- Parade/Plastic Tree
- ¥3,059
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1. エーテル
2. ロケット
3. スライド.(Ver.2.0)
4. 少女狂想
5. ベランダ.(Ver.1.0)
6. 空白の日
7. 十字路
8. トレモロ(Ver.2.0)
9. 睡眠薬
10. bloom
11. Sink(Ver.2.0)
12. そしてパレードは続く
Plastic Treeの3rdアルバム。
2000年にリリースされた作品です。
メジャーデビューから10周年を迎え、キャリア的にはもうベテランの域に入ってくるも、今もなお第一線でシーンを引っ張っている彼ら。
ヴィジュアルバブルの頃には既にメジャーデビューを果たしていましたが、その独自性の高い音楽性によってバブル崩壊の波に巻き込まれなかったのが、結果的に奏功。
他のバンドが苦戦を強いられた氷河期以降も、現在進行形で動員を増やしている稀有な存在と言えるでしょう。
彼らの特徴は、なんといってもVo.有村さんの描く、詩的な世界観。
この比喩表現をここで持ってくるか、という示唆に富んでいて、言葉の紡ぎ方が実に巧妙。
オマージュ的なフレーズにしても、玄人好みの渋いところから引っ張ってきている印象です。
加えて、複数の音楽誌からUKロックの接近していると評された、浮遊感のある横ノリサウンド。
これも当時のシーンとしては異質であり、独自性が強すぎたのである。
メタルやパンクに影響を受けているバンドが多く、速くてなんぼ、激しくてなんぼというシーン。
その中で、ゆっくりした楽曲がメインのバンドなんて、ただでさえ異端となってしまいがち。
時間はかかったものの、その逆行から、しっかりと立ち位置を築きましたよね。
本作は、そんな歌詞の世界観にどっぷり浸ることができる1枚。
この後、ロキノン系のギターロックも取り入れて、シューゲイザー的なアプローチも増えていきますが、この頃はまだ浮遊感のある楽曲を定着させつつある時期。
「トレモロ」、「Sink」なんかはシングルだけあってキャッチーさも見せていますが、ポップな演奏をしているはずなのに、どこか儚さ、脆さを感じるアレンジで、少し切ない。
高音で掠れるボーカルも、消え入りそうな感じを演出していて、かえって伸びやかに歌うよりも効果的な演出になっていました。
個人的に気に入っているのは、「睡眠薬」。
この淡々として盛り上がらない、暗めの楽曲にこそ、初期Plastic Treeの病的で中毒性のある音楽性の神髄を見た気がします。
サビが比較的あっさり終わってしまうこともあり、余韻を引きずる。
また聴きたくなる。
生音以外に、アコーディオンなどのレトロな音使いを交えているのも、痺れるなと。
シングルの並べ方も上手いし、ドライブ感のある「スライド」や、激しさを見せる「少女狂想」のようなアクセントも充実しており、アルバムとしてのバランスも整っている作品。
一昔前の作品ですが、改めて聴いても素直に格好良いと断言できます。
ルーツを探ることもできるので、気が向いたら遡って聴いてみるのも良いのでは。