MACABRE/Dir en grey
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MACABRE
2,582円
Amazon |
1. Deity
2. 脈
3. 理由
4. egnirys cimredopyh +) an injection
5. Hydra
6. 蛍火
7. 【KR】cube
8. Berry
9. MACABRE -揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹-
10. audrey
11. 羅刹国
12. ザクロ
13. 太陽の碧
2000年にリリースされたDir en greyの2ndフルアルバム。
ケース内に数珠が入っているギミックから、世界観への徹底ぶりが伺えます。
インディーズ時代は黒系、コテコテ系の王道的バンドであった彼らですが、メジャーから発表した1stアルバム「GAUZE」を最後に方向性を変えていく。
といっても、大衆的にポップになるわけではなく、よりダークに、よりマニアックに潜り込んでいったのが実に彼ららしいところでしょう。
この「MACABRE」は、現在のDIR EN GREYと比較すれば、まだまだ初期に通じるヴィジュアルロックの香りや、キャッチーなメロディも多く残されてはいるものの、リアルタイムで聴いていた身としては、十分に変化を感じさせた1枚。
ディープなサウンドにどっぷりと浸かり、本作を機に虜になったというリスナーも多かったのでは。
SEかと思いきや急に呪術的なボーカルが重なってくる「Deity」から、異質な空気感。
シングルとなったコテコテサウンドの「脈」に、メロディアスな歌モノ「理由」と、序盤はある程度聴きやすい楽曲が続くが、その後は「egnirys cimredopyh +) an injection」だったり、「Hydra」だったり、実験的な要素を多く取り込んだノイジーでサイバーな楽曲を畳み込むなど、当時のヒット曲のセオリーであったカラオケで歌わせるような楽曲とは真逆のベクトルに振ってきているのです。
オリエンタルなアレンジに仕上がったバラード「蛍火」や、退廃的な毒々しさを纏った長尺曲、「MACABRE -揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹-」なども象徴的。
宗教的、呪術的な雰囲気に包まれた本作のイメージを、より強固なものにしていました。
パンキッシュな「Berry」、ハードに攻める「羅刹国」など、その後のラウド路線を示唆する楽曲も挿入された一方、「【KR】cube」、「audrey」といった彼らなりのポップチューンもあって、バランスも完璧。
ライト層を突き放すのではなく、しっかりと足首を掴んで最深部にまで引きずり込む流れになっていて、Dir en greyとしてのオリジナリティを確立した作品と言えるのでしょう。
なお、アルバムの少し前に発表されたシングル、「太陽の碧」は完全にブラフでしたね。
後に先にもこれしかない、というレベルの爽やかさ、ポップさ。
遂にDir en greyもメジャーの圧力に負けたか、なんて声も聞こえてきましたが、蓋を開けたら、この濃厚な世界観なのだもの。
発売のタイミングも含めて、狙い通りといったところかしら。
18年前にリリースされたのが嘘のように古さを感じさせない楽曲たちは、既に彼らが唯一無二になりつつあったことを証明しているのかと。
一口にダークといっても、視点が変われば白にも黒にも染まる宗教画のような深みがある作品です。
<過去のDir en grey(DIR EN GREY)に関するレビュー>
ARCHE
THE UNRAVELING
UROBOROS
鬼葬
ain’t afraid to die
GAUZE
-I’ll-
MISSA