前回1/700モデルの海洋ジオラマが出来た(*1)ので、いよいよ仕上げだ。まず1/350モデル用のケースも百均で見つけて買ってきた。斜めにしてギリギリ入る大きさだし400円(税込440円)するが、これより大きいとビニール製でも千円以上するから有難い。暖色系の色画用紙で台紙も作った。


残るは、キットにはない①甲板周囲の手すり&②マスト等に張る電線、だが①は諦めた。支柱と鎖を別々に作るのは骨だし「艦船モデル用共通エッジ(金属)パーツ」を買って塗装し瞬間接着剤で取り付ければ楽だが高価なので。②は「空中線」とも呼ばれ釣糸でも代用できるが手元には無い

元イラストレータでモデラーでもある岩渕泰冶さん(ds)に相談し、お金がかからない「延ばしランナー」を使うことにした。これはロウソク等で熱したランナー(プラモデルキットの枠)を両手で一気に伸ばして何本も作った。薄灰色なので黒く塗れば電線、塗らねば旗索(信号旗掲揚ロープ)になる(*2)。

  【左:延ばしランナー、中:空中線&碍子、右:旗索】

空中線は(艦船モデル自体も)初めてなので何度も切れては張り直した。箱絵を見ると電線の本数は多いが、ここは最低限の本数にした。また電線同士が接続する部分は碍子を模して接着剤を玉にして白く塗った。実際の旗索はマストから滑車でループ状のロープを吊るが2つ折りでそのまま接着した。


やはり線を貼るだけで艦船モデルは俄然リアリティが増すものだ。最後にウェザリング(風化)手法を駆使して「船体のサビ」と「艦底の潮汚れ」を付けて老朽感を出した。艦船モデルの権威チョートク氏は「ウェザリングというとつい黒くしがちだが艦船はむしろ潮水の影響で白っぽくなる」との事。

とはいえ少し白くし過ぎたが、溶剤で拭くと全部消え白を塗ると真白になって丁度良く白く汚すのは難しい。しかも船体のグレイはラッカー系塗膜で船底の赤茶はアクリル系塗膜なのでウェザリングで使える塗料はエナメル系しかない。あぁ、ケチらずに船底もラッカーにしておけば・・・後の祭りだ。

ともあれ私が構想した駆逐艦“雪風”のイメージはこれで完成した。1/350モデルは「幾多の戦いの末に老朽化して勇退し記念館に展示されている姿」をフルハウで表現し、1/700モデルは「戦時中に大海原を疾駆する雄姿」を海洋ジオラマで表現した。例の写真を動かすアプリ(*3)での動画は下記。


【↑スクリューが攪拌した水泡も動かした】
今回の製作を通じ、昨年プラモデル講座で習ったイマドキの道具の使い方やウェザリング手法など数々の技法が実際に役立った。そしてそれ以上にオオゴシ講師の「プラモデルに正解はない」「観察力と想像力が大切」「失敗しても必ずリカバリ可能」等のアドバイスは大いにためになった(*4)。

また軍艦製作に際しては海軍や艦船の歴史を勉強する機会となった。“奇跡の強運艦“と呼ばれる雪風は大戦を唯一生き残ったが言い換えれば殆どの僚艦を看取ったのだ。史実を知れば知るほど“雪風”は軍国主義に走った“日本の悲劇のシンボル“でありこの模型はそのモニュメントともいえるだろう
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*1:海洋ジオラマの製作については下記ブログご参照。
駆逐艦“雪風”海洋ジオラマ製作 | Saigottimoのブログ
またこれまでの経緯は下記ブログをご参照。
奇跡ノ駆逐艦雪風構想二着手ス | Saigottimoのブログ
駆逐艦“雪風”ノ製作構想決定ス | Saigottimoのブログ
駆逐艦“雪風”組立塗装ヲ完了ス | Saigottimoのブログ
*2:海軍旗(旭日旗)は停泊中は艦首か艦尾に、戦闘中はマストに掲揚するとのこと。
*3無料で利用可能なstoryzというスマホアプリ。SE(効果音)を付けた動画はこちら(容量制限により外部リンク)
*4:プラモデル講座とオオゴシ講師については下記ご参照。
シニア向プラモデル講座発表会 | Saigottimoのブログ
オオゴシトモエ「今日もHOBBY日和」

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