ハッピーオーヴァードーズ / シェルミィ | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

ハッピーオーヴァードーズ/シェルミィ

 

1. ハッピーオーヴァードーズ

 

大阪発の負け犬ビジュアル系バンド、シェルミィのデジタルシングル。

 

本作は、2021年サブスク配信第一弾としてリリースされたもの。

サブスク配信、ダウンロード販売に加え、完全受注生産での限定CDも発表されました。

その「ハッピーオーヴァードーズ」は、Vo.豹さんが作詞、Ba.凌央さんが作曲を担当したダークチューン。

タイトルからして、メンヘラ系のど真ん中で、若者たちの息苦しさを代弁する彼らにとって、実に王道の1曲と言えるでしょう。

 

彼らの特徴は、"メンヘラ系"の世界観をあくまで社会の闇であると捉えていること。

安易に病んだバンギャルを歌詞に登場させて、あることないこと書き連ねるのではなく、若者が誰しも抱えている苦しみ、悩み、生きづらさとして、寄り添う形、共感する形で歌詞にするのですよ。

本作についても、過剰な演出をするでも、無理に背中を押すのでもなく、ただ寄り添っているのが印象的でした。

飽和しきったジャンルの中、彼らが特出して深みを持たせることができている理由が、はっきりと示されているのでは。

 

音楽性に目を向けても、なんともシェルミィらしい。

情報量の多いサウンドに、性急なリズム。

ハードに攻めるけど、サビにはキャッチーな部分を用意して、三拍子にテンポチェンジする複雑な展開も。

ここまで来ると、いよいよ彼らのサウンドが確立したのだな、と感慨深くなりますね。

2021年一発目ということで、まずはど真ん中から真っ向勝負。

4月には第二弾の音源発表も予定されており、次はどんな手を使ってくるか、今から楽しみです。

 

<過去のシェルミィに関するレビュー>

平成32年へ。

失楽園

うずまき

少女地獄

ぼくらの残酷激情

平成メンヘラセオリー