高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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58.亡き父の仏壇に、まだ話しかけていますか?

 

こんにちは。
高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。

 

相談を受けていると、ときどきこんな言葉に出会います。

 

「父が亡くなってから、毎日仏壇に手を合わせて話しかけています。」
「もう三回忌が過ぎたのに、まだ“おはよう”とか“いってきます”と声をかけてしまいます。」
「こんなことを続けていていいのだろうか……と、自分でも迷うんです。」

 

このようなご相談を受けるたびに、私はこうお答えしています。

「話しかけることは、決しておかしなことではありません。それは心が自然に求めている、大切な行為なんですよ。」

 

今日は、亡き父の仏壇に話しかけることについて、その意味や心への影響を考えてみたいと思います。

 

 


亡き人と「対話」することの意味

 

大切な人を亡くしたあとも、心の中ではその人とのつながりは続いています。
心理学ではこれを「継続する絆(continuing bonds)」と呼びます。

 

「亡くなったからといって、愛情や関係性が消えるわけではない。」

 

仏壇に話しかけるという行為は、この「継続する絆」を保つための自然な行動なのです。

  • 「おはよう」と声をかける
  • 今日あった出来事を報告する
  • 悩みを打ち明ける
  • 感謝を伝える

これらはすべて、心が大切な人を失った喪失感を少しずつ癒していくための大切なプロセスです。

 


亡き父への想いが強くなるとき

 

父という存在は、多くの人にとって特別です。

厳しくも頼もしく、人生の節目で支えてくれた存在――その人がいなくなった現実を受け止めるのは簡単ではありません。

 

特に次のような時期には、亡き父への想いが一層強くなります。

  1. 初盆や命日など節目の日
    その日が近づくたびに、父との思い出が鮮明によみがえります。
  2. 自分の生活の変化があったとき
    子どもの進学や結婚、仕事の転機など「父にも伝えたかった」という気持ちがあふれます。
  3. 親族との対立が起きているとき
    相続や介護をめぐるトラブルがあると、「父がいてくれたら……」という思いが強まります。

これらの出来事は、父の不在を改めて実感させるため、仏壇に語りかける行為が一層増えることもあります。

 

 


「まだ話しかけている自分」を責めないで

 

多くの方がこう言います。

「もう一年も経つのに、まだ父に話しかけている私はおかしいでしょうか?」
「親戚から“そろそろ気持ちを切り替えなさい”と言われました。」

しかし、どうか自分を責めないでください。

 

大切な人を失った悲しみは、時間で一律に癒えるものではありません。
一年経ったから、三年経ったからといって、突然「もう大丈夫」になるわけではないのです。

 

むしろ、仏壇に話しかけることは心を落ち着かせる自然な行為です。
それは、父との関係を大切に思う気持ちの現れであり、決して弱さではありません。

 


亡き父に語りかけることで得られるもの

 

仏壇に向かって語りかけるとき、私たちは単に過去を懐かしんでいるわけではありません。
そこには、次のような大切な効果があります。

 

1. 感情を整理できる

言葉にして話すことで、心の中に渦巻く感情が少しずつ整理されます。
これは心理療法でも使われる「カタルシス(心の浄化作用)」に似ています。

 

2. 安心感を得られる

「父は見守ってくれている」という感覚が、日常を生きる支えになります。
これにより、孤独感や不安が和らぎます。

 

3. 自分を保てる

悩みや決断を父に語ることで、「自分は一人ではない」という実感が持てます。
これは心の安定にとても大きな意味があります。

 

 


話しかけるときのちょっとした工夫

 

もし仏壇に話しかけるときに心が少し重たくなるときは、次の工夫を試してみてください。

 

1. 「ありがとう」を最初に伝える

日々の報告をする前に、「今日も一日ありがとう」と一言添えるだけで、心が少し柔らかくなります。

 

2. 一日一つだけ

話したいことがたくさんあっても、一度に全部伝えようとせず「今日はこれだけ」と決めると気持ちが整理されます。

 

3. 父が喜ぶものを一緒に置く

父が好きだった花やお菓子を仏壇に供えることは、父との絆をより深く感じさせてくれます。

 


Aさんのエピソード:父との会話を続ける日々

 

50代女性のAさんは、父を突然亡くしました。
それ以来、毎朝仏壇に向かって話しかけているといいます。

「おはよう、お父さん。今日は天気がいいよ。」
「昨日は孫が学校で頑張ったんだよ。」

 

最初は涙が止まらず、言葉にならなかったそうです。
しかし続けるうちに、心が少しずつ落ち着いていったと話してくれました。

 

「父と会話しているような感覚があるんです。
本当に返事が聞こえるわけではないけれど、私の気持ちはちゃんと届いている気がして。」

 

Aさんにとって、その時間は父とのつながりを確かめる大切な儀式になっているのです。

 


語りかけることが「前に進む力」になる

 

「いつまでも父にすがっていてはいけない」という声を耳にすることもあります。
 

しかし、私はこう考えます。

父に語りかけることは、すがることではなく「前に進むための力」になる。

 

人は、大切な存在を完全に手放すことはできません。
だからこそ、「今もつながっている」という感覚を持ちながら、少しずつ現実を生きていくのです。

 

これは決して後ろ向きなことではありません。
むしろ、前を向くために必要なプロセスなのです。

 

 

まとめ:亡き父は、今も心の中にいる

 

亡き父に仏壇を通して語りかけることは、決して不自然なことではありません。
それは、父を想う愛情の表れであり、あなたの心を支える大切な営みです。

 

今日お伝えしたポイントを振り返ります。

  1. 仏壇に話しかけることは「継続する絆」を保つ自然な行為
  2. 「まだ話している自分」を責める必要はない
  3. 語りかけることで感情が整理され、安心感を得られる
  4. 小さな工夫で心がさらに軽くなる
  5. それは過去にすがるのではなく、前に進むための力になる
     

最後に

 

父がこの世を去ってしまっても、あなたと父の関係は消えません。
それは、形を変えて心の中に生き続けます。

 

「お父さん、今日もありがとう。」

その一言が、あなたの一日を支え、これからの日々を穏やかにしてくれます。

 

どうか、安心して語りかけ続けてください。
その言葉はきっと、亡き父の心にも届いています。

 

 

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