平成メンヘラセオリー / シェルミィ | 安眠妨害水族館

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平成メンヘラセオリー/シェルミィ


1. 平成メンヘラセオリー
2. 君の首を絞めるうた

"ぼくらの残酷激情(グランギニョル)"をコンセプトに始動したシェルミィ。
初音源となる1stシングルをドロップしました。

活動休止中であるShellmyのVo.豹さん、Gt.友我さんを中心に結成。
読み方は変わっていないため、名義変更で活動を再開したのかと思ったのですが、あくまで新バンドという位置づけなのですね。
想いを踏襲しつつ、ゼロからスタートするという決意も見て取れ、今度の展開が楽しみです。

さて、そのリードトラックは「平成メンヘラセオリー」。
片方がザクザク切れ込み、もう片方が印象的なフレーズを繰り返すツインギターが特徴で、イントロから引き込まれます。
"平!成!メンヘラ!"の掛け合いを筆頭に攻撃的な要素を散りばめつつも、サビではキャッチーに展開。
フォーマットとしては現代のスタンダードといったところではあるのだけれど、やはり、衝動的な勢いは感じますね。

直接的に歌詞に反映されているわけではないのだが、"僕等には「未来」も「過去」も無い。"というワードが重要と思われる。
これは、楽曲に対して、作品に対して、というだけではなく、バンドに対して向けられたコピーなのかな。
「平成メンヘラセオリー」における、"「"Shellmy"ってバンド知ってる?」ドマイナーバンドに興味は無い。"という部分が象徴的。
テンプレ的なメンヘラ女のストーリーテリングの中に隠して、過去に縛られず、今を進んでいこうとするメッセージ性を含んでいるところに、この楽曲を始動一発目に選んだ意図が感じられるでしょう。

カップリングは、「君の首を絞めるうた」。
2分半に満たない短いナンバーですが、激しさ一辺倒ではなく、カオティックな展開を見せて。
特に、サビでのメルヘンチックなギターフレーズが効いているかと。
ワンフレーズで突き進むシンプルなサビなのだが、あえて浮いた感じにすることにより、個性的に聴こえるのですよ。
ダークな歌詞なのに、楽しげで明るい。
そのオカシさが、サイコパスのような不気味さを演出しており、耳に入ってくる情報以上の背景を想像してしまうのです。

前身バンドとなるShellmyや、豹さん、友我さんによる期間限定ユニット・ゼラとの違いを語るには判断材料に欠ける。
しかしながら、本作に詰め込んだパッションと、それをパッケージするうえでの工夫は、活躍を期待したくなるには十分なレベル。
現時点では関西のドマイナーバンドの域を出ていないのは確かですが、全国的に名前を耳にすることが増えるぐらいに大きく成長してもらいたいものです。
快進撃の序章になってほしい1枚。