エレジー / 清春 | 安眠妨害水族館

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エレジー/清春

エレジー エレジー
4,436円
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DISC 1 ~ "elegy" ~

1. LAW'S

2. ゲルニカ

3. アロン

4. rally

5. GENTLE DARKNESS

6. 夢

7. カーネーション

8. この孤独な景色を与えたまえ

9. 輪廻

10. 空白ノ世界

 

DISC 2 ~ "elegy" poetry reading~

1. LAW'S

2. ゲルニカ

3. アロン

4. rally

5. GENTLE DARKNESS

6. 夢

7. カーネーション

8. この孤独な景色を与えたまえ

9. 輪廻

10. 空白ノ世界

11. YOU

 

清春さんのTRIAD移籍第一弾アルバム。

2CD+DVDのパッケージ作品となります。

 

本作の特徴は、なんといっても"リズムレス"であることでしょう。

黒夢からの全キャリアから10曲をセレクトし、ボーカル、ギター、チェロを基本としたサウンドで再構築。

セルフカヴァー作となるのだけれど、すべてが新曲のような新鮮味を放っていました。

 

唯一無二のカリスマ的存在。

清春さんと言えば、独特の歌唱法により、後のシーンに大きな影響を与えたひとりであり、彼が歌えばどんな楽曲でも清春節になってしまう。

その点で、リズムレスにしたところで、ボーカリスト・清春の存在感が勝るのだろうな、圧倒するのだろうな、という予想をしていたのですが、良い意味で裏切られましたよね。

 

もちろん、存在感は物凄いのだけれど、驚いたのは、その表現力。

リスナーの脳裏にある"清春っぽさ"を残す歌い方ではあるのだが、楽曲ごと、あるいはパートごとに絶妙な変化をつけ、リズムレスであることの意味を明確にしている。

演奏を喰ってしまう歌ではなく、演奏と寄り添う歌が響いている。

特に、掠れた声で感情たっぷりに歌い上げる「アロン」や、今になってこれをやるか、という「夢」にはグッときます。

「この孤独な景色を与えたまえ」で見せる優しい歌声も捨てきれず、ひとつに絞り切るなんてできやしませんよ。

 

ここまで表現者・清春に向き合う作品は、ありそうでなかったのでは。

10曲と、フルアルバムとして決して多い曲数ではありませんが、トータルで67分弱と、その濃厚さにボリューム感は十分。

近年の活動の軸となっているアコースティック編成でのライブ活動の成果とも言え、昔からのファンも、最近のファンも、聴かない手はないはずです。

連続リリースとなる移籍第二弾フルアルバム「夜、カルメンの詩集」も発表されており、聴き比べるのも、また一興か。

 

なお、収録曲の歌詞を、清春さん本人がSEに乗せて朗読したのが、DICS 2の内容。

本編に含まれていない「YOU」の朗読も、ボーナストラック的に含まれており、メインディスクに収録されなかった意図を深読みしたくなります。

シンプルだからこそ深みがある、圧巻の作品。

 

<過去の清春に関するレビュー>

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