R.I.P. / DIAURA

R.I.P./DIAURA

『R.I.P.』初回盤

Amazon（アマゾン）

3,960〜5,975円

1. ZERO

2. 死抗回路

3. 乖離性イデオロギー

4. Loop[S]Diver

5. Missing piece

6. Caligula

7. Gate of Labyrinth

8. Hurt

9. その証明

10. Believer

11. Hidden cry

12. RED ROMANCE

13. ミザリー

14. LAST BLOOD

初回盤と通常盤の２タイプでリリースされた、DIAURAの5thフルアルバム。

初回盤には、「乖離性イデオロギー」のMVを収録したDVDと、ボーナストラックとして「RED ROMANCE」が追加されています。

ベスト盤のリリースから約半年。

オリジナルのフルレンスとなると、実に４年ぶりに届けられた本作。

発売日は予定よりも１週間ほど遅れるアクシデントはあったものの、その完成度は舌を巻くレベルでした。

スタートは、ヘヴィーなサウンドに、パキパキと響くベースが特徴的な「ZERO」。

世界観を重視したミディアムナンバーから幕を開けるのが彼ららしいのですが、その後も、妖艶なメロディで魅了する「死抗回路」、リードトラックである攻撃的な王道チューン「乖離性イデオロギー」と続け、欲しい音楽を欲しいところに、というDIAURA節は健在です。

もっとも、ただ従来の流れをなぞるだけでは物足りない。

それは十分理解しているといったところで、実験的な要素や、チャレンジも盛り込みつつ、高いクオリティで昇華しているのが、本作のポイントでしょう。

メロディアスでスピード感のあるナンバーを中心に置きつつも、「ZERO」のベースしかり、「Loop[S]Diver」での電子音しかり、これまで使ってこなかったサウンドや、「Missing piece」でキャッチーに展開してからの重苦しい「Caligula」への繋ぎなど、要所要所で意外性や新鮮味を与えていて、またこれか、という感想には至らないのですよ。

ヴィジュアル系を貫く、正当派のスタイルで10周年。

この音楽性で、このタイミングで、まだまだ衝撃を生み出せるという事実は、「R.I.P.」という終わりを予感させるタイトルとは裏腹、シーンにおける希望と言えるのでは。

前半で進化を見せつけたからこそ映えるのは、「Gate of Labyrinth」、「Hurt」というど真ん中の疾走チューンのコンボ。

これぞDIAURA、という期待に応える楽曲ではあるのですが、頭に持ってくると、いつもどおりと思わせたかもしれない。

曲順の妙、中盤で持って来たことで、原点に立ち返っての成長っぷりを還元するという意味合いが強まって、素直に"待ってました！"と受け入れることができるのです。

しっとりと聴かせる「その証明」、突き抜けたポップさを持つ「Believer」、ハードに振り切った「Hidden cry」と、後半はバリエーションも意識。

構成に一癖ある「ミザリー」、独特のリズムでヘヴィーな印象を与える「LAST BLOOD」でのクロージングは、あえて邪道な攻め方をしたな、と思わず笑みが零れそうになります。

王道を攻める自分たちへのアンチテーゼ的にも見えるし、小さくまとまったシーンへの反抗とも捉えることができそう。

絶妙に歌詞がリンクするトータルコーディネートも絶妙で、「R.I.P.」という言葉にどういうメッセージが込められていたのか、解釈も滾りますね。

さて、改めて触れるのが「RED ROMANCE」。

これは、Vo.yo-kaさんとGt.佳衣さんが在籍していたヴァルナ時代の未音源化曲を、DIAURAとしてリビルドしたもの。

資料的な価値があるだけでなく、より源流に近いストレートな"ヴィジュアル系"を展開しており、これを聴くために初回盤を買うべきである、と断言できるキラーチューンとして蘇っていました。