最先端乳化技術【三相乳化】は本当に「界面活性剤不使用」なのか | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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前回からの続きです。 

 

「界面活性剤不使用の日焼け止め」について

 

 

 

 

 

実は前回記事で紹介した二商品、

 

似ているのは製造元のOEMが同じ会社だからと推察できます。

 

 

 

というのも、どちらの商品も【三相乳化】という特別な乳化方法で作られている商品だからです。

 

<三相乳化のイメージ>

http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000012067.html

 

 

この乳化法は神奈川大学の特許技術で、この手法で商品を作れるのは同大学と共同研究を行っていた「東洋新薬」というOEM会社だけです。

 

 

実際江原道さんは製造販売元に「東洋新薬」の記載があります。

 

image  

 

 

キャメロンさんにはこの製造元の記載は無いのですが、

 

image

 

公式ホームページで「三相乳化」について記載があるのでそのように判断できます。

 

 

同じ製造元が作っているから、使用感や性質がとても似たものになっているわけですね!

 

 

 

 

◎「三相乳化」とは?

 

 

ところで三相乳化って一体なんだ?って話なんですけど、

 

これは結構むずかしい話になるのでできるだけ掻い摘んで説明しますね(^_^;)

 

 

 

三相乳化っていうのは、従来の界面活性剤を用いた「化学的乳化法」ではなく、

 

物質同士の引き合う力(ファンデルワールス引力)などを応用した「物理的乳化法」のひとつです。

 

http://www.ku-mkt.co.jp/three-phase-emulsion/

 

 

神奈川大が特許を持っている 独自技術ですね。

 

 

 

まぁ詳しく話すと完全な物理乳化ではなく、化学乳化と物理乳化の中間的な乳化法なんですけど。

 

 

 

 

 

これまで一般的には、「親水基」と「親油基(疎水基)」という構造を持った【両親媒性物質】を配合することで水と油を乳化していました。

 

これが一般に言われている『界面活性剤による乳化』ですね。

 

http://www.nicca.co.jp/05recruit/iaa.html

 

 

 

三相乳化では一般的な界面活性剤ではなく「柔らかいナノ粒子(?)」とかいう謎の物質を使って界面活性剤的な乳化分散作用を持たせているそうです。

 

 

別名『親水性ナノ粒子』…(;^^)ゞ

 

 

 教科書的な説明をするなら、

 

「油滴に対して親水性ナノ粒子がファンデルワールス引力によって吸着するため、

油滴表面に水性を付与して乳化分散が可能になる…。」

 

という話です。

 

 

 

なんじゃらほい、って感じですがまぁ実際そんな感じです(苦笑)

 

 

 

 

◎「親水性ナノ粒子」の正体

 

 

しかしやっぱり気になるんですよね、

 

「親水性ナノ粒子」って一体なんだよ?って思いませんか?(^_^;)

 

 

そもそもなんで親水性ナノ粒子だとファンデルワールス力とかいう小難しいパワーが発生して乳化できるようになるの?

 

って思いませんか。

 

 

 

 

え、思わない?

 

 

 

・・・(´・ω・`)

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで調べてみました!(^O^)笑

 

 

 

 

乳化物製造用親水性ナノ粒子の製造方法 

 

 

っていう神奈川大の特許要約書があります。

 

これが例の「親水性ナノ粒子」の作り方が書いてあるものですね。

 

 

特許とっているものは全部内容が公開されているので一般の人でも読めるんですよ。

 

ふっふっふ…(^^)

 

 

 

ただ内容が結構むずかしいですけど…;

 

 

 

 

というわけでむずかしい話は割愛して、かずのすけが読み込んだ結果…

 

 

この親水性ナノ粒子の正体は「界面活性剤」のカタマリです。

 

 

具体的には、特定の溶媒に特定の(親水性強めの)界面活性剤を入れて特定の機械処理を行うと、

 

界面活性剤がナノサイズの『小胞体(ベシクル)』というものを形成するので、

 

このナノ粒子溶液を乳化分散剤(三相乳化剤)として使用しているんです。

 

 

 

 

三相乳化関連の特許書は他にもありまして、

 

乳化分散剤及び乳化組成物 

 

から引用した図が以下のものです。

 

 

これを見たら一目瞭然ですが、

 

小胞体の元は「乳化剤」と書いてありますね。

 

乳化剤というのはもちろん界面活性剤のことです。

 

(特許内にも「リン脂質」とか「ショ糖脂肪酸エステル」などの代表的な界面活性剤の名前があります。)

 

 

 

ちなみにベシクル(小胞体)っていうのは界面活性剤が互い合わせになって一つのかたまりを作っているものを言います。(「ミセル」の仲間ですがちょっと違います。)

 

 

この場合の小胞体の表面は基本は水の性質を持っているのですが、

 

 

「ナノサイズ」という特徴的な大きさの分子は周囲の水分子等の熱運動によって自動撹拌されるためナノ粒子同士が寄り集まり(凝集し)にくく、

 

(『コロイド粒子』と似たような感じです)

 

さらに質量を持った物質同士が引き合うファンデルワールス引力が作用する調度良いサイズなのです。

 

 

(ファンデルワールス力っていうのは万有引力と同じものです。「地球」という巨大な質量物質に引き寄せられる人間の如く、ナノ粒子は周囲の大きい物質に引き寄せられます。)

 

 

 

つまりナノサイズというとても小さいサイズの粒子だから

 

ナノ粒子同士では集まらずに安定的に分散しており、

 

さらに油滴や粉体などの大きいサイズの質量物質が近くにあるとそれらに吸着する。

 

 

ということです!

 

 

すると油滴や粉体の表面に親水性の微粒子がくっつくため、

 

水中に油や粉を乳化分散できるというわけですね!\(^o^)/

 

 

 

 

 

いや~~、むずかしい!(苦笑)

 

ですがこれは非常に凄い技術ですし理論も正しいと思います。

 

 

 

繰り返しますがこの技術は確かにすごいです!

 

 

 

 

 

しかし、「界面活性剤不使用」という点についてはやや疑問が残ります(^o^;)

 

 

 

 

 

◎三相乳化は本当に「界面活性剤不使用」??

 

 

 

普通の界面活性剤は周囲の環境変化によってめまぐるしく吸着様態を変えますから、

 

安定分散を持続するには、例えば温度が急激に下がったり上がったりしても

 

乳化状態を維持できるように多めに界面活性剤を配合しておかなければなりません。

 

 

 

しかしファンデルワールス力で吸着したナノ粒子は周囲の溶液の環境変化などでは簡単に離脱しないので、

 

出来上がったエマルション溶液の安定性が非常に高いのです。

 

つまりごく少量・最低限量の界面活性剤で三相乳化剤を作れば、

 

それで十分安定した乳化分散状態を維持できるというわけです。

 

 

 

いわくこのことから言えるのは、

 

従来の界面活性剤に頼りきった乳化法より、

 

使用する界面活性剤量を圧倒的に減らせるというメリットがあります。

 

 

 

 

 

…ですが、少なくとも「界面活性剤」は必要です(^^;)

 

 

実際に前回の商品にもホントに少ないんですが「ポリヒドロキシステアリン酸」という界面活性剤が入っています。

 

image

 

まぁ一般には「界面活性剤」とは言わないかもしれませんが、

 

構造特性的には十分界面活性剤と言えます。

 

 

これらの商品の場合はこれをナノ粒子化して三相乳化剤にしているようです。

 

(ちなみに分散剤の溶媒は「t-ブタノール」です。普通は化粧品には使用しない成分ですから目立ちますね。※製造販売元確認済み)

 

 

 

なので「界面活性剤完全不使用」を謳うのはちょっと無理があるよなぁ、

 

と僕は思います。

 

 

これについて実際に東洋新薬さんに伺ってお話を聞き、再考察してみました!

 

続・「三相乳化」について 【考察と改め】

 

 

 

 

◎『ウォータープルーフのクリーム』になる

 

 

ちなみに「分散剤が簡単に離脱しない」ということは、

 

特定の様態でエマルション(乳液)化したらそれが中々崩れないということです。

 

 

つまり例えばクリームの日焼け止めでも水で流しにくいということになります。

 

そのエマルションの状態を安定して維持しようとするからですね。

 

 

 

界面活性剤で作ったクリームは界面活性剤が多めに入っていますから水で容易に流せるわけですが、

 

三相乳化のクリームは余剰の界面活性剤が無いですので流しにくいのです。

 

だからこのクリームは『ウォータープルーフ』になります。

 

 

 

 

しかしこれは以前の解析でも書きましたが、

 

クリーム系日焼け止めの最大のメリットが「流しやすい」という点ですから、

 

この場合はメリットというよりはデメリットに働いてしまうような気もします。

 

 

あと別の界面活性剤で再乳化しにくいというのもちょっと気になりますね。

 

つまりは洗浄しにくく皮膜が残りやすくなってしまうかも。

 

 

(紹介した2つの商品は通常のクリーム系と比較するとやはり洗浄しにくいです。)

 

 

 

 

 

◎でも技術として凄いものなのは事実!

 

 

 

しかしこの乳化技術自体はかなりすごいと思います。

 

ベシクルの粒子径を調整するのもむずかしいですし安定乳化の際の分散処理とかもかなり拘らないと出来ないことです。

 

 

今ではまだ化粧品にちょいちょい利用したりが関の山っぽいですが、

 

今後はいろんな工業分野・医薬品分野などでも応用されていくことでしょう。

 

 

かずのすけももしこの乳化法が1番相応しいと判断するような商品を今後考えた場合は

 

商品開発に使わせてもらうことがあるかもしれません。

 

 

 

下地とか日焼け止めで使うよりはメイク系に応用した方が面白いんじゃないかな~…

 

とか思ったり(^^;)笑

 

 

 

 

 

 

というところで以上です!

 

むずかしい話を長々とすいませんでした(;^o^)ゞ




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