落ちた事のある空/DIR EN GREY
1. 落ちた事のある空
2. CLEVER SLEAZOID
3. Followers [LIVE] ※Live Take at Islington Assembly Hall on Feb 5, 2020
DIR EN GREYにとって、初となるデジタルシングル。
「The World of Mercy」以来、約1年ぶりとなる新曲となります。
本作は、YouTubeでプレミアム公開された「DIR EN GREY AUDIO LIVESTREAM 5 DAYS」にて告知されたことでも話題になりました。
本来は、ツアーの最終日に発表される予定だったとのことですが、コロナ禍の中で中止になった結果、ライト層も巻き込んだこのイベントが企画されたのかと思うと、上手く対応したな、といったところでしょう。
さて、その「落ちた事のある空」ですが、テーマとなっているのは"戦争"。
現時点で明確に歌詞は公開されていないものの、"8月6日"という広島に原爆が投下された日付が登場します。
MVでは更に直接的な戦争のイメージカットが用いられていますね。
過去にも戦争をモチーフにした楽曲を発表している彼ら。
もしかしたら、このタイミングでリリースすることを最優先としたために、パッケージではなくデジタルシングルでのリリースになったのかな、なんて推測も立てられるのではないかと。
サビのメロディアスな部分のみを聴けば、壮大な歌モノにも聴こえてくるのですが、全体観としてはハードさが際立ちます。
がっつりと取り込まれたヘヴィネスに、現在進行形で凄みを増していくVo.京さんのシャウト。
この流れを踏まえて聴くと、伸びやかなハイトーンヴォイスも、鋭さを持って耳を切り裂くかのように突き刺さるから面白い。
ドラマティックに仕上げて、3分半というコンパクトさも絶妙なバランスでした。
カップリングとなるのは、「CLEVER SLEAZOID」。
こちらは、「THE MARROW OF A BONE」以来、2度目となる再録ですが、歌詞が日本語主体に書き直されています。
全部が聴きとれたわけではないものの、やはり耳馴染みが良くなったというか、歌謡曲的な要素も付加されるため聴きやすくなった印象。
楽曲構成も変わっており、重厚さと疾走感のメリハリを強めた形に再構築されました。
前回の再録がシングルをアルバムに入れるにあたってのカスタマイズだったのに対し、別解釈でのリメイクといったところ。
今となっては、このスタイルこそがDIR EN GREYだな、と。
最後には、「The Insulated World」の収録曲のライブ音源も。
海外でのライブなんて夢のまた夢という状況下、2020年のロンドン公演でのテイクなんて、ある種、希少価値が高いのでは。
デジタルシングルにまで、ライブテイクを単発で入れる必要はあるかという議論はありそうですが、聴きたい人だけ買えば良いということでもありますし、余韻を作る意味でも、案外効果的だったりして。
なお、中止になった2Days公演「「The Insulated World -The Screams of Alienation-」」のチケットを返金しない場合、返礼品として本作のパッケージ盤が送付されるのだとか。
その意味では、やはり本作、1stデジタルシングルではなく、メジャー通算31枚目のシングルと見た方が良いのかな。
どこかのタイミングで、歌詞もじっくり読んでみたいものです。
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