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本当は、あの人の力になりたいのに・・・・


私じゃ、もうダメなの・・・・???



せめて、自分の気持ちに、素直になりたい―――――




もう一度君に恋をする  第十一話




TRRR・・・・ TRRR・・・・・


ジョーさんの部屋で話をしているときに、社さんの携帯に着信があった。

社さんは、確認すると



「事務所からなので・・・・ちょっと向こうで話してきますね。」



席をはずして、電話に出ていた。


・・・・ちょっと、いや、かなり厳しい顔つきをしている。

あんまり、うれしくないような話、なのかなぁ~~。


電話に出ている社さんの姿を見ていると、



「・・・・・京子さん、先ほどは勘違いをして、すいませんでした。」



ジョーさんが私に謝ってくれた。



「・・・・・クオンが京子さんへ片思いしていただけなら、

京子さんは何も関係ないのに・・・・・

こんなお願いをしてしまって、迷惑だったでしょう??」



真摯に謝ってくれるジョーさんに、本当のことではないことを言ってしまって

申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



「・・・・・・迷惑だなんて、そんな・・・・・・・」



軽く首を横に振り、私は何とも思っていない、という意思表示を示した。



「・・・・・でも、ボクの勘じゃあ、京子さんも、アイツのことをって・・・・・

ボクの勘も鈍ったんでしょうね・・・・・」



ボソッとこぼしたその一言に、私は驚いていた。

見る人が見たら、わかってしまう、ってこと、でしょ???

呆然としてしまっていると



「京子さん・・・・??」



固まったままでいる私を心配するように、ジョーさんが覗き込んできた。



「あっ!!!!・・・・・いえ・・・・あの・・・・・・ですね・・・・・・

実は・・・・・・・・・・・・・・」



チラリ、と社さんのほうを見ると、まだ真剣に何か話しこんでいて

まだ電話は終わりそうになかった。


・・・・・・今なら、本当のこと、言えるかも・・・・・・



「・・・・・・・・勘は、鈍ってないと、思います。

だって、私・・・・・・・・・・」



チラリと、もう一度社さんを確認して、今度はジョーさんを見つめた。



「・・・・・・敦賀さんのこと、好きでした、から・・・・・・」



「・・・・・・・でした・・・・・???」



「・・・・・・・・・ハイ。さっきの・・・・・・・

今、彼がいるというのは、本当です。

そして、敦賀さんを振ってしまったのも・・・・・・・本当です。

ただ、振ってしまった後に・・・・・・・・

敦賀さんが居なくなって初めて、自分の本当の気持ちに気づいたんです。


敦賀さんのこと、好きなんだって―――――――


敦賀さんが居なくなって、精神的にボロボロになってしまった私を

助けてくれたのが、今の彼です。


社さんは、そのことを知っているから、あえて

私の気持ちは言わないで欲しいかったんじゃないのかなって・・・・・・」



私の話を聞いていたジョーさんは、最後のほうにはかなり難しい顔つきになっていた。


すると・・・・・・



「・・・・・・・どういうことかな??キョーコちゃん?????

どうして・・・・・・・・本当のこと、言っちゃうの、かな・・・・・・?????」



後ろから、寒い冷気を漂わせた気配を感じ、

社さんに聞かれてしまっていたと悟ってしまった。


振り返ると、かなりお怒りの表情の社さんが仁王立ちしている。



「・・・・・・・・・・どうして、そんなに怒ること、かな???」



私が何か言うより先に、ジョーさんが不思議そうな顔で

社さんに聞いていた。



「京子さんは、本当の気持ちを教えてくれただけだろう???

別に・・・・・・やましいことなんて、一切ないじゃないか。

彼女が・・・・・・今でもクオンのことが好きで、彼が居るにもかかわらず

クオンのところに今すぐ飛んでいきたい、なんて言ってないじゃないか。」



「た・・・・・・確かに、そうなんだけど・・・・・・・」



言いよどむ社さんを見て、確かに、どうして社さんが隠そうとしたのか

私には、わからなかった。



「・・・・・・社さんは、どうして本当のことを言って欲しくなかったんですか???」



社さんがひるんでいる隙に、聞きたかったことを聞いてみた。



「・・・・・そんなの、簡単だよ。

俺は今、京子のマネージャーなんだから、京子が一番

仕事がやりやすいように、といつも考えている。


だから・・・・・できれば今のまま、仕事をしていきたい。

蓮とのことは、本当は・・・・・・

キョーコちゃんとは今でも、うまくいって欲しい、と思っているけど・・・・・

今の彼は、俺の知ってる蓮じゃないから・・・・・・

新しい、別の人格、なんだから・・・・・」



「っ!!!!違いますっ!!!!!!

たとえ、記憶を無くしても、見た目が違っても・・・・・・

敦賀さんは、敦賀さんですっ!!!!!!」



社さんの言葉を聞いて、私は考えもせず口走ってしまっていた。


私のこの言葉を聞いて、二人とも、黙ってしまった。



「・・・・・・あっ・・・・・・すいません。

出すぎたことを、いってしまいましたね・・・・・・。」



「・・・・・・・いや、いいんだけど・・・・・・・」



けど・・・・・・???



「キョーコちゃん。まだ・・・・・・蓮のこと・・・・・・好き、なんだね。」



「・・・・・・ボクも、そう取りました。

今でも、敦賀蓮のことを、好きでいてくれてるから、ああ言ったんでしょ??」



社さんは、ちょっと戸惑ったような表情の中言っていて、

ジョーさんは、何故かとてもうれしそうに言っていた。



「・・・・・・・・そう・・・・・・・です・・・・・・・・

私、ずっと・・・・・・・敦賀さんにもう一度会えるんだって・・・・・・

信じていましたから・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・」



社さんは、さっきと変わらず、いまだ暗い表情を浮かべたまま、黙ってしまった。

ジョーさんは、私の両手を取り



「・・・・・京子さんは、健気でいじらしくって・・・・・・

とても素敵な女性なんですね・・・・・・」



ジーッと見つめながら言われて、こっちがさすがに戸惑ってしまう。

多少顔を赤くしながらも・・・・・



「あ・・・・・ありがとう、ございます//////」



お礼だけは、言わなくちゃね。



「そんな素敵な京子さんに、再度お願いします。

・・・・・・クオンに、会ってもらえますか??」



真剣な眼差しでジョーさんに問われて、私は今度は

自分の素直な気持ちで・・・・・・・答えた。



「・・・・・・・はい。」



パァ~~~っと、明るい笑顔を浮かべるジョーさんに

私もなんとなくうれしくなっていく。

するとそこへ、社さんが・・・・・



「二人で喜んでいるところ、申し訳ないんだけど・・・・・・

もうちょっとだけ、待っててもらえないかな??」



「「・・・・えっ??」」



ジョーさんと私、二人して社さんのほうへ向き直った。



「実は今から、事務所の社長の使いのものが、あるDVDを持ってくるから

それを・・・・・・クオン監督に見て欲しい、と言ってた。

それは・・・・・・・『ダークムーン』のドラマのメイキングのVTRで・・・・・・

ぜひ、キョーコちゃんにも一緒に見て欲しい、と・・・・・・

社長は言っていたよ??」



「えっ??私も、ですか・・・・・・・????」



「・・・・・・そう。」



「・・・・・・どうして・・・・・・???」



どうして、社長は私にも見るように言ったんだろう?


私が考え事をしている間、ジョーさんは、社さんに『ダークムーン』についての説明を受けていた。






第十二話へ、つづく・・・・・・









前回、なぜ社さんがキョーコちゃんに本当のことを言わせなかったのか

私も不思議でしたが・・・・・

コメントでもいただけて、うれしい限りでした。


社さん的に、蓮はかわいい弟みたいな感じだったから

記憶を無くして、クオンとして戻ってきて・・・・

弟みたいじゃなくなったわけだから、別人、ってイメージが大きいのかな?

と勝手に判断しています。


そして、キョーコちゃんのことも、大事だけど

女優 京子も大事、というところも出したかったですね。


ちなみに、社さん的には、ショーは・・・・・

キライじゃないけど、好きでもないんじゃないかな??



そして、実は私の考えていた話しからそれてしまったため

早々に修正させていただきました。


もっと話を引っ張る実力は、私にはありましぇ~~ん。


次回は・・・・・やっとご対面、ですね。

(仕事場ではあってるんだけど・・・・・)