予告が公表されてすぐに、ネット界隈ではザワついていたとのこと。
なにせ「歴史秘話ヒストリア」(以下、「ヒストリア」という)では、平安時代後期の「悪左府」とも言われた藤原頼長をフォーカスしたこともあるので、「すわ!BL回になるのか! 」と話題になっても不思議ではありません。
しかも、声の出演で森川智之さんがクレジットされたものですから、それこそ「帝王」降臨で、最近、攻めてるNHKの面目躍如か、と耳目を集めるのは言うまでもありませんでした。
さて、4月25日(水)22時25分、姿勢を正してリアルタイム視聴しました。
冒頭の、井上あさひアナウンサーによるイントロダクションを見て、「これは予想とは違う展開になりそうだ」と直感しました。
《エピソード1 男と男 900年の物語》では、奈良時代まで遡(さかのぼ)り、大伴家持と大伴池主の歌のやり取りから見える「特別な感情」を推し量るところから始まりました。
そして、やはり登場した「悪左府」藤原頼長。
さらには、戦国武将、伊達政宗の「秘」愛などが語られました。
《エピソード2 ただ 心のままに生きたい「男が子供を出産」の真相》では、体は女性だが心は男性の「竹次郎」の物語がドラマパートで紹介されました。
詳細はネタバレになってしまうので書きませんが、2001年放送の「3年B組金八先生 第6シリーズ」で取り上げられた性同一性障害
(現在は診断の指標となる米国のDMS-Vが日本でも運用されているので「性別違和」というのが正しい。しかし、日本精神医学会では診断名は「性同一性障害」を使用しているとのこと)
に相当するお話が語られました。
他には女と女の物語は事件や事故でもないかぎり、記録されることはなかったということ、異性装についてもほんの少しですが述べられていました。
《エピソード3 "男と男"に秘められた 究極の愛の物語》では、江戸時代のベストセラー作家、井原西鶴の「男色大鏡」について、近年の研究から見えてきた「家制度や経済などに影響されない究極の愛の物語を表現するために、"男と男"の形が取られたのではないか」との解説と、「男色大鏡」のなかからいくつかのエピソードが紹介されていました。
実に「多様な性のあり方」を、率直に、しかし柔らかく取り上げていて、キワモノ的な要素は排除されているように感じました。
NHKはEテレで、教育や医療、福祉など多面的に「性のあり方」をテーマにした番組などを放送していることから鑑みても、ごく自然な内容だったと言って良いのかもしれません。
ネットの反応も、概ね好意的で、特に西鶴のパートで紹介された「純愛」は、現在のBLでの直接的な性表現に慣らされた世代には新鮮だったようです。
「見逃した!」と残念がる声も多かったです。
再放送は、本日(4月28日(土))の、午前10時05分からNHK総合で予定されていますので、見逃した方や、もう一度見たい方は、ご覧になってみてくださいませ ( ^ω^ )