頬を撫でるように触っていた敦賀さんの顔は

何故か苦しげで・・・・・・・

私は、どうして敦賀さんが、そんな表情をしているのか、わからなかった。



「今日は・・・・・・・・・・家に、帰る、の・・・・・??

アイツの待つ、家に・・・・・・」



その一言で、敦賀さんの表情を暗くしている理由がわかった。

社さんの言葉や、前にマンションに来てもらったときに

キスシーンも見られてたから、仕方が無いとはいえ・・・・・


敦賀さんは、私がショーと一緒に居たのがただ

敦賀さんのことを忘れるため、だとは知らない。

そのためだけに、抱かれてたのも・・・・・


ショーの想いを利用して・・・・・

アイツを、傷つけて・・・・・・

貴方を、忘れようとした。

けど・・・・・・忘れられなかった。


アイツには、私の気持ちを伝えてある。


だから、私は―――――――――



「・・・・・・・帰りません。

ココに・・・・・・・敦賀さんのそばに、居ます」



私のこの言葉に、敦賀さんは大きく目を見開き驚いていた。



「私の好きな人は、敦賀さんだけだから――――――」



私の目の前には、一番大好きな人。

今その人の眼には、私しか映っていない。


そう思うだけで、ゾクゾクした。

そんな感情を、持ったことが無いから。


もう、私以外、誰も・・・・・見ないで欲しい。


なんて強い、独占欲なんだろう。


彼も今、私に対して、そんなことを思っているのだろうか??

思って、くれてるのだろうか???



「なら・・・・・・もう二度と、離さないよ・・・・・・???」



二人、絡み合う視線。



「私も・・・・・・・離しません。」



もう二度と、離れない。

貴方と、共に居たい。


貴方だけが、好きだから―――――――――――




第二十七話へ、つづく・・・・








またも前回同様、無駄に長い気がします。


なるべく二人の心を表現できるようにしたのですが・・・・・

どうだったのでしょうか??


うう~~ん・・・・・・・

一応4年後設定なので、ちょい大人な二人はいきなりがっつかないかな、と思って

いろいろ先に話をさせてみました。


そして次回は、あまり楽しみじゃない(?)限定です。


だって、アメブロだと、描写が難しいんだもん。


それに、作者の照れもあるし・・・・書き辛いです。

18禁は、読むのに限りますね!!!!

(って、一応楽しみにされている方もみえるので・・・・・)


ただ、毎回言いますが、作者は大人な表現は苦手です。

あまり期待せずにお読みくださいね。