咲寿太夫
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こんにちは。
人形浄瑠璃文楽の太夫、竹本咲寿太夫です。
伝統芸能の世界では皆が師匠の名字を名乗るため、下の名前の「さきじゅ」と呼んでいただけると嬉しいです。
先日、文楽劇場で小学生と中学生のための「文楽劇場探検ツアー」が開催されました。
私は、そのツアーで太夫の案内人を務めさせていただきました。
■ どんなツアーだった?
ツアーは12時からと14時からの2回開催。
2回とも満員御礼で、各回80人弱の親子連れの皆さんが参加してくださいました。
内容は、太夫・三味線・人形の「三業(さんぎょう)」の解説と体験、そして舞台機構の体験です。
体験は、なんと本物の舞台の上でできます。
しかも、舞台へは花道を歩いて上がれるんです。
やばい。
回り舞台に乗って回ったり、雪を降らせたり、定式幕を引いたり。
定式幕なんて、実は私自身も触ったことがないんですよ!!?
大道具さんに「ぼくも引かせてください!」とお願いしたら、
「あかん」
とにべもなく断られました。笑
みんないいなあ。
子供たちはもちろん、大人も一緒になってはしゃいでいたのが印象的でした。

■ 太夫体験は、実は一番むずかしい
三味線は楽器に、人形は人形そのものにさわれるので、体験の楽しさが目に見えます。
では、太夫は?
声を出さないといけないんです。
知らない人が大勢いる中で、いきなり大声を出してと言われても、無理ですよね。
恥ずかしいもん。
体験という意味では、舞台衣装の肩衣をつけて記念撮影するだけでも成立はします。
肩衣と袴は太夫が所有しているので、太夫体験という意味では確かにそれでいいんですよね。
でも、それでは太夫の楽しさは伝わらない。
それにそんなに勿体ないことはしたくない。
そこで、咲寿太夫、考えました。
■ 開演前のあいさつを、コールアンドレスポンスに変えてみた
今回、解説・体験を始める前に、お園の人形で客席にあいさつをすることになりました。
主催の方は、おそらく普通の「本日はお越しいただきありがとうございます」を想定されていたと思います。
これを、子供たちとのコールアンドレスポンスに変えました。
幕が閉まった状態で、花道のすっぽんから、紋臣兄さんのお園が登場。
そこへ清允くんが三味線でメリヤスを弾き始めます。
幕が開いて、お園は客席の子供たちに気づきます。
舞台と客席の垣根をなくそうと思い、物語世界から現実への介入を行いました。
具体的にはこんな台本。
『ヤア、ここに見えるは大勢の子供たち。
今日は何やらイベントがあるそうな。
それではちょっと挨拶をしてみましょう。
元気なお返事を返してくださいね。
お集まりの皆さま、こんにちは』
さて、返事はどうなったか。
ここで、お園には泣いてもらいました。
「声が小さい、声がちいさいわいなあ」
舞台と客席の垣根を、お園が飛び越えた瞬間です。
そして2度目のこんにちは。
子供たちの対抗意識に火がつきました。
文楽劇場の客席が、あんなに元気な子供たちの声で包まれたのは初めてでした。
この「声を出す抵抗をなくす」仕掛けは、実は体験コーナー本番にもつなげています。
・義太夫節を語らずに、どうやって太夫の楽しさを伝えたのか? ・恥ずかしがっていた子供たちが、なぜ最後には自分から前に出たのか? ・順番待ちの子供たちまで巻き込めた、その仕組みとは?
今回は体験の方法を各自に任せていただけたので、普段の太夫体験の常識から離れて、思い切り組み立てることができました。
またこんな楽しい企画でお会いしたいです。
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竹本咲寿太夫
人形浄瑠璃文楽
太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽公演に主に出演。
モデルとしてブランドKUDENのグローバルアンバサダーをつとめる。
その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中
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