桜/Kagrra
1. 桜 ~再会の華~
2. 碧の葬列
3. 妖祭
4. 沙羅双樹の子護唄
2001年にリリースされたKagrraの2ndミニアルバム。
5000枚限定の初回盤は早々に完売。
2nd Press盤からは、「桜 ~再会の華~」のアコースティックヴァージョンが追加収録されています。
既に彼らの"ネオ・ジャパネスク"は確立されており、和をモチーフにしたバンドが増えた現代に聴いてもオリジナリティが半端ない。
たおやかな自然の美しさ。
とりわけ、桜が満開で、淡い色彩が空を覆いつくしている風景が、サウンドで表現されているようなのですよ。
表題曲である「桜 ~再会の華~」は、6分超の長尺ながら、時間を感じさせないメロディアスナンバー。
この1曲が存在するだけで本作は名盤である、と言わんばかりのキラーチューンで、特にサビのメロディの秀麗さといったら。
あえて古語を使わずに紡いだというVo.一志さんの歌詞も情緒的で、儚さを纏いながらも、鮮やかに咲き誇る華やかさに包まれていました。
続く「碧の葬列」は、その「桜 ~再会の華~」とは、ある意味で対極にある退廃的な楽曲。
激しい、ゆるい、という表面的な対比ではなく、同じミディアム調に仕上げた中で、例えば絶妙な光源の違いを対比のモチーフとして用いる太陽と月のような奥ゆかしさがあり、なんとも日本のワビサビ的なのですよね。
祭囃子をベースにした「妖祭」は、夜桜の妖しげな佇まいを思い起こさせるし、幽玄な「沙羅双樹の子護唄」は、おっとりとした春の木漏れ日の中にいるような気分になる。
たった4曲で、春のすべてを堪能出来てしまいました。
メジャー期と比べれば、サウンドクオリティは改善の余地あり、という評価になってしまうのかもしれない。
しかしながら、動き回るベースと和楽器を意識したツインギターのアンサンブルは、当時のインディーズシーンでは頭ひとつ抜き出ており、アレンジセンスの高さを見せつけていました。
4曲中、実に3曲が6分超。
これを聴かせ切ったのだから、相当なお手前ということでしょう。
この季節になると、聴かずにはいられない1枚。