ETERNAL/清春
1. Carnival of spirits
2. SAINT
3. RUTH
4. ETERNAL
5. 霧
6. SWORD
7. ロープ
8. Interlude by DURAN
9. 砂ノ河
10. Interlude by タブゾンビ(SOIL&"PIMP"SESSIONS)&栗原健
11. DESERT
12. FRAGILE
13. Interlude by 栗原健
14. 狂おしい時を越えて
15. sis
16. 鼓動
17. ETERNAL (reprise)
ヤマハミュージックコミュニケーションズからリリースされた、通算11枚目となるソロアルバム。
3枚の先行配信シングルを含む、全17曲。
うち3曲は「Interlude」と題されていて、ギタリストのDURANさん、トランペット奏者のタブゾンビさん、サックス奏者の栗原健といった面々がセッションを展開していきます。
全曲ベースレス、「鼓動」を除いてはドラムも取り除かれ、スパニッシュギターとパーカッションが主体になった本作。
バンドのセオリーに縛られず、楽曲を活かすための編成を模索してきた清春さんですが、スパニッシュギターのテイストをより活かすために、メロディ部分を金管楽器に任せているのが、本作の大きな特徴でしょう。
「夜、カルメンの詩集」の強化、あるいは「JAPANESE MENU/DISTORTION 10」の洗練化といったアプローチ。
心なしか、その中でキャッチーさが垣間見える清春節の回帰も見られて、彼にしてみれば通過点なのだけれど、集大成的な最高傑作と言っても良いのでは。
集大成というのは、歌詞においても感じる部分。
「ETERNAL」というタイトルとは裏腹、その世界観には、常に"終わり"がちらついているな、と。
年齢を重ねて、キャリアを重ねて、出来るようになったことばかりではなく、出来なくなったことも出てきている。
今すぐに"終わり"が来ることだってあり得る、という観念のもとに、構築された歌詞が増えてきています。
癖が強い歌唱法は、ひょんなことから改めて世間に周知されることになったわけですが、どんな理由でも歌詞を意識するきっかけさえできれば、もう清春さんのまな板の上。
案外、すっと沁み込んでいく透明感も帯びているから面白いのですよね。
結局のところ、変化を続けるスタンスに変わりはなく、黒夢やSADSでの動きもありそうな清春さん。
逆説的ではあるけれど、変化し続けることで永遠になるというのも、彼が歌うと説得力を持つからズルいです。
なお、「水曜日のダウンタウン」の企画、"清春の新曲 歌詞を書き起こせるまで脱出できない生活"で話題になった「霧」も収録。
メタ的な話ではあるが、清春を聴いて育った世代が、テレビ番組の企画・構成において発言権を持つ時代なのだな、とデビューから30年という時間の重みを感じてしまった。
<過去の清春に関するレビュー>