一日一回のランキング投票にご協力ください。
↓クリックで投票完了↓
解析ドットコムの『卵白が白くなるとダメシャンプーなのか?検証。』を検証します
の続きになります。
前回まででは解析ドットコムさんの検証は
・実験方法が不備だらけ
・結果の見方が違う(卵白変性は溶液の白濁じゃない)
というところでよろしくないというお話をして参りました。
今回はそのPart2でございます。
今回取り上げたいのは例のコラム
→卵白が白くなるとダメシャンプーなのか?検証。
にて最後にドットコムさんがやってくれた
マイルドシャンプーママバター VS 強力食器用洗剤ジョイ
こちらの一大決戦についてです。
前回の記事では
卵白アルブミンは強いイオン性の界面活性剤と混ざれば必ず変性して白色の沈殿物を生成する
という前提条件があり、
その他のシャンプーについては
実験方法がかなり杜撰なので非常に見にくかったですが
まぁ一応前提通りの結果が出ていたということが分かりました。
(少なくとも僕にはそのように見えました)
しかしこの最終決戦の結果では、
ジョイさんには一見したところ全く沈殿物が生じておらず
当初の前提条件を見事に覆しているではありませんか。
これはなんということでしょう…。
かずのすけの持論(というか生化学の常識)が脆くも崩れ去った瞬間であります…。
…というのはもちろん冗談で。
これもドットコムさんの実験の不備が原因です。
実は食器用洗剤のジョイとその他のシャンプーでは、
同じ条件で実験をしてはいけない大きな理由があります。
(元から同じ条件ですらないですが)
それは、ずばり界面活性剤の濃度が全く違うことです。
どういうことかと言いますと・・・
ここになんとも運良く食器用洗剤ジョイがあります。(笑)
こちらの成分などを確認してみます。
え~主成分は『アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム』と『アルキルアミンオキシド』とあります。
ん?ちょっと待て、、
これはラウリル硫酸Na…ではなくてラウレス硫酸Naです(^_^;)
僕もよく間違えますが先日のPRTR法の記事に載せたやつに書いてあります。
↓最後の409番をご覧ください。
まぁこれは僕も昨日まで勘違いしてたので人のこと言えないんですが、、
(心優しい読者様が教えて下さいました!)
なのでとりあえず瑣末な間違いとしてジョイはラウリル硫酸Naじゃないってこともあります。(笑)
しかしラウリルもラウレスも強いイオン性の洗剤であることに違いはありません。
結果としては同じことが起こるので、まぁこの間違いにはこの際目をつぶりましょう。
(ホントはラウリルの方が強い変性が出るんですけどね!)
ちなみにアルキルアミンオキシドは両イオン性界面活性剤なのでイオン性については無視できます。
一番重大なのは、
この洗剤に界面活性剤が何%入っているか。
34%です。
通常のシャンプーの界面活性剤濃度は大体10~20%弱ってところなので、
食器用洗剤は明らかに濃度が高過ぎます。
濃度が高すぎて何か問題があるの?
と思う人も多いかと思います。
ですが実際にこれは大問題なのです。
簡単に言えば、
卵白変性は界面活性剤が高濃度過ぎると反応しない
のです。
ホントかよ!?って思う人も居ると思うので、
これからそれを示す簡単な検証実験をお見せします。
まずは例によって例のごとく『卵白』を用意します。
そしてこれをピペットを用いて5mLずつ均等に分けます。
で、既に試験菅に予めシールを貼っちゃってたのですが、
↓このように件の『ジョイ』さんの、
原液、3倍希釈液、5倍希釈液、10倍希釈液
(写真のカッコ内は界面活性剤濃度)
を作って、
各卵白5mLに洗剤溶液を1mLずつ正確に滴下して振り混ぜます。
(滴下量はこれくらいで十分です)
↑これがその滴下・撹拌直後の写真で、
(混ぜて直ぐじゃ原液はほとんど反応してないのでドットコムさんはこの辺で写真を撮った可能性が高いですね)
↑これが10分ほど放置した写真です。
ご覧の様に薄めた洗剤であればしっかり卵白の変性が確認できるのです。
しかし、
10倍希釈液では↑こんなに白色沈殿が生じるのに、
↑原液は10分以上待ってようやくこの程度です。
不思議ですね。
原液の方が濃度が濃いから強力に変性しそうなものなのに、
この結果を見ると明らかに
濃度が濃い方が変性が弱く、濃度が薄いほうが変性が強くなっている
ように見えます。
以上の結果から、
少なくとも
ラウレス硫酸Naベースのジョイは卵白を変性させる
ことが分かります。
(当たり前ですけどね!!)
そしてなぜか原液では変性はほとんど起こらず、
薄める程に変性しやすくなることが分かりました。
これについて、
少しむずかしい話ですか簡単に説明しておきます。
実は界面活性剤と卵白の反応には、十分な量の水分が必要なのです。
というのも、
35%濃度の界面活性剤溶液というのはそれでほぼ飽和状態です。
(飽和状態…満タンいっぱいの状態のこと)
そして卵白の変性には卵白と界面活性剤が出会う「場所」が必要です。
その場所というのが基本的に『水分』なのですが、
飽和状態の界面活性剤溶液には卵白と反応するような自由な水分(場所)が残っておらず、
卵白にこのような状態の溶液を混ぜ込んでも、
卵白と界面活性剤は溶液中で出会うことができず変性反応がほとんど進まないのです。
栄養学でいう『自由水』という考え方に似ていますが、
高濃度の界面活性剤溶液では溶液中の自由な水分が不足しているため
その他の成分との反応が逆に起こりにくくなるという現象が起こるのです。
なので
高濃度過ぎる界面活性剤溶液とでは
卵白の変性反応は非常に起こりにくい
ということなのです。
よってドットコムさんの実験は界面活性剤濃度に気を配れなかったという超絶初歩的なミスがあり、
本来の正確な実験結果を出せなかったということになります。
以上よりドットコムさんの検証は様々な点で科学的正当性を欠いたものですので
どなたか心優しいお方、
「恥ずかしいから消しといた方が良いよ…」
とそっと伝えて差し上げて下さいm(_ _)m
実際のところ界面活性剤は溶液濃度1~3%程度が最も活性なので、
こういう実験をする時はこの濃度に合わせて実験を行うのがベストです。
(10%とか7%も高すぎるのでやっぱり変性は弱いです。)
食器用洗剤ならば少なくとも10倍、
シャンプーであれば少なくとも5倍くらいに薄めるのが正しい方法です。
当たり前の話ですが、決して原液で投入してはいけません。
実際に使用する時は原液ではなくて上の濃度程度に薄めて使用するはずですからね。
あと滴下量は卵白5に対して1~2程度で十分です。
あんまり入れすぎると変性し過ぎて逆に透明になることもありますから…(^_^;)
(ドットコムさんの実験だと実はこれもあると思う;)
最低限量で見ないと何がなんだか分からなくなりますから、
これも当たり前と言えば当たり前のお話なんですけどね。
以上
解析ドットコムの『卵白が白くなるとダメシャンプーなのか?検証。』を検証します
でした!
非常に長くなりましたが、ご清聴頂きどうもありがとうございましたm(_ _)m
吸収剤&酸化亜鉛フリー!最高指数UV下地【セラネージュ ハイエンドカバーUVベース】7/15発売【詳しくはこちら】
敏感肌のエイジングケアに!【セラシエルレッド モイストクリーム】発売!【詳しくはこちら】
オンラインストアURL:https://cores-ec.site/ceralabo/
超ベテランコスメ開発者と手掛ける魂の合作【美肌成分事典】10月19日発売!【詳しくはこちら!】
【秒でわかる!最強の家事-暮らしは、化学でラクになる】発売中! 【詳しくはこちら!】
【オトナ女子のための美肌図鑑】ベストセラー10万部突破!【詳しくはこちら!】
▶メイクも化学で徹底解明 【オトナ女子のための美容化学 しない美容】 大好評発売中!!
▶かずのすけがマンガに!【かずのすけ式美肌化学のルール】の紹介
▶究極の美肌法を徹底収録!【どんな敏感肌でも美肌になれる!オフスキンケア】の紹介
<公式ホームページ> ブログを見やすくまとめています!→詳しくはこちら!
【かずのすけのおすすめ化粧品まとめページ】
かずのすけが実際に使用している商品や四つ星&五つ星の商品をまとめています!
詳しい利用法について→こちら
オススメの解析
かずのすけ
Facebookページも宣伝
かずのすけ公式Facebookページのいいね!もお待ちしてます!
解析依頼はここから
※アメンバー限定です。
【かずのすけのブログ検索】
コメントや古すぎてAmeba検索でHITしないものも検索できます!
(バナー用画像↓ 加工OK!)