静脈 / Plastic Tree | 安眠妨害水族館

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静脈(初回限定盤A)/Plastic Tree
¥1,800
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1. 静脈
2. 静脈 (2011年12月9日台湾・初演版)
3. 静脈 (Instrumental)

静脈(初回限定盤B)/Plastic Tree
¥1,800
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1. 静脈
2. 静脈 (2011年12月9日台湾・初演版)
3. 静脈 (Instrumental)

静脈(通常盤A)/Plastic Tree
¥1,200
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1. 静脈
2. 鳴り響く、鐘 (Rebuild) 
3. 静脈 (Instrumental)

静脈(通常盤B)/Plastic Tree
¥1,200
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1. 静脈
2. 痛い青 (Rebuild) 
3. 静脈 (Instrumental)

メジャーデビュー15周年を迎えるPlastic Treeの、2012年第一弾シングル。
DVD付きの初回限定盤が2種、カップリングが差し替えられた通常盤が2種、合計4タイプの形式でのリリースとなります。

共通して収録されている表題曲、「静脈」は、ミディアムテンポの浮遊感漂うナンバー。
近年、ロキノン系のギターロック色が強くなりつつある彼らですが、しっかりとそのようなアプローチも取り込みつつも、本来の持ち味である、今にも消え入ってしまいそうな透明な世界観を押し出したような雰囲気。
インパクトのあるギターリフも耳に残ります。

イントロから、Aメロ~Bメロにかけての清涼感は、最近のPlastic Treeをよく表現していて、ほどよい軽快さとポップさが、気怠い有村さんのボーカルとハマる。
そして、サビになると、リズムパターンを少し落ち着けて、世界観重視の構成に。
この辺りは、脆弱で、儚げで、だけど、どこか凛としている、一昔前の彼らを思い出す。
初期衝動と、経験値をうまく楽曲に還元して、ベテランならではの深い味わいを生んでいますね。
シングル曲としては、若干パワー不足なところはありますが、らしいという意味では、節目の1曲にふさわしいと言えるでしょう。

初回盤におけるカップリングは、「静脈」のライブバージョン。
初披露のときのライブ音源ということで、ぎこちなさがあったり、緊張感がうかがえたりで、これはこれでファンにはたまらないのかもしれない。
ファンのノリが定まっていないため、ライブの臨場感というところは、あまり感じられないのは残念。

通常盤Aのカップリングは、メジャーデビューシングル「割れた窓」のカップリング、「鳴り響く、鐘」を再構築。
なかなかレアな初期の曲ということもあり、節目のタイミングでリテイクされるのはありがたいです。
オリジナルバージョンは聴いたことがないため、個人的には新曲として楽しむことができましたが、鬱々としたダウナーチューンは、まさに初期の面影。

同じく通常盤Bでは、「痛い青」を再構築。
こちらも、Plastic Treeの病的なイメージを印象付けた代表曲ですね。
ベストアルバム「Cut~Early Songs Best Selection~」で、既に一度再録されていましたが、改めてリアレンジ。
時間が経っての再録ということで、ポップで柔らかい仕上がりになることを想像したのですけれど、良い意味で予想を裏切る、ほの暗さが漂っています。
演奏面ではレベルアップを見せつける一方で、病的な感情表現を、ここまで再現してくれるとは。

4タイプあって、新曲は1曲だけという売り方は、あまり褒める気はしない。
ただ、やはり再録された2曲のクオリティが高いので、これは聴いておきたいところでもありますよね。
DVDに拘らなければ、聴いたことがない曲が収録されたほうの通常盤を選べば良いかと。
どちらも聴いたことがなくて、レア度で判断するなら、「鳴り響く、鐘」か。
もちろん、「痛い青」のアレンジも、かなり好みな方向に進化していますので、どちらも聴いたことがあるよって人は、こちらをおススメ。
原点回帰的な試みに、なんだか懐かしくなってくる一枚です。

<過去のPlastic Treeに関するレビュー>
アンモナイト
Cut~Early Songs Best Selection~
Parade