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どうしてあの時、気づかなかったのだろう


どうしてあの時、勇気を出さなかったのだろう


後悔しても、もう遅いのに・・・・・





もう一度君に恋をする  第三話





その日のドラマの撮影は、散々だった。


私の頭の中は、映画の顔合わせでやっと会えた敦賀さんの

金髪碧眼のあの姿と、車内で教えてもらった

社さんの言葉にずっと、支配されていたから―――――





*





私は家に帰ってきても、何もせずただ、ソファに座っているだけだった。



「・・・・キョーコ??おいっ!!!!キョーコっ!!!!」



「・・・・・・」



なんとなく目の前に、心配そうに覗き込んでいるショーの顔があるように見える。


でも、私の心はずっと、彼に支配されたまま。



「・・・・・キョーコ???たくっ!!!!いったい、どうしたってんだよっ!!!!!」



「・・・・・・・」



全く返事も何もしない私に、いらいらしていたショーは、ふと気づき

あるところへ電話をしていた。



//////



「あっ、もしもし、俺だけど・・・・・」



「あぁ、不破くん。こんばんは。どうかしたの?」



「どうかしたのじゃねえよっ!!!!

おたくの女優、うんともすんとも言わなくなったんだけど

いったい今日、何があったんだよっ!!!!

ちゃんと俺に説明しといてくれないかなぁ~??」



「あぁ、ゴメンネ。ちょっと立て込んでて。

実は今日、新しい映画の顔合わせがあったんだけどね・・・・」



「・・・・・・・ハァァァァァ~~~~?????

あ・・・・・・アイツに・・・・・会ったって・・・・・・・ホントかよ。」



「ああ、そうだよ。

でも、蓮は昔の記憶を失ってる。

新しい、違う人間としての人生を送り出しているんだ。

だから、今日会った人には全員言っておいたんだけど

彼が『敦賀蓮』で、今日本に居ることは

なるべくふせておいて欲しいんだ・・・・・

不破君も・・・・・・わかるよね?!

これがもれると、どれだけすごい騒ぎになるか・・・・・」



「・・・・・・4年前と同じ、イヤ・・・・・

それ以上の騒ぎになる、と思ってるんだな??」



「・・・・・そうだよ。

いまだに、蓮の人気は衰えてないから、ね・・・・・・」



「・・・・・・記憶がないって、本当かよ。」



「本当だよ。全くない。

今日、キョーコちゃんに会ったけど

全く一言も口をきかなかったからね。

全員に一言、挨拶をしただけ。

後はすべて助手の人がしゃべりとおしてたな。」



「無口な敦賀蓮か・・・・・

見てみたいな。」



「・・・・・見世物じゃないから、あまり見ないでくれないか??

でも・・・・案外不破君に会うと

刺激になって昔の記憶が戻るかもしれない、な・・・・・・・」



「・・・・・・アンタは、やっぱり戻ってほしいのか???」



「タダ単に、蓮の演技をもう一度見てみたい、というのもあるし

やっぱり、弟みたいな感じだったから・・・・・

寂しいものはあるから、ね・・・・・」



「・・・・・そう、か・・・・・・」



「キョーコちゃんのことは・・・・・申し訳ないけど

明日からも仕事があるから・・・・・

慰めてあげて、くれるかな??

今までの京子があるのは、不破君のおかげでもあるから・・・・・」



「・・・・・オレがどれだけ傷ついてもかまわないから、か・・・・??」



「・・・・・本当に、ゴメン。」



「ハァーーーーーーーッ。わかってるよ。

わかってるってっ!!!!まかせとけよ、なっ!!!社さんよぉ~~!!!!!」



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電話を終わらせたショーは、私にそっと近づくと

柔らかくそっと抱きしめた。



「・・・・・・キョーコ・・・・・・

泣きたかったら、泣いていいんだぞ?!」



耳元でそっというショーのこの言葉に・・・・・

私は少しずつ、少しずつ自分の意識が戻ってきた。



「キョーコ・・・・・・・

アイツにもう一度会えて、うれしかったか??」



私はショーの胸の中で、微かに頷いた。



「でも、アイツは記憶をすべてなくしていたンだってな・・・・・・

お前と何があったのか、俺も、誰も知らないが

俺はお前がどれだけアイツが居なくなって苦しんできたかは

知ってる――――――


お前の、その心の中にためてるもの・・・・・・

そろそろ、吐き出してもいいんじゃないのか・・・・・???」



真剣に、そういってくれるショーは、とても優しい。


ショー・・・・・私・・・・・・・このことは、誰にも言えないよ・・・・・・



「・・・・・・私、私ね・・・・・・・・

ずっと、ずっと気づいていなかったの。

何が一番大切で、何が一番必要で・・・・・・

ずっとそこにあるものだって・・・・・思ってた。」



私は、言葉を選びながらひとつずつ、思いを吐き出す。


目には涙が溢れ、視界はドンドンにじんでくる。



「敦賀さんが居なくなるなんて、全く思わなかったの。

いつまでも、私の前で、俳優を続けていくんだって・・・・・・

そう、勝手に思い込んでた。」



頬に流れ落ちる涙を、ショーはそっと拭ってくれる。



「・・・・・・私・・・・・私・・・・・・・・・

自分の気持ちに気づかずに、敦賀さんを傷つけてしまった。

謝りたかったのに・・・・・・

敦賀さんにはもう・・・・・会えなくなってしまった。

私の、たった一言を伝えることができずに・・・・・・」



ショーは、柔らかい笑顔をしながら、私の涙を何度も拭い



「・・・・・・なんて、言うつもりだったんだ???」



優しく私の話を聞いてくれていた



「・・・・・ごめんなさいって・・・・・」



「どうして、謝りたかったんだ??」



「・・・・・・」



私は、これ以上は何も言いたくないと、首を横に振り続けた。


それを見たショーは、今度はギュッと力強く抱きしめ・・・・



「・・・・・・オレは、お前のすべてを知りたい。

お前が苦しんでること、少しでも、教えてくれないか??」



ショーのこの言葉に・・・・・胸が熱くなった・・・・・・



「・・・・・・・わかった、話すから・・・・・・

聞いていて、くれる??」




第四話へ、つづく。











今回のショーちゃんは、異様にかっこよくなってしまった。

・・・・・なんでだろう???


それにしても、過去に何があったか、引っ張りすぎ???
皆さんが想像つくことなんですが、ね・・・・・・