如月駅 / シェルミィ | 安眠妨害水族館

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如月駅/シェルミィ

 

1. 如月駅

 

5周年を迎えたシェルミィによる2021年第二弾となるデジタルシングル。

 

サブスク解禁と同時にリリースされた本作は、Vo.豹さんが作詞・作曲を手掛けた疾走ナンバー。

都市伝説として有名な「如月駅」をタイトルに持ってきているため、ダークでおどろおどろしい楽曲を想像していたのですが、まさかこんなにも切なく駆け抜けていくとは。

アルバムのラストに持ってきても映えそうな解放感のあるメロディに、哀愁を帯びたギターのフレーズ。

激しさや重さではなく、気持ち良さに振り切ったスピード感は、問答無用でグッとくるのです。

 

ヴィジュアル系、30年弱の歴史において、流行り廃りは当然にしてあるわけで。

斬新なアプローチが陳腐化し、ダサかったフレーズが最先端として舞い戻る。

そんな目まぐるしく変化していくシーンにおいて、唯一、普遍的な楽曲があるとしたら、まさにこんなサウンドなのでしょう。

間奏やアウトロでハミング調のコーラスワークを加えるあたりも、ツボをよくわかっていらっしゃる。

ベタ中のベタとも言い換えられるのだけれど、タイトルでギャップを作ったのがズバリ当たった形。

心の準備が出来ていないノーガードな状態に、こうもど真ん中のイントロが飛び込んでくるのだから、刺さって刺さって仕方ないのですよ。

 

なお、前作「ハッピーオーヴァードーズ」同様、期間限定の受注生産で、グッズ付きのCD盤もリリース。

価格帯的にはコアなファン向けといったところではありますが、サブスク公開で間口を広げつつ、求める声には+αの付加価値も提供。

間に"CDのみ"という仕様があると、かえって悩んでしまいそうですし、明確に差をつけて足踏みを避けるのも、なかなか商売上手と言えるのでは。

V系ファンならどの世代にも通用するキラーチューン。

騙されたと思って、聴いてみてほしい1曲です。

 

<過去のシェルミィに関するレビュー>

ハッピーオーヴァードーズ

平成32年へ。

失楽園

うずまき

少女地獄

ぼくらの残酷激情

平成メンヘラセオリー