曼陀羅A / ダウト | 安眠妨害水族館

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曼陀羅A/ダウト

曼陀羅A 曼陀羅A
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1. 礼拝

2. 曼陀羅A

3. 不夜城

4. KAIGAN

5. 私生活

6. 輝夜に満ちて勿忘草

7. 閃光花火

8. 金魚蜂

9. 狂喜乱舞

10. 失神

11. 般若

12. ドラマチックパレード

 

 

1年以上リリースがなかったダウトにとって、久しぶりの作品となるフルアルバム。

流通盤と、ライブ会場限定の"全身全霊海賊盤"の2種類が発表されました。

 

流通盤は、12曲収録のCDに、「曼陀羅A」、「不夜城」のMV+メイキングのDVDが付属。

海賊盤は、ブックレット写真集にCDという仕様で、CDにはリードトラック2曲に加え、シングル曲である「閃光花火」、「金魚蜂」の計4曲のインストヴァージョンが追加収録されています。

CDのみの廉価盤が存在しないため、価格設定は高めになってしまいますが、DVD付きの作品は通販サイト等で値引きされやすいので要チェック。

新品でも3,000円未満、場合によっては中古品よりも安く済んだりするので、特典等にこだわりがなければ、こちらで探してみても良いかもしれません。

 

さて、内容ですが、充電期間が良い方向に働き、ダウトとしてやっていきたい音楽性が整理された印象。

これまでの作品に見られた雑多さは薄まり、和メロだったり、レトロなサウンドだったりと、原点回帰的なアプローチが主体となっています。

一方で、新たな試みとして、東洋的と言いますか、エキゾチックなテイストを主要な楽曲に散りばめている。

それを、仏教的な宗教観と絡めて昇華させ、コンセプチュアルなニュアンスも生まれましたね。

 

象徴しているのは、やはり導入SEである「礼拝」から、「曼陀羅A」の流れ。

率直に言って、ここを除いて宗教色が強いパートは見られないのだけれど、あまりに強いインパクトにより、アルバム1枚に影響を及ぼしているのですよ。

サウンドとしてはゴリゴリとラウドに攻めて。

だけど、エスニックなエッセンスを塗すことで、多国籍な雰囲気に。

笑い声から転調し、どっぷりと深みにハマっていく儀式的なパートに移行する構成など、構成にもこだわっていました。

 

もうひとつのリードトラックである「不夜城」は、疾走感のあるヴィジュアルチューン。

軽快なリズムに、シンコペーション多用のギターリフ、流れるようなヴォーカルラインについても、とにかく気持ちが良い。

ともすれば和の要素が薄いのだけれど、歌詞において「曼陀羅A」の世界観との継続性が意識されていて、ここに軸を作ることが出来たのが、その後の展開で活きている気がしました。

 

相変わらず、1曲1曲の個性は強め。

通して聴くと、繋がりがスムースではない部分もなくはない。

その中で、和メロと和楽器風のシンセが優美さを引き立てる「輝夜に満ちて勿忘草」、童謡などからの引用を上手く取り込んだ、お囃子ナンバー「狂喜乱舞」、お経のフレーズからスタートする和風ロック「般若」と、バラエティを広げるうえでの"戻ってくる場所"がしっかり共有されており、結果としてまとまった感がある。

これぞ、コンセプトを置くメリットではないかと。

 

リリースからだいぶ時間が経ち、やや浮いた形になってしまった「閃光花火」、「金魚蜂」も、楽曲単体ではなかなか好みだったり。

ダウトらしさを残したまま、新境地を目指した意欲は感じられます。

ラストの「ドラマチックパレード」が大団円すぎるきらいはあり、ここで宗教的な世界観に戻ってくる工夫があると完璧だったか。

全身全霊、力が入っていることは十分に窺い知ることが出来る1枚です。

 

<過去のダウトに関するレビュー>

心技体

歌舞伎デスコ
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登竜門