さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫




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 文楽地方公演



高崎駅から高架ですぐ。

高崎芸術劇場で文楽地方公演の幕が開きました!





コロナより前はいちどの地方公演で20箇所ほど廻っていました。

本当に「巡業」という言葉がぴったしで、一筆書きに各県を廻っていたものです。


コロナ禍で無くなってしまった箇所は何箇所もあって、今年もそんな劇場での上演はなかなか戻ってきませんでした。

寂しい。







高崎芸術劇場は毎年満員御礼!!

明日は宇都宮へうかがいます。

10月と3月は文楽座の地方公演なので、自分たちの劇場にも是非!という皆様は文楽協会へご連絡ください。


日本中を廻って、人形浄瑠璃という芸能がまた根付いてほしいという思いで舞台をお届けに参ります。



豊竹とよたけ咲寿太夫さきじゅだゆう


人形浄瑠璃文楽ぶんらく
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国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽公演に主に出演。
モデルとしてブランドKUDENのグローバルアンバサダーをつとめる。

その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
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 妹背山婦女庭訓2箇所目



本日からの妹背山婦女庭訓は場所を移して、後楽園駅・春日駅からすぐ、東京ドームの傍にある文京シビックホールにて上演です。



文京シビックホールはなんと6月にあのアリス=紗良・オットさんがピアノリサイタルをなさるような非常に大きなホールです。





きゅりあん大ホールよりも広いので文楽に通い慣れたお客様は驚かれるかもしれません。


音響はクラシック音楽に向いたホールの壁面の構造のため、日本の伝統芸能に向くパキッとした音造りではなく、包み込むような反響音がします。


様々な劇場やホールで上演させていただくと、壁の構造や奥行き、間口の違いでこれ程までに音が変わってくるのかと興味深くなります。




文京シビックホールでは本日より26日までの上演。

劇場が様々に移動する関係上、貴重な通しの妹背山婦女庭訓。

お見逃しなく!











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10分でわかる妹背山婦女庭訓






人形浄瑠璃文楽、歌舞伎の時代物の芝居「妹背山婦女庭訓」は大化の改新の時代の物語です。


中臣鎌足(藤原鎌足)や息子の淡海が主となって物語が進み、ロミオとジュリエットのように敵対する勢力の子供同士の恋愛に焦点が当たります。




初段から五段目まであり、ここでは初段のあらすじをご紹介します。








01


初段

大序 大内の段





時代は天智天皇の頃。都は奈良でした。天智天皇は目が見えませんでした。




左大臣は蘇我蝦夷子。右の座には阿部中納言行主。

側近に大判事清澄。


大臣である藤原鎌足が宮中へ参上しないため、蝦夷子は野心を持っているのか事をただすと言いました。


それに対して中納言は鎌足に限って野心を持つはずがない、と反論しました。





そこへ現れたのは、先刻命を失った太宰の少弐の後室、定高でした。子供は娘、太宰の家を相続させる聟を貰い受けたい相談に来たのでした。


大判事清澄の家と太宰の家は仲がよくありません。

大判事清澄は蘇我蝦夷子の家来の宮越玄蕃にこの件を取次ぐよう命じました。



宮越玄蕃はちょうど太宰の娘の雛鳥に恋慕を抱いていたところでした。自分が聟の申し出を受けたいと言い始めました。

思いもよらない申し出に、定高は言葉を失ってしまいました。


中納言はそんな定高に、それは別の話として改めて家名相続について話し合い連絡をすると言いました。

定高は礼を言うと、その場を去っていきました。





帷の向こうから鎌足の娘采女の局が出てきました。

鎌足に裏があるのかどうか明白にさせるため父鎌足を召すよう天智天皇からの勅諚を伝えにきたのでした。


鎌足が宮中へ参上すると、病気ということでしばらく参内していなかったことに野心があるのではという疑いがあると説明がありました。


蝦夷子は家来に五日ほど前に春日神社に奉納されていたという一つの箱を持ってこさせました。


そこには鎌が入っていて「天上天下」と書き付けられていました。鎌足の娘の采女は局として天智天皇の側におり、男子が誕生すれば自然と天智天皇の外戚となります。天上天下と書いているのは天下を乗っ取る心からであると言いました。

鎌足は全く身に覚えがなく、自分のことを陥れるための工作で、本当の反逆者がいるのだろうとしながらも、その疑いが晴れるまではしばらく宮中から離れていようと言いました。


そうして鎌足は宮中から出て行ったのでした。



 



02

小松原の段に続く▶︎





 

 

 

 



とよたけ・さきじゅだゆう:人形浄瑠璃文楽
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 2箇所上演

 

 

 

 

▲伝統芸能に限らず、楽屋の入り口には神棚があることがあります。今回は妹背山婦女庭訓ゆかりのお札を祀っています。

 

 

 

 

大井町きゅりあん大ホールで上演していました妹背山婦女庭訓、昨日無事に終了いたしました。

 

3日の間を挟んで、次は後楽園駅から近い文京シビックホールにて上演です。

大井町のきゅりあん大ホールは非常に広いホールで、文楽をご覧いただくには少し間延びしてしまうかなと思いましたがいかがだったでしょうか。

 

ホールは非常に清潔感があって、駅からもすぐですし、周りの環境も整っていて非常に便利なところでした。

 

 

 

 

 

 

通しでの上演ではございますが、妹背山婦女庭訓は三つの大きな物語に分かれており、今回の公演は第一部・第二部・第三部とそれぞれの物語に分かれて上演いたしております。

どの部を最初に観ても物語において行かれることなく理解することができる造りになっています。

この中で単体で上演されることが多いのは第三部の道行恋苧環から金殿の段です。

 

▲クライマックスの金殿の段の床本をKindle Unlimitedで無料でお読みいただけます

 

 

反対に私が出演している第一部では、通し上演の時にしか上演することのできない大作「妹山背山の段」を上演しています。

今回の通し上演の機会にぜひご覧いただきたいと思います。

他の演目では観ることのできない、この段でのみの演出「両床」を堪能できるのもこの場面ならでわです。

 

後半、文京シビックホールでもぜひ大勢のお客様にお越しいただければと願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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 10分でわかる妹背山婦女庭訓







02

小松原の段



春日の社頭に近い小松原に、大判事清澄の子息の久我之助清舟が床几に腰掛けて休んでいました。


そこへ春日神社の方から、腰元たちを引き連れた武家の娘が歩いてきました。彼女の名前は雛鳥といいました。


ふっと二人の目が合いました。

恋に落ちるのに理屈はありません。


二人の心の機微を感じ取った腰元たちはさっと久我之助のそばへ寄って話しかけ、雛鳥と久我之助の間に会話が生まれるよう自然に促しました。



その様子を偶然通りかかった先程の帰り道の宮越玄蕃が目撃してしまいました。

宮越玄蕃は身を隠して事の成り行きを窺うことにしました。






そうとは知らない二人。

雛鳥は久我之助が狩りで使うという吹き矢筒を手にすると、彼の耳に筒をあて、恋に落ちた自分の心情を囁きました。

久我之助も雛鳥に惹かれ、二人は腰元にうながされるように、口付けを交わしました。


驚いたのは宮越玄蕃。

ばたばたと音をたてながら騒がしく出てくると、久我之助に雛鳥は太宰の娘であることを言いました。


太宰の家と久我之助の父大判事清澄の家とは敵対する関係にあります。


素性を知った二人は驚きを隠せず、この恋が叶わないことを嘆きました。




宮越玄蕃は今の二人の出来事を口外しない代わりに、自分が執心している雛鳥を嫁にしたいと迫りました。


雛鳥の腰元が間を取り持つと進みでました。


そうして宮越玄蕃に、久我之助の吹き矢筒を「囁き竹」だと言って渡し、これで雛鳥が返事を囁くと言いました。


宮越玄蕃はほくほくと吹き矢筒を耳にあてました。


腰元は吹き矢を投入し勢いよく吹きました。

宮越玄蕃の耳に吹き矢が刺さりました。


宮越玄蕃が狼狽えているその隙に、腰元は雛鳥を引き連れて、その場を逃げて行きました。




耳から吹き矢を抜き取ると、宮越玄蕃は後を追いかけようとしましたが、久我之助に止められました。

そこへ侍たちが久我之助を探して走ってやってきました。


聞くと、鎌足の娘の采女の局が御殿から姿をくらませたというのです。

久我之助は采女の介添役でした。


それを聞いた宮越玄蕃、これは主人蘇我蝦夷子に知らせなければならない、と侍たちを引き連れてその場を去っていきました。







そのあとに残った久我之助は、一体どういうことだ、と考え込みました。

そこへ采女の局が現れました。


久我之助はなぜ御殿を抜け出たのか尋ねました。

采女が言うには、蘇我蝦夷子は自分の娘の橘姫を后にしようと画策していて、采女の局を妬み、鎌足を宮中から追いやってしまったことに、自分がいれば帝の身の害になってしまうと考えたということでした。

彼女は涙ながらに、このまま身を隠して姿を変えるから見逃してほしいと頼みました。


久我之助は采女の気持ちを汲み取り、後の難儀は全て引き受け、采女自身と天皇のためにこの場を逃すことを決意しました。


二人は涙にしぐれ、久我之助は采女に蓑笠を被せると、村の出口を目指して歩いて行ったのでした。





03

蝦夷子館の段に続く

 





 

 

 

 



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