彩 / Kagrra | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

彩/Kagrra
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1. 幻惑の情景
2. 眩暈
3. 神謌
4. 徒然なるままに,,,
5. 刹なる言葉
6.

7. 百鬼夜行


Kagrra.の3rdミニアルバム。

2001年にリリースされた作品です。

 

発売時は賛否両論だった本作。

会場限定シングルを4ヶ月連続発売との触れ込みで、ファンはもちろん、音源コレクターが躍起になって集めた4枚のシングルが全曲収録。

加えて、改名する前のCROW名義で発表していたデモテープから、2曲を再録するというおまけまで付けられていて、純粋な新曲が含まれていなかったのですよね。

 

ただし、アルバムとしての完成度が、案外高いから驚かされる。

どうしても寄せ集め感がありそうなものなんですが、これがしっくりくるのです。

もともと、和風なモチーフで統一し、歌詞にも古文を多用するなど、目指している世界観がはっきりしていたバンドだったこともあって、新旧の楽曲が混ざっても、まったく違和感はなく。

Vo.一志さんは、ファルセットに頼る癖があるものの、詩世界の構築や柔らかい歌い方はとてもマッチしていて、楽器隊もそれを引き立てています。

特にベースラインは独特で、よくよく聴くと面白いフレーズを弾いているのだよな。

 

メジャー進出後は、一時カジュアルな格好になって、和風にもこだわらないとコメントを出したりしてたのですが、最近はまた、生の琴を取り入れたり、和風に戻りつつあって嬉しい限り。

現代シーンにおいて、ミディアムナンバーが中心のバンドが堂々とフェスやイベントに出れる環境は、その世界観があるからこそ。

もっと評価されてもいい、と常日頃から思っているのですけれど。

 

当然、好きなナンバーも多いのですが、「彩」からのお気に入りは、「徒然なるままに,,,」。

和がモチーフなだけあって、緩やかな曲や、おどろおどろしい曲が多かった彼らですが、この曲はとてもポップで、音楽性の幅を広げていると感じます。

跳ねるような歌メロと、繊細な演奏で、ポップなのだけれど、切なく、儚いイメージも与えて、余韻に浸れる名曲。

新しい境地だったにもかかわらず、世界観が崩れないのがさすがだと思いました。

もちろん、"キカイカイカイカイ~♪"とファルセットで叫ぶ、初期の暴れ曲、「百鬼夜行」も忘れてはいけないですね。

こざっぱりまとまってしまって、デモテープのバージョンのほうが迫力あったりするのが、ちょっと残念ですが。

 

これからKagrra,に入るのならば、本作を含めた初期のミニアルバム3枚か、現時点での最新アルバム「珠」がおススメ。

とても作りこまれた世界観が聴き応え充分です。

決して激しくはないけれど、情緒的で神秘的な独自の路線を突き進んでいるのが格好良い。

次のアルバムが待ち遠しいバンドのひとつです。