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今日は、ちょっと前にTwitterでめちゃめちゃバズっていた「見るからに怪しい除菌剤」についてのツイートを見かけまして
「良かったら分析してみましょうか?」
とお声がけをしたのがはじまりです。
もしかしてアルカリ電解水(水のゲキ落ちくんと同じようなもの)の可能性があるかもしれないのですが、pHを計測してみてはいかがでしょうか?🤔強アルカリ性だと手肌の使用はまずできませんし、一応ウイルスとかは殺せますが使い方によってはただの水より厄介です…!https://t.co/OI83QLL8ta
— かずのすけ (@kazunosuke13) 2020年5月10日
そういうわけで買ってみました。
「ピエラス除菌消臭スプレー」
という製品なのですが
Amazonで購入しました。1178円でした。(^^)v
ちなみにツイート主さんはこのアイテムを以下の成分表から「ただの水」と推測されたのですが、
僕は「もしかしたらただの水とは言い切れないかも」と感じました。
確かにこの書き方だとミネラルウォーターみたいなものですからね。
ただの水と思っても仕方がないと思います。
しかし、このブログでも長年検証実験を色々やってきましたが、
こういった除菌スプレーみたいな商品は
それはそれは悪質なメーカーが多くてですね、
成分表示なんて有って無いようなものなんです。
そもそもこういった「家庭用品(?)」のようなものって、
医薬品や化粧品のような全成分の表示義務はなく、
幾つかの成分の書き方が決められているだけで
成分を厳密に表示するかどうかはメーカーに委ねられています。
ちなみに僕は最初は「アルカリ電解水」もしくは、昨日解説した「次亜塩素酸水」かな…?(有力なのは前者?)と思いました。
▶「水だけ」なのに汚れが落ちる?不思議の水【アルカリ電解水】の真相に迫る
アルカリ電解水であれば水酸化Naみたいな成分だってミネラル複合成分と書こうと思えば書けますし、pH調整剤とも書けますしね。
次亜塩素酸Naもやろうと思えばミネラル複合成分といえないこともないですから…。。苦笑
酸性のpH調整剤加えれば次亜塩素酸水になりますよね。
そのへんは色々判別方法があるので、購入すればすぐに正体がわかると思っていました。
…しかし、
最初にお伝えしておきますが、実はこの商品…
「ただの水」でもなければ、
「アルカリ電解水」でもなく、
「次亜塩素酸水」でもありませんでした。
そのように判断した道中なども含め、詳細にご説明していきたいと思います。
◎「ピエラス除菌消臭スプレー」について
というわけでまずは、この商品をじっくり眺めてみようではありませんか。
外側のパッケージはこんな感じです。
「99.9%除菌スプレー」
「ウイルス・菌を除去」
なんてね、全面にデカデカと書いてありますね。
これ、今の時代にはめちゃめちゃ売れそうなキャッチフレーズなわけですが、
このブログでは何度も説明しておりますように
【除菌】という言葉は、菌を殺したりウイルスを失活させる効果を意味していません。
あくまで「拭き取って除去する」という意味なんですよね。
だからエタノールとか、そういう本来の消毒剤に書いてある「殺菌」とか「消毒」とは全く別の意味なんです。
ちなみに「除菌」とはあくまで「物の除菌」にのみ許される言葉で、人の手指などには該当しません。
人の手指を拭く場合は、化粧品や医薬部外品にしなければならないので
こういった家庭用品としては販売できません。
実際には、「99.9%除菌」程度の表示ならば、
水道水とかでも頑張れば表示できると思います。
除菌表示には殺菌とか消毒のような厳密なルールがないので、今この常識を知っておかないと、大変な損をすることになると思います。
僕からすると「99.9%除菌」とは、何の意味も持たない言葉と言っても過言ではありません。
他にも見るからに胡散臭いポイントがたくさんあって、、
まずこちら、「韓国産業技術賞」というのを受賞しているそうです。
(聞いたこと無いなぁ…^_^ )
しかもこれよく見たら「カンコク製」らしい。。
…まぁ、別にいいんですよ。韓国製でも。
化粧品だと良い韓国コスメたくさんありますもんね。うんうん。
そしてこの「たくさん試験実施済」…。
う~ん、、、これ、どうなんですかね。
みんな「~試験実施済」って聞くとどう思うんでしょう。
「皮膚刺激性試験実施済」=「皮膚刺激は低い」 と勝手に思ってしまいますか?
コレ間違いですよ。
あくまで「試験を実施した」としか言っていないわけで、
試験をしたからと言ってウイルスに効くとは言っていないし、消臭効果があるとは言っていないし、
安全とは言っていないし、皮膚刺激は低いとも言っていません。
その他はこんな感じです。
では実際に検証をしていきますね!
◎「アルカリ電解水説」の検証
最初は、僕が予想した「アルカリ電解水説」の検証です。
これ、結構自信があったんですけど、見事に外れました(^^;)
アルカリ電解水かどうかの判断はめちゃくちゃ簡単で、
少なくとも「アルカリ性」じゃなければ違います。
なのでpH試験紙でシュッとやって青くならなければ非該当です。
ご覧の通り、青くならなかったのでアルカリ電解水の線は消えました。
ただ、一つ特殊なことが分かりました。
この商品、どうやらpHが弱酸性になっているようなんですよね。
弱酸性となると、もしかしたら…?
◎「次亜塩素酸水説」の検証
市場流通している次亜塩素酸水はpHが5~6くらいの弱酸性のものが多いです。
実際にもっと詳しくpHを計測してみると、このくらいのpHでした。
pH=5.2なのでここだけみると十分次亜塩素酸水の可能性はあります。
しかし、この時点であることに気がついていました。
「塩素のニオイが全くしない」
ということです。
次亜塩素酸水は次亜塩素酸が溶けている水ですが、平衡反応で少しずつ気体の塩素が生じます。
こういった単純なスプレータイプの容器ならば、シュッとすれば必ず塩素のニオイを感じるはずです。
それがまったくないのです。
実際に、以下のような試験紙を使って【遊離残留塩素】というのを調べてみました。
3つの試験紙がくっついていて色々調べられて便利です。
(↑試験紙に試料水を染み込ませてみました)
遊離残留塩素は↓この一番上の試験紙が該当していて、
色がピンク色になるほど塩素を含んでいます。
水道水程度でもピンク色になりますし、次亜塩素酸水はそれに比べるとかなり高濃度の塩素が含まれていますから、次亜塩素酸水であればすぐに色の変化で判断できます。
しかし、結果はご覧の通り。
塩素は全く含まれていないので、次亜塩素酸水の線も消えました。
ただ、これもまた特殊なことが分かりました。
資料水中のアルカリの総量を表す「Mアルカリ度」が妙に高く出ているんですよね。
(説明が難しいですが、アルカリ性が高いという意味合いではありません)
pHが弱酸性になっていることもそうだし、Mアルカリ度が出ていることもそうなんですけど、
少なくとも「何かは入っている」ことは分かります(^^;)
ここから推定するにすでに【ただの水】とは言えそうにないんですよね。
◎透明の容器に移すと…「ただの水」ではないことは確実
そして、これ…確定的なのがこの除菌スプレーの「色」です。
着色されたスプレーボトルに入っていたため気づきませんでしたが、
透明の容器に移すとこんな特殊な色をしていたんですね。。
うすーい青い色をしていますね。
こう見ると結構キレイですね。(そんな呑気なこと言ってる場合ではない)
しかしこれ…この時点で大体予想が付いちゃったんですけど…;;
「無機化学」をちょっと齧っていれば、なんとなく予想できます…。
とりあえず
TDS(総溶解固形物)メーターを使って、
資料水中に溶けている無機物質の量を計測してみたところ
1Lあたり、1.21g(約0.1%?)程度何かが溶けていることが分かります。
ちなみにこの数字はあくまで目安的なものなので、実際どのくらい溶けているかはわかりませんが、
目で見ても明らかになんか溶けているのは確実かと思います。
◎謎の除菌スプレーの正体は『銅イオン水』の可能性大!
ではこれは何か???
…という話なんですけど…、、、
水溶液の色から察するに、おそらく「銅(どう)イオン」ですよね。
金属の「銅(Cu)」のイオンは、水に溶かすと青い色になることは無機化学では常識です。
(▶http://sekatsu-kagaku.sub.jp/transition-elements2.htmより引用)
銅って水に溶かすと結構キレイなんですよね。
(金属そのままでは溶けないので、硫酸などの強酸で溶かして「硫酸銅」などの形にして水に溶解させます)
そしてこの銅イオンの有名な検出反応といえば、
「アルカリ性にすると青白色の沈殿を生じる」
っていうやつです。
これをやってみましょう。
「炭酸ナトリウム」を純水に溶かしてpH=11.3のアルカリ性の溶液を作りました。
そして試験管に移した謎の除菌スプレーにこの溶液を加えてみます。
動画を撮ってみたのでぜひ見てみて下さい!
というわけで予想通り、青白色の沈殿が生じましたね。
動画ではほとんど真っ白に見えますが、写真でよく見ると青っぽくなっています。
というわけでほぼ確定だと思います。
本当は炎色反応とかも見たかったですが、0.1%濃度とかでは満足に色の変化が見えないので…。
ちなみにこれはあくまで僕の個人的な予想ですが、
入っているのは「硫酸銅」の可能性が最も高いと思います。
硫酸銅は工業的な薬品の殺菌剤や防腐剤に利用されていますし、
硫酸銅は5%でpHが3.5くらいになるらしいのでそこそこの酸性物質です。
◎「無機銅塩」は【劇物】…!?蓄積での皮膚刺激やミストの吸入による毒性の懸念も…。。
というわけで、
おそらくこいつは何らかの銅イオンの塩(おそらく硫酸銅)を溶かした水溶液であることが分かりました。
ふーん、つまりただの水ではないしアルカリ電解水でもないし次亜塩素酸水でもないと。
ちなみに僕の経験上このような製品ははじめて見ました。
ではこの成分って実際に菌とかウイルスには効くんでしょうか?
…まぁ多分それなりに効くんじゃないかなと思います。
↓こういうサイトもありますしね。
あと、つい先日に多分おんなじ成分で国産の銅イオン水も出てたみたいですよ…。
▶ストップコロナ!新型コロナウイルス感染拡大を予防する銅イオン水「AirAtom(エアアトム)」を開発、販売を開始
(ウイルスの失活には6時間とか4時間とかかかるみたいですけど…。)
まぁ、多少の殺菌力とか抗ウイルス効果はあって当然だと思います。
だって銅イオンって【劇物】ですし…(^^;)
一応わかりやすい「硫酸銅」の説明を引用しましたが、
「無機銅塩」といって
銅イオンの化合物はすべて「劇物(医薬用外劇物)」に指定されています。
ちなみに単体金属の「銅」と、「銅イオン(銅塩)」は全く別物で、
銅を強酸などで強制的にイオン化したものが無機銅塩です。
あと「真鍮(しんちゅう)」などに含まれる合金の銅は、比較的安定なので特に危険性はありません。
銅イオンに限らず、重金属のイオンというのは基本的に有害です。
銅イオンはタンパク質とも強く結合して変質させる性質があり、
当然人間の皮膚や粘膜とも反応するため、刺激や毒性が強いとされています。
目や呼吸器、内臓系、さらに生殖能や胎児への悪影響の恐れも指摘されています。
その他そうそうたる毒性の数々が安全性データシートを読んでいると分かります。
◎「正体不明・安全性不明の除菌剤」がどんどん増えています
次亜塩素酸とかもそうですが、
ウイルスや菌を失活させる薬というのはつまり「毒」です。
人間はある程度身体が大きいから多少の刺激程度で済むというだけで、
そういった薬品は量がすぎれば毒そのものです。
その中でも、例えば
「時間が経つと揮発したり分解して消える」などの特性をもつ、
毒は毒だけど安全性が比較的高い物質が、
(次亜塩素酸やエタノール、オキシドールなど)
様々な安全性研究の末に身近な消毒剤や殺菌剤などとして利用されているわけです。
じゃあこの「銅イオン」はどうなんでしょうか。
確かに菌やウイルスへの効果があるかもしれません。
(水溶性塩なので多分エンベロープウイルスにはほとんど効かないですが…)
TDSメーターの数値を信頼したとすれば0.1%程度の濃度の溶液です。
あまり詳しくないですが、この濃度だと劇物にはならないのかもしれません。
でも重金属ですから当然揮発はしないし分解もしません。
下手をすればその場に残り続けて蓄積して、
皮膚を刺激する濃度に達するかもしれませんし、
スプレーとして噴霧した場合は、その「吸入」による呼吸器への悪影響も懸念されます。
(最近はなぜかこういうものを空中に巻き散らかしたい人が多いですから)
そんなものをそのへんに適当にシュッシュして本当に大丈夫なんですか?
人によってはわけも分からず手指に使う人もいるんじゃないですか?
少なくともこれまで家庭で使用されてきた物質ではないですし、
人体への安全性や環境負荷、ペットなどへのリスクについても全く予測が付きません。
そもそも入っているものが実際には何なのか?それもわかりません。
銅イオンである可能性は非常に高いですが、
あくまで予想でしかないので何とも言えません。
次亜塩素酸Naなどと同じように
「危険なもの」と予め分かっていればそれ相応の使い方が出来ますが、
それも何か分からなければ対策のしようもありません…。。
少なくとも僕は、何が入っているかも分からない謎のカンコク製の水をそこら中に振り撒くのは遠慮したいなと思います…。
正直こんなのだったら安全であることが確実な「ただの水」の方がまだマシだと思います。
というわけで、昨今このように
「中身が何なのかも良く分からない謎の除菌アイテム」
みたいなものがかなり流通しています。
絶対に忘れないで頂きたいこととして、
販売されている商品がすべて良質なものとは限らないし、
表示されている文言がすべて本当のこととも限りません。
相当の知識を持つ専門家でも成分の断定は不可能です。
非常に危険で悪質な製品が紛れていることもあると思います。
僕にしてみればこんな見るからに怪しい商品は絶対買わないですが、
人によっては騙されてしまう人もいるでしょう。
「何が入っているのか分からないもの」は、もしかしたらとても危険なものの可能性があります。
信頼性の高い大企業などは相応の安全性研究の末にこういった製品は商品化していますが
そうではないメーカーもたくさんあるのです。
こういった緊急事態だからこそ、
信用のおけない商品や聞いたことのないメーカーのものには極力手を出さないように、
皆さんはくれぐれもご注意くださいね。
では本日は以上です!
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