リブログ記事”連歌ー台風にサイフオンふおんふおん哉”
Blogで知り合い、Realでお会いすることはない方々と、連歌(連句)36の歌仙を巻きました。近頃は小林一茶を読むばかりで、それが半年以上も続いているので、特有の即興性が気分転換に好都合且つとても愉快でした。では、「自句自解」台風にサイフオンふおんふおん哉 (1)あき坊この歌仙を始めるきっかけが『不穏』という言葉だったので、遊び心から、気高くあるべき発句に不遜ながら取り込んでみた。子供の頃、台風接近のラヂオ放送が「南大東島940ミリバール」などと「ミリバール」を繰り返すのが怖くて仕方なかった。家族揃って狭い部屋に蠟燭など用意するのも不安にさせてくれたし、やがて風の強まってくる様子は「不穏」でもあった。その閉ざされた空間にじっとしているとき、コーヒーでもとアルコールランプに火を点けると、やがてボコボコと鳴り出し良い香りが溢れてくる。その香りと音とをひっくるめて「ふおん」と擬態語をつかってみた。「擬態語+哉」は一茶の得意技でして。琥珀の滴(しずく)停電の夜 (2) 舞踏くわうくわうと月天心に輝いて (3)あき坊大人になってからだが、台風一過の夜半に「月」を仰げば素晴らしい透明感だった。「天心」というより、南の空の一番高い辺りが正しいかも。漣たてる舟映し出す (4) 舞踏恋かなし滋賀の都に狭霧立つ(5)mjt妊る君と今宵語らん (6) あき坊孝徳帝に嫁いだ妹を含めて百官を難波宮から連れ出し、(勝手に)飛鳥河辺行宮(あすかかわべのかりみや)に戻っていた中大兄皇子は、皇極天皇重祚の斉明天皇の元で実権を握った。斉明天皇は間もなく高齢にもかかわらず、半島への軍事介入のために筑紫朝倉宮に遷幸したが、その地で身罷られた。皇子は何らかの事情でなかなか即位できずにいたが、天智6年にようやく、「滋賀の都」の近江大津宮で、天智天皇として即位した。ちなみに、大友皇子は大化4年648年生まれなので、孝徳帝の難波宮遷都時(白雉2年651年)にはすでに生まれていた。大友皇子(弘文天皇)は壬申の乱(672年)で大海人皇子に敗れたので、この都は5年ほどで廃都となった。持統天皇は大化元年645年のお生まれで、mjtさんがいつだったかblogにお書きだったので、諸々ひっくるめて。でんでん太鼓に笙の笛持たそう (7) 舞踏追い詰められた恋するワンピ(8)mjt手花火の落ちて深まる夜の闇 (9)あき坊 「ワンピ」に共通了解がないので、再びの「恋」やら内容的に見当が付かず、理解の「闇をさ迷った」ので、そのまま句にした。「手花火」は「闇」の対比に持ち出した。沈黙の技データ盗賊 (10)舞踏小魚に命を繋ぐ羆かな (11)mjt知床沖を月の浮きつつ (12) あき坊「羆」から知床を思い、あの事件で沈んだ船や共に飲み込まれた人々を思った。供養に月を水面に「浮かせた」。黒髪に黒百合さして君を待つ (13) 舞踏桜月夜を一人かも寝む (14)あき坊「黒髪」「黒百合」の黒々しい世界から、鮮やかな「桜月夜」へ転じた。だがまだ待つ身の一人寝の暗さは残した。会う人のみな美しき夏木立 (15)mjt白きハツトの眩しく映ゆる (16)舞踏待つ内に夕焼雲の燃え尽きて (17)あき坊「眩しく」見える訳は、まだ孤独の中に居るから。ここを出発点に、「映える」からの「夕映え」に移行し、しかしそれも終わり日暮れて、「あなたは」来ぬまま暗夜へと。一軒残る得意先あり (18)mjtキンキンに冷えたビールのお出迎え (19) 舞踏温泉宿の袖なし羽織 (20)あき坊ようやく叶った恋ならば、いそいそ旅に出るがいい。部屋に整えられた夕食を前に、「キンキン」に冷えたビールを飲むがいい。でもね、酔うほどは飲んじゃダメ。吉田拓郎♪旅の宿 「あゝ風流だなんて ひとつ俳句でもひねって」https://www.uta-net.com/song/458/ふつふつと沸く牡丹鍋芹を足し (21)仝山の出湯とて、猪の熟成肉。陸奥なら芹で根まで美味しい。「足し」としたのは煮すぎないためだが、野生のものなら特にきちんと火を通さないと危ない。連歌連句に於ける季重なりは気にしなくていいが、軽重ははっきりさせる。ここでは「牡丹鍋」が重つまり主で、そこに「足し」とする「芹」が軽、従。お出汁に開く緑鮮やか 舞踏(22)初もののシングルオリジン春近し(23)mjt(23)梅の主の朝のお茶漬 (24)あき坊ミルをゴリゴリやりながらのお楽しみの朝の風景に、米飯大好き(でも小食)の「梅の主」は今朝のお茶漬けを添えてみた。なにしろ「チン飯」が嫌いで、冷たいままか江戸文化の茶漬けが好みなのだ。「梅干し」は減塩生活のために遠ざけているけど。鶯の声しきりなり梢揺れ (25) 舞踏揺るる思ひをとどめざらまし (26)mjt指に触れ肩に触れなむ憂き人よ (27)あき坊 「ざらまし」とアンダースローが来たので、「なむ」とセーフティバントを試みた。「なむ」は完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」+推量助動詞「む」で、事態の実現を強く推量しているワケだ。意志でもある。「憂き人」は「つれない人」。“After midnight , touch my shoulder” と歌うオールディーズがあったように思うけど、曲名が出てこない…夕顔の咲く某の院(なにがしのいん) (28) 舞踏月影は雲間にかこち顔をして (29)mjt仲睦まじき人と鰭酒 (30)あき坊「かこちがほ」の主は「月影」、ならば親密な方と鰭酒を飲んだ。湯豆腐のゆるりと沸く音、柚の香、そして差し向かいの笑顔。帰る客の靴音、夜の香、硝子越の街の灯。ほどよく時間が過ぎ、親しみが増す頃、勘定はPayPayで。器干し薫りの中に笑み二つ (31)舞踏高嶺はるかに龍登り来る (32)mjt花筵ぬかるむほどに色の褪せ (33)あき坊「飯田蛇笏さんの 花筵ぬかるむほどに色の汗 のオマージュだ」とのご意見を後から伺いましたが、まったく存じません。仮にそのような句があったとしても、「汗」を「褪せ」に置き換えるだけのチープな遊びはいたしません。忘れさられた赤き簪 (34)舞踏グレイビーソースをカンザスビフテック (35)あき坊長句17文字を短句14文字のように、二つの部分で作ってみた。「簪」「かんざし」から「かんざす」「カンザス」と語尾変化させた。「かんざし」は「かみさし」の撥音便で、元来は「額の上の髪の生え様」や「髪かたち」「髪そのもの」を指す言葉で、「簪」は衣冠束帯の時に、冠が落ちないように「巾子こじ」の元に刺した道具。やがて婦人が髪に使い、櫛のようになった。「かんざさ」ない、「かんざし」て、「かんざす。」、「かんざす」とき、「かんざせ」ば、「かんざせ」よ、と四段活用する、かどうかは知らないが、「カンザス」からの「牛肉」、BBQソースをドバってのもいいけどたまにはイギリス風に、おしゃれに。フランス料理なら「ソースペリグー」と行きたいところだったが、「カンザス」なので遠慮した。旨さを知って食むは新米 (36)舞踏以上、自由連句ならこの程度で十分。定座には拘らないけど、なんとなく「月」「花」「恋」そして「雑」と、「連衆れんじゅ」の技量も上がってきたかも。