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先日、化粧品原料として「フラーレン」という成分を開発・販売している
【ビタミンC60バイオリサーチ株式会社】さんにご招待を頂きお邪魔してきました!
入り口ではバイオリサーチさんのオリジナルキャラ「ふらじぃ」と「ふら坊」がお出迎えです(^o^)
ちなみにこの銀色のサッカーボールがフラーレンの構造骨格を表しています。
ところで、なぜ今回フラーレンの原料会社さんにご招待を頂けたのかと申しますと、
大分前に▶「フラーレン商法」に辟易。。という記事を書きまして、
「最近フラーレンを配合した化粧品の変な売り方が流行っていて消費者にも変な誤解が発生しているから困ったもんだ」…的な話をしてたんです(^_^;)
まぁあくまで「ぼやき」なんで僕の勝手な感想にすぎない話なのですがよければ参考に読んで見て下さい。
一応の「フラーレン」の効能などもざっと書き記しています。
この記事で結構強めに「ぶっちゃけフラーレンの効果って疑わしいよね(´・ω・`)」っていう話をしてたものですので…(苦笑)
最近多いですが原料会社さんから「ぜひご説明をば。。」ということでご招待を賜った形です。
実際事務所に伺いましたら、フラーレン配合商品を変な風に扱う怪しげな販社(苦笑)とは打って変わってかなり真面目に原料開発に取り組まれている原料会社さんでしたね(^_^;)
(まぁどんな商品に関しても原料会社は原料作っているだけなのでおかしな方向に商品が売られていくのはそれを変に利用する販社に問題があるのだろうなぁとは思いますが…;)
それで、普通は聞けないフラーレンについてのお話とか資料とかも頂いたので、
この、謎に包まれた『フラーレン』という成分について…
どういうものなのかというのを大まかにまとめていきたいと思います。
◎『フラーレン』って何?
フラーレンとは先述の記事▶「フラーレン商法」に辟易。。にも一応特性については軽くまとめております。
詳細をこちらの記事の中腹辺をご覧頂けると嬉しいですが、
ざっくりまとめると以下のような性質特性を持った成分です。
- サッカーボール状に炭素のみが60個繋がった球形の炭素化物
- 周囲の化学反応を媒介して促進する効果を持つ(触媒作用)
- 反応性に富み様々な化学反応を受け持つ特性を持つ
- 特に周囲の活性酸素を優先的に失活させるため抗酸化作用が高い
- 物質そのものは非常に安定性が高い
ということで一般的には「非常に強力な抗酸化剤」というイメージがありますし、
理論上フラーレンの抗酸化力は確かなものです。
前回の記事でも取り上げて、「ビタミンCの○○倍の抗酸化力!」という話があり、
バイオリサーチさんの公式パンフレットでは『250倍』という風に書いてあります。
ただ前回の記事にも書いたように、
そもそもビタミンCの場合は「還元性」という攻めの効果による抗酸化作用であり、
フラーレンのように「酸化を受け取る」守りの効果とは効果のメカニズムが厳密には異なっているため
その効果をそもそも直接比較するということは出来ないものというのはバイオリサーチさんもおっしゃっていました。
つまり試験のやり方によっては結果が逆転することもあるということです。
(まぁ科学の世界ではよくある話ですが…。パンフレットにも『実験系によっては』とあります。)
もし還元性の効果が250倍もあったとしたらそりゃあヤバイよね…;というのは前回記事でも書いた通りです。
ちなみに上記の結果はあくまで他の人がやった結果を引用しているだけらしく、
実際には「ビタミンCの○○倍」とかっていうのはあまり意味がない比較だと僕は思います(^_^;)
まぁやり方によってはビタミンCの250倍の抗酸化力を発揮するのは事実ですが、
直接比較という意味ではこの結果は結構微妙なのであくまで参考程度に考えましょう。
とりあえず「強い抗酸化作用があるあるんだな」という程度の理解で良いと思います。
◎「抗酸化力」のもたらす効能
それでこういった『抗酸化力』のある成分がもたらす効能というとどういうものがあるかというと、
- 皮膚の酸化によるトラブルへの耐性(シミ・日焼け・肌荒れなど)
ということになりますね。
人間の皮膚って紫外線や摩擦刺激などの外部ダメージを受けると、
「活性酸素」というものを作り出す性質があります。
人の肌はちょっとおバカなところがあって、
「ダメージ=菌類の侵食」という風に思ってしまうらしく
とにかく『殺菌』して場を納めようと強力な殺菌効果のある活性酸素を生成してこの撃退にあたります。
しかし別に雑菌が居ない場合それが逆に皮膚の細胞を攻撃してしまうため周囲の皮膚が炎症を起こしたり肌が荒れたりしてしまうのです。
ニキビで幹部の周囲が赤くを炎症を起こすのはそのため。
フラーレンはこの活性酸素を失活させるため、単なる皮膚表面の酸化抑制だけでなく肌の炎症などを抑制する効果も期待されています。
ところでフラーレンを指す『ラジカルスポンジ』という言葉は
活性酸素(通称ラジカル)をスポンジのように吸収するこのフラーレンの特性を指して、
最初にこの性質を発見した化学者が論文にこのように題したのを由来としているのだそう。
ちなみに還元性抗酸化物質の『ビタミンC』がニキビに効くと言われるのはこの理由からですが、
これはフラーレンも同じことが言えるということになります。
ただビタミンCとフラーレンの違うところは、
ビタミンCはそれそのものをそこに置いておくだけでも還元性を発揮してしまうある意味デメリットがあるのに対して、
フラーレンは何もなければ何も起こさない、何も起こらない・・・という堅実性があるというところでしょうか(^_^;)
これはこうやって聞くとメリットかもしれませんが
逆に言うと「発揮される効力が弱い」ということでもあるため、
ビタミンCのように『美白有効成分』などとして登録されることはまず難しいんじゃないか?
という風にも思います。
これ以外にも活性酸素によって引き起こされる細胞死を予防したり、紫外線による酸化も抑制できるというデータもあります。
◎フラーレンの安全性について
さて、ここまでフラーレンの素晴らしい特性について色々お話してきましたが、
この成分、実際にはどのくらい安全なのか?というのが1番気になるところだと思います。
これについてはかずのすけ的な感想としてはっきり申し上げると、
「高濃度にするのはやっぱり怖いな」
というのが本音の印象です。
いえ、確かにフラーレンというのはそれそのものは全く無刺激で非常に安全な物質なんです。
どうでしょう、ヤバイくらい刺激性なしでしょう?笑
そりゃそうですよね(^_^;)だってただの炭素の塊だもん…苦笑
フラーレンって名前はカッコいいですが、
身近なもので言うと何の仲間かというと『炭』です。
↓これが証拠です。
どうぞ御覧ください。これが「フラーレン」単体の写真です。
この通りフラーレン100%は誰がどう見てもただの「炭」です。笑
フラーレンが真っ黒ってこと知らない方は結構多かったと思いますが…(;^_^A
(僕も多分そうだろうなとは思っていましたが実物見たらやっぱりびっくりしました;)
そしてこのフラーレンを0.03%溶かしたのがこの原料。
バイオリサーチさんの最も人気の原料「ラジカルスポンジ」ですね。
0.03%でもこれだけ黒くなります。
(つまり「フラーレン高濃度配合」ならば少なくともちょっとは黒くないとおかしいっていう話にもなりますよね…;苦笑)
まぁただの炭が皮膚に刺激にはならないのは当然なんですが、
にも関わらずかずのすけが「不安」に思うのは、
やっぱりフラーレンの「反応感受性が非常に高い」という性質がその理由です。
フラーレンの抗酸化反応は、以下の二つのメカニズムがあると言われています。
この内左手の「触媒作用」としての働きの場合、さほど皮膚への刺激などの問題にはなりません。
通常のフラーレンの効果はコチラ側だと思いたいです。
しかし右手側の「ラジカルと直接反応して結合を作る」場合、
反応系が発生する成分はどうしてもエネルギーを放出したり周囲の細胞に影響を与えるため、
例えば別の成分と反応する可能性がある場合には皮膚へのダメージになる可能性が否定できないのです。
だから原料そのものは無刺激でも、
他の成分と反応したりする可能性のある『化粧品』の場合、高濃度では皮膚へのダメージになるだろうな…
と予想できるわけです。
だから原料単体の刺激性試験ではここまでのことは分からないんですよ。
でも!
原料会社さんもそれはよくわかっている。笑
だからこの濃度(0.03%)なんだそうですね…。
化粧品に配合する場合このさらに1%程度なので、
結局0.0003%くらいになってしまいます。
ちなみにラジカルスポンジ1%(フラーレン0.0003%)がこちらの写真。
ここまで薄ければフラーレンのラジカル結合反応はほぼ起こらないので、
安全性が十分確立できます。
化粧品製剤にした時にある程度の抗酸化作用を発揮しつつ、
他の成分との反応性をほぼゼロにできるのがこのくらいの低濃度っていうことです。
ということを踏まえた上で、
昨今ウェブ上などで語られる「フラーレンに関する誤った認識」についてまとめます。
◎フラーレンの美容効果はあくまで『補助的』なもの
上記の話を逆に言えば
安全性を第一にするとフラーレンの持つ反応授受性などはほぼ発揮されない可能性があるので、
フラーレンには『凄い美容効果がある』とか『見る見る肌が白くなる』とか『速攻性がある』とか、
そういうものでは一切ありません。
あくまでフラーレンは微量配合が基本になるので
例えば1%とか2%とか入っているビタミンCやその誘導体に比べると
肌への有効性とか実際の抗酸化作用は一手も二手も劣ってしまうといえるでしょう。
実際に同じ濃度で比較した際にフラーレンにビタミンCの250倍の抗酸化力があったとしても、
化粧品に入っているフラーレンは大体0.0003%くらいですから…(苦笑)
(0.0003×250=0.075)
ビタミンC1%の医薬部外品と比較するとその効果は1/10にも満たない程度の効果になってしまうということになりますよね…(;^o^A
だから、フラーレンの効果は「あくまで補助的なもの」です。
そりゃそうです。
化粧品の成分ですし医薬部外品の有効成分でもありませんから、
ガッツリ驚くような効果があるものではないのです。
逆に言えばそんな圧倒的な効果があってはならないとも言えますが…;
◎フラーレンは皮下浸透は絶対しない!
またよく「フラーレンが真皮まで浸透!」みたいなことを言っている販社や人がいますが、
これについては原料会社の資料を見れば一目瞭然です。
原料ですら、真皮には届いてません。(検出限界以下)
リポソーム化した浸透性増強型(リポフラーレン)でも届いてません(;^_^A
そりゃそうだ。炭素の塊なんて水にも油にも溶けず、原料にするだけでも大変なのに、
さらに角質層のラメラ構造を通り抜けるなんて絶対ムリです。。
だから「フラーレンが真皮に届いて細胞を再生♪」とか言ってたら、
それは絶対におかしいということになりますね。
原料会社さんにも「これは大きな間違いなのでぜひご指摘お願いします…」って言われました(苦笑)
変な問い合わせが多いみたいです…。。
◎「フラーレン1%配合」はあり得ない
またこれについては以前も指摘したとおり、
こちらの原料会社さんは各原料を1%配合した場合に以下の「R.Sマーク」などを表示することをOKにする契約をしているのだそうですが、
これすべての原料がフラーレン実質濃度0.03%以下なので、
どれだけ配合しても『フラーレン濃度1%』には絶対にならないのです。
「ロゴマーク=フラーレン1%」と言う風に標榜しているサイトやブログが凄く多いですが、
これは「原料1%」を意味しているだけなので、
実際のフラーレン濃度は0.0003%以下程度しか入っていません。
ご注意を。
ホントに1%も入ってたら、それはそれは真っ黒な化粧品になりますよ(苦笑)
というところでいつもながら長くなりましたが、
今回ビタミンC60バイオリサーチさんに伺って聞いてきた話をまとめてみました。
結局はまだただの化粧品成分なので過度な期待は禁物ですってことですね(;^-^A
しかし一説にはフラーレンの微量添加によって他の抗酸化成分(ビタミンC誘導体など)の効果がアップするという研究もあるようですので、
(触媒効果があるので当たり前ですが)
この微量添加だからと全く無意味ということは無いように思います。
長い目で見て使用することで、最初に記載したような美容効果も現れるかもしれませんし、
他の成分と一緒に使うことで効果を引き上げる作用なども期待されます。
ちなみにかずのすけがこの成分を配合するか?と言われると、
前回の記事にも書いたように今の段階ではまだ生まれて10年足らずの歴史が短い成分ですのでそこはかなり考えものなのですが…苦笑
今後の研究の発展などに従い採用もあるかもな?と思うところでございます。
特に最近新発売したパウダータイプのフラーレン原料なんかはちょっと気になっているところです…。笑
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