The Devil In Me/DIR EN GREY
1. The Devil In Me
2. Cage
3. 予感
完全生産限定盤、初回生産限定盤、通常盤の3タイプでリリースされたDIR EN GREYの34thシングル。
前作「19990120」で過去と対峙。
それを糧に、今の彼らを詰め込んだというのが本作なのですが、原点回帰を見せるどころか、更に先鋭化していくのが彼ららしいですね。
表題曲である「The Devil In Me」は、複雑で難解。
だけど、Vo.京さんの圧巻のハイトーンヴォイスと迫力あるシャウトは、シンプルに格好良い。
歌詞やメロディといった概念とは別の次元で戦っているな、と思わせる芸術性の高さで、数年間に及ぶ壮大なストーリーを見せつけられたような気にさえなってしまいます。
これが4分半に収まっているのだから、なんてタイパが良いのでしょう。
そして、カップリングはそれぞれ4th、5thシングルであった「Cage」と「予感」の再構築。
「19990120」におけるリメイク曲は、意図的に当時のサウンドや歌唱に寄せていただけに、"今のDIR EN GREY"を表現するという事前情報は、実際に耳に入れるまでどちらに転ぶかわからない期待や不安となっていました。
結論から言えば、「19990120」の延長線上。
一人称が"俺"になったのをはじめとして、もちろん変化はありますが、ミドルトーンでメロディを歌うオリジナルを踏襲したスタイル。
当時の楽曲としても、特にキャッチーでメロディアスな2曲だっただけに、その要素をしっかり残したブラッシュアップは本音として嬉しかったです。
当時のアレンジをベースにしていても進化が感じ取れる。
それはそれで、"今のDIR EN GREY"なのだろうな、と。
楽曲構成がまるっきり異なるため、新曲と再構築とを並べると異質に聴こえてしまうのは、ある種、仕方がない部分。
とはいえ、人気曲の再構築へ注目が集まりきっていた中で、ベクトルは異なれどリスナーを圧倒してしまう新曲を持ってこれるのが恐ろしいのですよ。
お祭り感を出して当時のリスナーを巻き込みつつ、それらを撒き餌に、DIR EN GREYの音楽が現在進行形で格好良いことを証明。
再録曲だけでひと段落させるよりも、今の彼らに興味を持たせ、勢いを加速させる妙手だったのでは。
本作の発売前は、いっそのこと「GAUZE」を丸ごとリビルドしてくれないかな、なんて思っていたのですが、改めて新曲をたくさん聴きたくなってきた。
正当な意味で、過去から現在に時間を繋いでくれる1枚です。
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