はじめてのじぐざぐ/-真天地開闢集団-ジグザグ
はじめてのじぐざぐ
2,000円
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1. 愛シ貴女狂怪性
2. 十六夜
3. 繋がりたい
4. 悪いのはバンドマン
5. 仕切りが嫌い
6. 怨めしや~百鬼夜行~
7. 抹消
8. トチ狂っテる
9. 一祭合祭
10. オキニ オキラ
11. 狙い投げ
12. 「死にたい」御年頃
13. 糞麺氏ね
大阪を拠点に活動中の-真天地開闢集団-ジグザグ。
本作は、初の全国流通作品となるベストアルバムです。
結成2周年の集大成となるベスト盤。
そう言うと、少し早すぎる気がしないでもないが、これまで限定的なリリースしかしてこなかった彼らにとって、挨拶代わりに代表曲を詰め込んだ作品を入門書として全国流通したと捉えれば、妥当性は十分にあるのかと。
13曲+αで2,000円という価格設定も、まずは知ってもらうことを第一に考えていますよね。
彼らが歌うのは、"たぬきの掲示板"をはじめとするV系シーンの闇の部分であり、ネットスラングも当たり前のように歌詞に登場。
「繋がりたい」、「仕切りが嫌い」、「オキニ オキラ」、「糞麺氏ね」…
タイトルだけをさらっと眺めても、その要素は見て取れるでしょう。
この手の作風、コミック要素の強い個々の楽曲としては以前から存在しており、現在では普遍的なアプローチのひとつ。
決して単体で珍しいものではありません。
ただし、一貫したコンセプトとして"たぬき文化"を取り扱っているバンドは、彼らぐらいなのでは。
和風に味付けをしたサウンドを、ときに激しく、ときに切なく、奏でていく。
そのアレンジの本気っぷりに、最初は抵抗があっても、最後には認めざるを得なくなっているといったところ。
これはこれで、"シーンにどっぷり浸かりすぎて、距離感がわからなくなってしまったバンドマンやファンにとってのリアリティ"なのではないか、と思えてくるから不思議です。
個人的には、「十六夜」や『「死にたい」御年頃』のように、俗っぽい楽曲の中にある切なさ重視のメロディアスナンバーが好み。
テーマとはギャップがある美しい和の旋律。
ノリ重視の楽曲は、もう少し構成にバリエーションがほしいところではあるが、引き込み方が上手いよなぁ。
全体的なバランスも絶妙で、寄せ集めの音源集とはとても思えないクオリティの高さがありますよ。
中毒性が高く、口コミで火が付きつつあるのも、なるほど納得。
もっとおふざけ要素が強いのかと想像して、聴くまでに時間がかかってしまったのを後悔しました。
なお、正々堂々と裏ジャケに"隠しトラック有"と記載している正直さにも注目したい。
もはや隠れていないのだけれど、PC等でデータに落としてからの再生が主流になっている昨今、確かにこれは言われないと気付かないか。
是非CDを手に取って、どこに収録されているか色々と試してみてほしいものです。