「KYO-MEIワンマンツアー」~運命開歌~@STUDIO COAST(2016.6.12) | 安眠妨害水族館

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新木場STUDIO COASTで開催されたTHE BACK HORNの単独公演、「THE BACK HORN 『KYO-MEIワンマンツアー』~運命開歌~」に行ってきました。
この日でツアーファイナル。
初日のTSUTAYA O-EASTでも見ていたのですが、全国35本というロングツアーを経て、どのように進化したのかが楽しみだったのですよね。
このバンド、本当にツアー中に楽曲たちを成長させてしまうので。

ソールドアウト公演ということで、スタート前から熱気が物凄く、スモークがかかっているのか、オーディエンスの汗が蒸発しているのかが判別できないくらい。
セットリストは、大筋は初日と変わらず。
本編に限定すれば、「生命線」と「カラビンカ」が、「赤眼の路上」と「コワレモノ」に、「コンクリートに咲いた花」が「君を守る」に差し替わったくらいでしょうか。
アルバム「運命開歌」のレコ発ツアー。
"開花"、"開歌"がテーマのひとつだったわけで、その点からも「コンクリートに咲いた花」は改めて聴いておきたかったのだが、「君を守る」も一度は聴いてみたかったし仕方ないか。
結局、「記憶列車」だけ聴くことができなかったな。

この日は特段のトラブルもなく、「暗闇でダンスを」から「胡散」までは、盛り上がるべくして盛り上がっていたのかと。
「その先へ」の前のMCで、"一緒に歌って、一緒に叫んで"みたいなコメントがDr.松田さんより発せられたこともあり、免罪符を得た合唱厨たちが煩わしかったのだけれど、「赤眼の路上」以降、落ち着いてくれたからほっと一息。
THE BACK HORNは、しれっと初期の楽曲を演奏して、ライト層を蹴散らしてくれるから心強いです。

さて、やはり特筆すべきは「赤眼の路上」。
ライブで聴くのは久しぶりだったのですが、イントロから鳥肌が立つくらいの存在感は健在。
Vo.山田さんの感情的なボーカルで歌い上げられるベタな和メロもたまりません。
ひとしきり感動したところで、続く「コワレモノ」で、また感動。
各メンバーのソロパート時にメンバー紹介がなされたり、間にコール&レスポンスでアットホームに盛り上がったり、ラフなセッション風のノリを取り入れて、これまでの彼らにはなかったタイプの一体感を作り上げていました。
Gt.菅波さんの天然具合も炸裂し、初日のセットリストに組み込まれていなかった新鮮さも手伝って、とても記憶に残るひとコマになった。
ライブで化けるとは、まさにこのことですね。

歌モノゾーンに入り、「冬のミルク」、「美しい名前」を噛ませての「tonight」や、「魂のアリバイ」からラストまで突っ走る攻めのクロージングも、初日とは見違えるほどの仕上がりで、これが完成系だったのか、と驚愕しっぱなし。
いや、驚く暇もないくらいに体が動いてしまっていたというのが正確なのだけれど、振り返って思い返すと、あれは衝撃という他ないのです。
一度経験しているのに和らぐことのない衝撃。
これを感じることができる限り、THE BACK HORNをずっと追いかけていくことになるのだろうなぁ。

ちなみに、この日はMCが良くも悪くも神懸かっていました。
山田さんがアルバムタイトルにかけた"うんめーイカイカ"というツアーグッズの構想を急に語りだしたり、最後の最後、"この会場が満開に咲いたことを宣言いたします!"的な一番大事な部分で、松田さんがお約束の噛み芸を披露したり、基本的にグダグダだったものの、その中でポテンシャル以上の笑いを生み出していたというか。
10年以上やっていて、未だにMCが初々しいというのは褒められたことではないのだけれど、すっかりこのゆるさが魅力になってしまているあたり、彼らのキャラクターは得だよな、と。
これだけダークでエグいことも歌っていながら、本人たちが至って純朴なのだもの。

アンコールでは、レア曲である「舞い上がれ」で会場を沸かせると、「罠」、「コバルトブルー」という鉄板を送り込む。
正直、「罠」はだいぶ飽きてしまったところがあるのだが、それ以上に聴いているのに飽きることがない「コバルトブルー」の破壊力。
会場全体でぎゅっと前に圧力がかかっていくのがわかります。
実にカオティックな空間であった。

しかも、この日はファイナルということもあって、セカンドアンコールまで敢行。
「無限の荒野」で終わるのも、なんだか久しぶり。
初心に帰る感覚で、新木場を後にすることになりました。

なお、秋にはシングルのリリースおよびホールツアーの開催が決まったとのこと。
オーケストラアレンジでの演奏も予定されているようで、都合がつけばどこか行きたいけれど、ファイナルの東京公演が平日なので厳しいかなぁ。
もし、このときに"うんめーイカイカ"が商品化されるようであれば、誰か代わりにレポをお願いしますね。

1. 暗闇でダンスを
2. ダストデビル
3. 戦う君よ
4. その先へ
5. 胡散
6. 赤眼の路上
7. コワレモノ
8. シュプレヒコールの片隅で
9. 悪人
10. 君を守る
11. 冬のミルク
12. 美しい名前
13. tonight
14. 魂のアリバイ
15. シンフォニア
16. 刃
17. カナリア

en1. 舞い上がれ
en2. 罠
en3. コバルトブルー

en4. 無限の荒野