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自分の気持ちに素直になることで


周りの人たちを苦しめることになっても・・・・


私は、もう、止まれない――――――




もう一度君に恋をする  第二十話




何とか気を持ち直して、マンションの部屋に戻ると

一人、ポツリと立ったまま動かないショーが居た。



「・・・・・・・ただいま」



なんて声をかけていいのかわからずに、とりあえず出た言葉が、コレ。


私の声に気づいたショーは、顔を上げ、驚いた表情を見せた。



「・・・・・・・・・な・・・・ん・・・・で・・・・・・???」



何でって・・・・



「監督、間に合わなかったから、帰ってきたの・・・・・・

ココ・・・・・私の、家なんでしょ??」



「・・・・・・・」



ショーは何も答えなかった。


私は、ショーを待たずに、自分が思っていたことを、口に出した。



「・・・・・・私・・・・・・

仕事が落ち着いたら、ココ、出てくね。」



「なっ・・・・・・」



「・・・・・・・これ以上・・・・・・・

もう、ショーに甘えてちゃ・・・・・・ダメでしょ?」



「・・・・・・・キョー・・・・コ・・・・・・」



そのまま寝室へ入っていこうとした私の腕を取り、ショーはきつく抱きしめた。



「あっ!!!!!!」



この4年間、ずっと・・・・・

私を保たせてくれたぬくもりに包まれている。

でも・・・・・・

もう、これ以上は・・・・・・・無理だよ。



「・・・・・・・・俺は・・・・・・・・かまわない・・・・・・・

キョーコが、アイツを今でも好きでも・・・・・かまわない。

だから・・・・・・・・

出てくとか、言わないでくれよ。

・・・・・・・・・なぁ???」



何を言っているのだろう。

私の気持ちが無くたって、一緒に居てもいいなんて・・・・・・

私には・・・・・・考えられないよ。



「そんなの・・・・・・・・無理だよ。

私はもう・・・・・・・ショーのそばには、居られない。

だから・・・・・・・・・ゴメン。」



私の言葉を聞いて、ショーの抱きしてめいた腕の力が緩んだ隙に

抱きしめていた腕を解き、急いで寝室へと入ると、鍵をかけた。


ガチャガチャ・・・・


ショーがドアノブをまわす音がする。


ドンドンドン



「おいっ!!!!キョーコ!!!!!!

聞こえてるか???

俺はお前を・・・・・・・・あきらめないからなっ!!!!!!!

お前を・・・・・俺に振り向かせる。

・・・・どんなことをしてもっ!!!!!」



扉を叩いて、大声で叫んだ後

・・・・・・静かになった。


きっとショーは・・・・・・レコーディング用の部屋に帰ったのだろう。


それにしても、どうして今日はこっちに来たのかわからなかった。



その晩、私はほとんど一睡もできなかった。


今日言われた、演技のこと・・・・

ショーのこと・・・・


そして・・・・・・・・


敦賀さんへの、変わらぬ想いに気づいたこと―――――――


そのことが頭に占めていたから・・・・・・・・・・・





*




<クオンside>



タクシーに急いで乗り、ホテルの部屋へと着くと、

大きく息を吐き出した。


・・・・・・・さっきのは、いったいなんだったんだろう・・・・・・


胸が、キュッとして、苦しくなって・・・・・・


目を閉じると、彼女の・・・・・京子さんの顔、声、仕草。

全てが浮かんでくるようだ。


敦賀蓮だった頃の、俺は・・・・・・

彼女のことが、好きだったようで。


そして、今の俺も・・・・・・???


彼女から、目が離せない。


そして何より、初めて興味を持った人だから・・・・・・・


彼女に、触れたい、と思った。

キスをしたい、と思った。

ギュッと抱きしめたい、と思った。


この感情が――――――――恋、なのか・・・・・・???



・・・・・・・


それに・・・・・・・・・・・・・

あの男。


フワショー、とか言ったか??

(社さんは、フワと、京子さんはショーと言っていたから)


あの男を見ただけで、どうしてあんなにも不快な感じが出てきたのだろう。


彼とも・・・・・昔何かあったのだろうか・・・・・・???



俺は・・・・・記憶をなくして初めて・・・・・

昔の、敦賀蓮だったころの自分を

思い出したい・・・・・・・・・


そう、思った。


全ては・・・・・・・・キミのために――――――


昔のキミに、戻って欲しいから・・・・・・





第二十一話へ、つづく・・・・・









今回は、あまり話的には進んでませんが

二人の・・・・気持ち的には進んだ感がありますね。


ショーちゃんは、往生際が悪いですね(笑)

でも、本気で好きなら、こんなものなのかなぁ~??

(作者は結構、あっさりタイプ)


実はショーちゃん、最初はあっさりあきらめるつもりだったのに

あきらめられない感じになってしまいました。


・・・・・どうやってこの後登場させようかな??



そして、前回の話へコメ、ありがとうございます。

ご本人様にはゆっくり、返事させていただきますが

(この記事アップより、先になると思います)

作者といたしましては、本当にビックリしてしまいました。


何にビックリしたのかは・・・・・

私は思い切りフィクションで書いているのに・・・・

ということですかね。


実経験は、ほとんど皆無です。


作者の実経験が元になるのは・・・・・

きっと、片思い、くらいかな??


ラブラブ話が苦手なのも、そうなのかもね・・・・・