2012年頃のジョンマスシャンプーを簡易的に分析してみた(その2) | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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前回の記事はこちら!↓

【ジョンマス返金へ】 2012年頃のジョンマスシャンプーを簡易的に分析してみた(その1)


さてさて、続きになります(^_^)b

 

 

 

前回の記事では2012年頃のジョンマスさんの現品とサンプルを入手できたので、

 

これを現行品の物と比較してみよう!!結果やいかに?!

 

ってこところまでお話しました。

 

 

その2は実験&結果編です\(^o^)/

 

 

 

最初に実験の結果がどうなるとどういうことが分かるかを軽くまとめておきますね。

 

 

「電気伝導率」というものを計測した結果が、

 

  • 全然違う数値になれば、2012~2016の間のどこかで成分がガラッと変更されていた
  • ほとんど同じ数値が出れば、成分の誤表記は少なくとも2012から続いていた

 

ということになります!!

 

 

 

では早速やっていきましょう!!




◎まず「電気伝導率」のおさらい


実験の前に、

 

なぜ「電気伝導率」を計測すればその成分の推測ができるのか?

 

これを簡単に説明しておきます!

 

 

 

 

「電気伝導率」とは、

 

その名の通り「電気の通しやすさ」を表した数値です。

 


電気伝導率とは


「電気伝導率計」というもので計れます。

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これは簡易的な機械ですが、今回の実験なら十分な数値が出せます。




「水」はなんとなく電気を通しやすいイメージがありますが、

 

本当はそんなに電気を通しやすい液体ではありません。

(むしろ完全な純水はほぼ電導性を持ちません)

 

 

水が電気を通すには、

 

水に「電気を通しやすい成分」を溶かす必要があります。

 

 

例えば『塩(塩化ナトリウム)』など。

 

 

これを専門的に「イオン性物質」と言います。

 

 

 

僕がセミナーをするときにはいつも

 

「イオンと聞いたら静電気と思ってね」

 

という話をするんですけど、イオン性物質は水中で静電気を帯びたり与えたりする性質があるので、

 

「イオン性物質」=「電気を通しやすい物質」

 

というぼやっとしたイメージを持って頂けるといいと思います。

 

 

 

 

そして、化粧品成分の中でも特に電気伝導性を左右する成分があります。

 

 

それが「界面活性剤」です。

 

 

 

界面活性剤には

 

  1. 陰イオン界面活性剤
  2. 陽イオン界面活性剤
  3. 両性イオン界面活性剤
  4. 非イオン界面活性剤

 

の4パターンがあり、

 

特に「陰イオン系」と「陽イオン系」は電気伝導性の強い成分です。

 

逆に、

 

「両性イオン系」や「非イオン系」はほとんど電気伝導性を持たないか、かなり弱い成分です。

 

 

 

 

このため、電気伝導率を計測してその数値を比較すれば、

 

より数値の高い(電気伝導性が高い)方が、

 

陰イオン系とか陽イオン系などの性質を強く持っているということになります。

(洗剤の場合は陰イオン性が強いです)

 

 

そしてより数値が低ければ、非イオン系とか両性イオン系の性質が強いということになるわけです。

 

 

 

 

今回の場合、成分誤表記発覚以前と以降の成分表がこちらです。

 

 

【元々の成分】の場合、主成分が

 

・「パバスアミドプロピルベタイン」→両性イオン界面活性剤

・「デシルグルコシド」→非イオン界面活性剤

・「ココアンホジ酢酸2Na」→両性イオン界面活性剤

 

なので、電気伝導性が高い陰イオン界面活性剤が一種類も入っておらず、

 

この成分通りだとすれば電気伝導率はあまり高い数値にはならないはずです。

 

 

 

逆に【改訂後の成分】の場合、主成分は

 

・コカミドプロピルベタイン→両性イオン界面活性剤

オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na→陰イオン界面活性剤

・デシルグルコシド→非イオン界面活性剤

 

となっており、陰イオン界面活性剤が主成分に入っているため、

 

電気伝導率も高くなる可能性が非常に高いです。





このようなメカニズムでシャンプーの成分を推測できるわけですね!


お分かり頂けるように、成分名などを完璧に当てることはできないので

 

あくまで「推測」ということになります…(;^o^)ゞ

 

 

完全把握はできないということは悪しからず予めご了承くださいませ。





◎実験をはじめましょう!


というわけで実験に移ります!!

 

資料水は「精製水」で各シャンプーを1/3濃度に希釈して作ります。

 

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「マイクロピペット」という精密な容量を量れるピペットでやります↓。

 

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ただ、シャンプーが結構どろっとしていたので濃度を完全にびた一文ずらさず均一化がかなり難しく…

(電子天秤で重量で合わせれば良かったな~と後で後悔;)

 

微妙に濃度がずれてると思うのですが、

 

まぁ今回の実験は簡易的なものなので大体の数値が出せれば十分と判断しました(^^;)

 

 


というわけで色々めんどくさいところは端折って、

 

こちらが現行品ジョンマスイブニングPシャンプーの伝導率。

 

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「11.3 mS/cm」です。(mS→ミリジーメンスと読みます)

 

これは陰イオン系の「オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na」を含むので、高めの数値です。

 

 

 

 

次に、2012年ごろの…

 

 

 

と行きたいところなのですが

 

まずは「非イオン界面活性剤」主成分の洗剤の伝導率がどのくらいなのか?

 

っていうのを例として示すために、

 

 

↓これを計ってみます!\(^o^)/笑

 

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エマールは非イオン界面活性剤の「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」を主成分にしているので、

 



非イオン系洗剤っぽい数値を出せます。

 

それが↓こちら。

 

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「1.39 mS/cm」という感じで、

 

つまりオレフィン主成分のイブニングP現行品の1/10くらいの電導性しかありません。



2012年ごろのイブニングPシャンプーの主成分は「デシルグルコシド」という非イオン系です。

 

両性イオン系も二種類入っているのでこれより多少は数値が高い可能性はありますが、


少なくとも5mS/cm以下とかじゃないと辻褄は合いそうにないですね(^^;)





というわけでいざ!

 

まず2012年くらいのトライアルセットのイブニングPシャンプー。

 

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「12.2 mS/cm」



…う、うん。。

 

 

 

つ、つぎはアメリカ版のサンプル!

 

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「11.2 mS/cm」

 

 

 

・・・・・

 

 

やっぱり、

 

 

ほとんど同じですね!!\(;^o^)/

 

 

 

まぁ1くらいの差は濃度の微妙の違いによる誤差と判断できますので、

 

 

ということは

 

 

【結論】

 

ジョンマスさんの成分誤表記は少なくとも2012年くらいから続いていた。

 

 

 

 

という可能性が非常に高いことが明らかになりました~(*゜▽゜ノノ゛☆

 

(まぁはじめからそうだと思ってましたけどね…。。)

 

 

 

 

◎市販のオーガニック系シャンプーと比較してみたら…。。

 

 

 

しかもこの数値はですね、

 

実は結構不思議なんですよね…。。

 

 

と思ってもう少し別の実験をしてみました。

 

 

 

実は手元に市販のオーガニックっぽい系のシャンプーを持ってたので、

 

それとも比較してみたんです。

 

 

 

使ったのは同じく「オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na」を主成分にしている

 

「ローズオブヘブン」

 

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と、

 

 

あのよく嫌われがちの陰イオン界面活性剤、「ラウレス硫酸Na」を主成分にしている

 

「モイストダイアン」

 

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も計ってみました。

 

 

 

結果は↓こちら。

 

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同じオレフィン(C14-C16)スルホン酸Naを使っているはずのローズオブヘブンでも

 

数値は「7.2 mS/cm」

 

ラウレス硫酸Naベースのモイストダイアンは「5.4 mS/cm」です。

 

 

 

 

全部並べるとこう↓

 

 

 

イブニングPシャンプー、数値が大きすぎません??

 

 

 

 

実は電気伝導率が高いっていうのは、

 

「電気を流しやすい=イオン性界面活性剤の濃度が高い」

 

っていう意味にもなります。

 

 

あとは「静電気を与えやすい」という意味でもあり、

 

陰イオン界面活性剤の皮膚刺激はこの静電気の与えやすさに比例する傾向もあります。

(もちろん一概にこれだけで判断はできませんが)

 

 

 

同じ成分でも濃度が薄まればその分静電気も与えにくくなるので、刺激も緩和されるというわけ。

 

 

 

この数値だと同じオレフィン系と比較しても妙に数値が高くなってるので、

 

もしかしたら妙に濃度が高いのかなぁと推測できます。

 

(本来高電導性のラウレス硫酸系がかなり低くなってるのは、多分このシャンプーはオイルを多めに配合しているからだと思います)

 

 

 

しかしオレフィンが入っているとはいえ、

 

ジョンマスさんのシャンプーは一番配合が多い主成分が一応「コカミドプロピルベタイン」という両性イオン系になっているはずですから

 

本当はもうちょっと低くてもおかしくないように思いますけどね…;;;

(一般には両性イオン界面活性剤は一緒に入れた成分の電気伝導性を下げる特性があります。)

 

 

本当に両性系がベースなの…かな…?

 

 

色々謎は深まりますね…。笑

 

 

 

 

まぁつまり今回の結果だけ見て言うならば、

 

市販の1000円くらいのオーガニック的なシャンプーの方が

 

むしろ肌に優しいし静電気とかも与えにくいよ

 

ってことなんです(苦笑)

 

 

(まぁ僕だったらラウレス硫酸Naもオレフィンスルホン酸Naも主成分の時点で購入は控えますが…)

 

 

 

もちろん、念を押しますが

 

電気伝導率だけで刺激性の判断は完璧にはできませんので一概には言えません。

 

 

 

 

でもそういう可能性を示唆する結果が出たことは事実です。

 




◎ジョンマス騒動の今後について



少なくとも今回の結果から言えることは、

 

回収対象期間が2016年からっていうのはおかしいんじゃないかということですよね。

 

 

これまで何年も取り扱っていたヘアサロンとかもあると思うし、

 

そういう意味でもなんだかもやっと感を感じてしまいます。


今回の対応についても、僕はこのタイミングで今更返金に応じたことは全く評価してません。

 

多分、ある程度の交換が終わったから返金額も少なく済むであろうという目算の元

 

こんなに時間が経って返金を受けるようにしたのではないかと僕は思います。

 

というかそう疑わざるを得ないような対応の仕方です…。

 

 

あと今続々製品が在庫限りで終売になっているみたいで、

 

成分微妙だから今後売り続けるつもりはないけど在庫だけ出しちゃおう感が凄いですよね。

 

 

会社の言い分的には「外注の工場が勝手にやった」みたいなこと言ってますけど、

 

そんなことやったら工場を訴えて損害賠償請求するのが普通だし、

 

まともな工場なら在庫は全部工場負担で買い戻してくれるはずでしょう。

 

少なくとも僕だったら即そんな変な工場変えますけどね…。。

 

(あと米JMO社が云々言ってますが、今のジョンマスの本社は日本ですよね…?)

 

 

 

 

こんなやり方してたら絶対消費者離れてくと思うんですけど…。。

 

 

もしジョンマスさんが今後生き残れるとしたら、

 

今問題のある商品を全部一気に販売中止にして、

 

元の表示に近しい製品をちゃんと作り直すことです。

 

 

 

逆に今回こんなぐだぐだやったおかげで企業イメージがすこぶる落ちてしまって、

 

はじめからスパッと上のような対応を取れていたら消費者のイメージももっと良かったはずなんですけどね。

 

 

経営陣のやることなすことがもう悪手ばっかりで…。

 

 

そういうのがなんだか残念でしたよね。

 

 

 

 

まぁそんな感じで、

 

とりあえず僕の言い分はこんなところです(;^_^A





ちなみに一応念押しですが、

 

今回の実験はあくまで「こういう可能性が高まった」というだけの話なので

 

これで過去の製品と今の製品が全く同じだったことの完璧な証明にはなりません。。

 

 

ですので、

 

今回の結果だけで過去購入分全ての返金を求めても間違いなくお断りされることと思いますm(_ _;)m

 

そこまではさすがに力及ばずで申し訳ございませんが…。。


何卒ご理解ご了承頂ければ幸いです。







というわけで以上!

 

ジョンマスシャンプーの実験結果でした(*^_^*)ゞ


 

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