Moon River ~ムーン・リバー~ | 美肌ジャズタイム

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『ジャズをもっと身近に』をモットーに、歌とフルートで活動している日本の女性ジャズ歌手若生りえのブログ。ジャズの歌詞について語っています。

MOON RIVER ~ムーン・リバー~1961年
作詞/ ジョニー・マーサー Johnny Marcer
作曲/ ヘンリー・マンシーニ Henry Mancini

電球ここでの解釈は、私、若生りえがあくまでも歌手として歌わせて頂く際の、一つの歌詞の世界であり「こんな気持ちで歌わせて頂いております」という一つの意思表示です。この世界の認識を押し付けたりするものでもありません。あくまでもご参考までに。また文章をお使いになる場合はお手数ですが、ひと言ブログへコメント頂ければ幸いですSAYUうふふ

【ご存知!映画「ティファニーで朝食を」の主題歌】
オードリー・ヘプバーンの映画で、好きな映画を3本あげると?

とみなさんに質問したら、この映画がそのリストに入っている人はとても多いのではないでしょうか?

彼女と言えば、シャンソンの『バラ色の人生』が出てきた映画『麗しのサブリナ』、そして彼女の代名詞の映画『ローマの休日』、ガーシュインの音楽満載の映画『パリの恋人』、などなど、その他にもたくさんの有名な主演作品がありますが、どこかいつも「妖精的」なイメージのあった役柄の中でも、この『ティファニーで朝食を』ではめずらしく、高級娼婦という難しい役柄を演じていました。

それにしてもこの『アカデミー主題歌賞』と『グラミー最優秀歌曲賞』を同時に受賞した『ムーン・リバー』ですが、映画では、オードリーがギターを抱えて、どこか寂しげな表情で歌うシーンがやはり有名ですよね?

オードリーが演じるホリーと、ジョージ・ペパードが演じる小説家志望の男性ポールが、同じアパートの住人として顔を合わせているうちに恋に落ちる・・・、というストーリーですが、方や大金持ちとの結婚を夢見るコールガール、方や売れない小説家でパトロンの中年女性という相手がそれぞれにいるため、なかなか関係はそう簡単に発展せず、複雑という背景があります。 

歌詞は短いのですが、今回歌詞をひも解いて行くうちに、やはり映画のストーリーとは切り離せないものなんだなと、改めて思いました。

『ムーン・リバー』は、『月影の河』ど言われていて、こんな感じのことですね。

2018年1月2日スーパームーンの夜に撮影
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月光の影が水面にうつり、河のようにすうっとどこまでも伸びてゆく様を言いますが、これはもちろん、ポールのことでもあります。

一見、強そうに、自由奔放に生きているように見えるホリーですが、内心は自信がなかったり、「でも、これでいいのよ。」と、どこか自分に言い聞かせながら生きてきた様なところがあったのではないのでしょうか?

実際、このムーンリバーをオードリーが歌うシーンでは、ポールが小説をタイプで書いているシーンから始まり、そのタイプした言葉が映し出されます。

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MY FRIEND
There was once a very lovely, very frighted girl.
She lived alone except for a nameless cat.

僕の友達
昔、とても美しい、そしてとても臆病な女性がいました。
彼女は、名前のないネコをのぞいては
ひとりぼっちで暮らしていました。

というような出だしで打ち始めていると、オードリー演じるホリーのギターが切なく流れて、歌声も聞こえてきて、ポールは窓を開け、彼女の歌う姿を静かに眺めている、というシーン。

映画の中で、オードリー演じるホリーは、この文章の如く、美しくも、いつも、常に何かに怯えたような繊細で情緒不安定なところもあり、その感情表現が時に不器用な一面は、弟の戦死の知らせを受けて、羽根枕を激しく叩きつけ、中の羽根がすべて出てくるような勢いで羽根をまき散らし取り乱すシーンでも、大変よく表れています。

綺麗ごとだけでは生きていけないから、そんな人間の弱さを胸に秘めて隠し続けてきたのに、純真な心をもつポールに、忘れかけていた、いや、見ないようにしていた『本当の自分』があふれ出したようなラスト・シーンは印象的でした。

【珍しくオードリーを怒らせた、意外な人物とエピソード】
今でこそ世界中で、オードリーの歌ったムーン・リバーは世界的に有名ですが、もしかしたら、いつも冷静なオードリーが怒らなかったら、このシーンはカットされていたかもしれなかったのです。

事件は、映画会社パラマウントの重役同席の試写会で起きました。重役たちはあのムーン・リバーを歌うシーンをカットするように言ったそうです。

それも露骨に言ったのではなく、嫌味たっぷりに「一つだけ確かなことがある。あの歌は大ヒットするよ。」と。

たしかに、語るように歌うシーンですし、声をしっかりと張り上げて歌う歌ではないので、音程などが中には危なく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、歌と言うのは『何が大事か』という部分では、間違いなくすばらしく表現していた歌だったと私は思います。

しかし、重役たちからそういわれた時、歌に自信を持っていたオードリーは、思わず側にいた当時の旦那さん『メル・フェラー』の手を引いて退席したのです。

その時同席していた、この曲を作曲したヘンリー・マンシーニによると、自制心をなくしたオードリーを見たのは後にも先にもこのときだけだったそうですが、なおさら、その時のオードリーの怒りが伺えます。

でも、そのヘンリー・マンシーニも、作詞をしたジョニー・マーサーも、「彼女の表現、解釈は完璧だった」と、そして「たくさんの人に歌われてきたけど、映画の中で彼女が歌ったムーン・リバーが最高だった・・・。」と言っていたそうです。

【解釈の難しい歌詞】
さて、もう少し歌詞の解釈で困ったところのお話です。

最後の『ハックルベリー・フレンド』には頭を悩ませました。

直訳すると『私のコケモモの実友達』???

これってなんだ???

これを作詞した作詞したジョニー・マーサーによると、この言葉の正確な理由はないといっているようで、しいて言えば、小さな頃、木の実をつんだことなどを思い出したときにうかんだ単語だったようです。

でも、私はそれを知る前に、これはきっと『トム・ソーヤの冒険』のトムの親友、『ハックルベリー』のことで、『ハックルベリー・フィンの冒険』からきているのだと勝手に思っていたので、これを聞いた時はがっかりしました(笑)。

しかしこの映画の二人。

ただの男女というよりは、職業は立場は色々違っても、どこか似ている、そんな『昔から知っているような、幼なじみのような友達』の様な関係、どこか消えていなくなっちゃうような不安定な関係、不思議で、一言で言い表せない関係、を描いている大事な言葉だと思っています。

どちらにしても、親友とか、幼なじみ、大切な人、と解釈してます。

また、ムーン・リバーも虹も、どちらも時間がたてば消えてしまうものですが、ムーン・リバーは夜という、どこか寂しげな部分がありますが、最後に虹を持ってきたところで、やはり希望を見出せますね?

【ジョニー・マーサーとムーン・リバーの本当の意味】 
さて、このタイトルの『ムーン・リバー』。

これはいったいどういう意味なんでしょう?

私の下記の解釈にも書かせていただいたように『ムーン・リバー』といってまず想像するのは、広い川の水面に映る、月光の光、その川のように見える光、これをさすのだと思いますが、今回調べているうちに、やっと、納得のいく答えが分かりました。

まず、この曲を作るとき、ジョニー・マーサーとヘンリー・マンシーニは、オードリー・ヘプバーンの歌声を意識して作ったのだそうです。

そして、出だしの歌詞も、今の『♪Moon River,wider than a mile~』ではなく、映画「ティファニーで朝食を」の彼女の役名である『Holly Golightly(ホリー・ゴライトリー)』からとって『♪I’m Holly, like I want to be, like Holly on a tree back home~』という歌詞だったのだそうです。

しかしこの歌詞は、後に、映画の内容に合うように、書き換えられたのだそうです。

しかも、なんとタイトルも違って、『Blue River』!!

しかし、これはジョニー・マーサーが調べたところ、他の作詞家が使っていたため、使えなかったのです。

では、いよいよ本題!!

なぜ、曲のタイトルが『ムーン・リバー』になったのか?

これは、ジョニー・マーサーの生まれ故郷、ジョージア州のサヴァンナの町にある、家の裏を流れていた川で、『バック・リバー』と言う名前の川があったそうなのですが、地元では、この川のことを、どうやら『ムーン・リバー』と呼んでいたそうで、そこから、この曲のタイトルに、最終的に『ムーン・リバー』と付けられたんですって!

そもそもこの歌詞は、自分の子供時代をイメージして書かれたもの。

そして、歌詞の中の『ハックルベリーフレンド』というのも、小さい頃、ゆったりと流れる「ムーン・リバー」で一緒に遊んでいた友達のことをイメージしていたのだそうです。

故郷の子供時代を思い返し、そして、またいつか、きっとあの頃に戻れますようにといった、大人の夢、祈りの意味も含まれているそうです。

【もう一つのジョージア州歌???】
また、ジョージア州というと、忘れられないのは?
そうですよね?ジョージア州歌でもある、1930年に作曲された『ジョージア・オン・マイ・マインド』!!

『自分の故郷に捧げる曲』をずっと書きたいと思っていたジョニー・マーサーだったのですが、この曲が出来たのは、『ジョージア・オン・マイ・マインド』が、レイ・チャールズによって30年後に大ヒットさせた頃とほぼ同じくらいに重なってしまいました。

しかも、その曲にはタイトルに『ジョージア』と入っていますし、『故郷に捧げる歌』としては1歩遅れをとってしまった感があったそうなのですが、しかし、その後、『バック・リバー』という本来の川の名前を『ムーン・リバー』と人々に呼ばせるようになった彼の功績には、ジョージア州の議員たちもさすがに驚いたそうです

【この曲の鍵をにぎる『マイ・ハックルベリー・フレンド』】
この曲の作詞者でもあるジョニー・マーサーですが、彼は、名シンガーでもあるのをご存知ですか?

もし、まだ聴いたことがない、というかたは、ぜひ、聴いてみてください!
リリースされる前のデモの音源のようですが、見つけましたので、よろしければ作詞作曲者のコンビの演奏でお聞きください!

ピアノはヘンリー・マンシーニ!歌はジョニー・マーサー!



オススメのアルバムは、やはり、『マイ・ハックルベリー・フレンド』!!

この中で、『ムーン・リバー』や『サテン・ドール』など、彼の名作詞も自分で歌ってしまっていますから!!いいですよぉ~?

それでは、以上のことを含めて、私の中で描いた『ムーン・リバー』です!!

どうぞっ





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ムーン・リバー 
水面に広がる遥かなる月影の河
私は、この『あなた』という河の真ん中を
いつか堂々と渡ってみせるわ

その昔・・・夢をくれたのもあなた
そして何も言わずに去って行ったのもあなた
でも私はあなたの行くところなら
たとえどんな所だって追いかけていくわ

私たち二人
今日もそれぞれ
どこかの世界をさまよう旅人
こんなにも知るべき世界があったのね

でも結局最後は私たち
あの同じ虹の向こうできっとまた会える
だから、あのムーン・リバーを越えた
虹の角あたりできっと待ってて

私の親愛なる友だち 
ムーン・リバー・・・あなたと私

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