先日の攻撃編(*1)に続き今回はMLBと日本野球の守備面の違いについて記したい。野球が他のスポーツと最も違う点は投手の役割が突出して大きいことだろう。アメフトやサッカー等と違ってワールドシリーズも日本シリーズも1試合ではなく4勝先取なのは、投手が試合の勝敗を左右するからだろう。
1.MLBは投手の分業専門化が徹底している
先発投手は立上りが不安定で1,2点取られても6イニング以上投げて自責点3以内なら評価される(*2)が、リリーフ投手は1人目の打者から100%の出力が求められる。MLBでは同じ投手とはいえ先発投手と中継ぎ投手と抑え投手は全く違う役割を担っている別のポジションと見做されている。
昔の日本ではエースと呼ばれる投手は3連戦の初戦を完投し、2戦目や3戦目ではリリーフもした。さすがに現在は日本でも先発投手と抑え投手(クローザー)は専門特化しているが、まだ中継ぎ投手の地位が確立しておらず、先発でも抑えでも結果が出ない投手が中継ぎをしている状況ではないか。
【左:日本シリーズ4連投4連勝の杉浦忠は通算200勝できず】

【右:新人で35勝した権藤博の投手生命はたったの5年間/写真は共に日刊スポーツ】
今年のWBCでの日本敗退の原因は、先発投手が球数制限で交代した後の2番手要員に中継ぎ専門投手を配さず、先発投手を充てて「第二先発」などと称した事だろう。12球団からエース級の「先発投手を中継ぎに充てたのだから豪華だ、贅沢だ」と勘違いしていたことを結果で思い知らされた格好だ。
2.MLBはイニングではなく球数で交代させる
日本ではイニングの区切りで投手交代をしたいので2アウトならあと1アウト取るまでは何とかして続投させようとする。一方、MLBではイニングの先頭打者と対戦したら打たれようが打ち取ろうが交代というシーンが散見される。一定の投球数に達したらイニング途中でも関係なく交代させるのだ。
日本ではリリーフ投手が出番前に何度も肩を作らされる(ウォーミングアップ投球をする)事が普通にあるのだが、MLBではリリーフ投手はブルペンでも出番の直前まで肩を作らない。これは“投手の肩は消耗品”という考え方が徹底しているためにブルペンでの球数も勘案しているからだろう。
3.MLBは投手がクイックモーションをしない
クイックモーションとは、通常の投球フォームとは異なり、走者の盗塁を防ぐために投手が小さい投球フォームで素早く投げることだ。日本では投手なら誰でも走者が出塁すると必ずこの投法で投げるが、MLBでは多くの投手がこのクイックモーションが出来ない、というか、しないのだ。
そうなると当然のことながら盗塁はし易くなる。でもMLBでは盗塁による進塁阻止よりも、投手はしっかり打者に投げて三振等を奪ってアウトにする事を求められる。走者が出たことによって投法を変えて球速やコントロールに影響が出るよりベストな投法で良い球を投げる事を優先するためだろう。
4.MLBは外野ではなく内野のシフトを変える
日本では内野手は(前進守備や併殺シフトなど前後には動くが)左右には余り大きく動かない。一方、MLBの内野手は打者の打球データによって“王シフト”の様に極端に左右にシフトする。従って投手の足元を通過した打球は日本では外野に抜けるがMLBでは大抵二塁手か遊撃手の正面のゴロになる。

【フィリップス(エンゼルス)のホームランキャッチ/写真はAP通信】
逆に、日本では走者の状況によって外野手は守備位置を変えるが、MLBでは外野手は余り動かない。日本では外野に抜ける単打で2塁走者を本塁で刺殺可能な位置まで前に守るのだがMLBでは基本的に単打より長打を想定しているからか、寧ろ塀際でのホームランキャッチ(*3)を狙うのだろう。
以上、2回にわたってMLBと日本野球の違いについて所感を述べたが総じて米国の合理性を痛感する。またピッチクロック導入による時間短縮などは米国プロスポーツ界でMLBがNFLやNBAなど他のプロスポーツと闘っている証左。その点NPBは殿様商法なので今にサッカーに負けるのではないか?
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*1:本件については下記ブログご参照。
・MLBと日本野球の違い(攻撃編) | Saigottimoのブログ
*2:先発投手が6イニング以上投げて自責点3以内ならQS(Quolity Start)、7イニング以上で2点以内ならHQS(High Quolity Start)とされ、先発投手の評価指標となる。
*3:そのままなら本塁打になる打球を捕球すること。
Saigottimo

































