十色定理/Plastic Tree
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十色定理 [CD] (通常盤)
3,300円
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1. あまのじゃく
2. メデューサ
3. 潜像
4. C.C.C.
5. remain
6. スウィング・ノワール
7. インサイドアウト
8. Light.Gentle.and Soul.
9. 月に願いを
10. エンドロール。
オリジナルとしては15枚目となるPlastic Treeのフルアルバム。
前作「doorAdore」からは、約2年ぶりでのリリースとなります。
"平面上のいかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗り分けるには4色あれば十分だ"という四色定理から着想を得て、この10曲があればPlastic Treeの在り方を表現できると付けられた「十色定理」というタイトル。
先行シングルは「潜像」と「インサイドアウト」の2曲のみですが、完全生産限定盤では、実際に10曲すべてをシングルカットし、ジャケットからMVからキャッチコピーまで作ったボックス仕様という力の入りよう。
それぞれのシングルには、オリジナル、インストゥルメンタル、デモの3パターンの各楽曲が収録されており、コアなファンにはたまらない仕掛けとなっていました。
先行シングルの2曲は、作詞・有村竜太朗、作曲・長谷川正という黄金コンビ。
それ以外の8曲は、各メンバーが作詞作曲を担当した楽曲が2曲ずつという構成になっているのが本作の最たる特徴でしょう。
Plastic Treeとしてコンセプチュアルにひとつの作品を作り上げていくというよりも、コンポーザーの個性を強く反映させた形であり、その意味では、インパクトの強いナンバーを選曲したオムニバス作品という捉え方もできるのかもしれません。
ただし、その文脈では語り切れない部分も多く出てくるから面白い。
正さんが担当した「あまのじゃく」は、導入SEのようなパートが2分ほど挿入されてから歌が入る構成であり、ここに配置されるのがわかっていたかのような楽曲構成。
アキラさんの「メデューサ」は、デジタル要素を取り込みつつ、軽快に進行していくロックチューンで、近年の彼らを象徴しています。
「C.C.C. 」は、竜太朗さんによる本作のリードトラックで、オールタイム的な王道感。
一方で、まだ引き出しを隠し持っていそうなケンケンさんは、新境地を狙っていけそうな「remain」を送り込んでいて、図ったかのようにバランスが取れているのですよね。
もちろん、もっと多くの楽曲の中から繋がりを意識してセレクトされているのかとは思うものの、ここまで上手くいくものかと。
2周目パートに入ると、望まれている音楽性を理解したうえで違った要素も取り込んでくるので、実はここからが腕の見せ所だったりして。
「スウィング・ノワール」は、ニューウェーブ風のアレンジが魅力的なのですが、初期の病的な雰囲気も感じられ、なんとなく懐かしさをも感じてしまう。
「Light.Gentle.and Soul.」は、アキラさんらしくエレクトロな仕上がり。
加えて、ギターロックとしての格好良さも追及されており、またひとつ上積みを重ねたな、と。
そして、「月に願いを」が壮大なシューゲイザーナンバーとなっておりアルバム内でのピークとしてドラマティックに盛り上げます。
圧倒的な説得力に打ちひしがれているうちに、タイトルどおりの「エンドロール。」にて、軽快にクロージング。
前半で過去の総括、後半で未来に進んでいくPlastic Treeを表現しきったのではないでしょうか。
シームレスに繋がるギミックや、歌詞での関連性などは見られず、コンセプチュアルな作品という意味での完成度は、過去の作品に劣ってしまうのかもしれない。
とはいえ、後発的にベストアルバムにしてしまう企画も含め、総合的なパワーという意味では、ただ第二、第三のコンセプチュアルな名盤を目指すよりも効果的に働いたのは間違いなく、まだまだ最高を更新するポテンシャルがあるのかと驚愕に価します。
さすがに完全生産限定盤は価格面でのハードルが高いのですが、通常盤でも十分楽しめますので、まずは体感してほしいという1枚。
<過去のPlastic Treeに関するレビュー>
echo
インク
静脈
アンモナイト
Cut~Early Songs Best Selection~
Parade