高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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56.兄弟姉妹が敵になったようでつらいときに

 

こんにちは。
高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。

 

私が日々ご相談を受けている中で、最も多いテーマのひとつが「きょうだい間の対立」です。
 

親が高齢になり介護や財産管理が必要になったとき、本来なら協力し合うはずのきょうだいが、まるで敵同士のように対立してしまう――。

その現実は、想像以上につらく、深い孤独感を伴います。

 

「昔は何でも話せた兄だったのに、今は敵のように感じます。」
「妹と一緒に母を支えていきたかったのに、今は私を排除しようとしてきます。」
「親をめぐる話し合いが、こんな戦いになるなんて思いませんでした。」

このような声が、私のもとにはたくさん届きます。

 

今日は、きょうだいが敵のように感じるほど関係が悪化してしまったとき、どう心を保つかについて一緒に考えていきたいと思います。

 

 


なぜきょうだいと争ってしまうのか

 

きょうだいの間で対立が起きる背景には、いくつかの共通した原因があります。

1. 親をめぐる「価値観の違い」

  • 施設に入れるか、自宅介護を続けるか
  • 誰が費用を負担するか
  • 親の財産をどう管理するか

これらのテーマには「正解」がありません。
それぞれが「親のためを思っている」からこそ、互いの価値観がぶつかり、対立が深まります。

 

2. 過去から続くわだかまり

子どもの頃からの親の愛情の偏りや、きょうだい間の競争心が、親の介護や相続という場面で一気に噴き出すことがあります。

「昔から母は妹ばかり可愛がっていた」
「ずっと私が我慢してきた」

こうした感情が、話し合いを複雑にします。

 

3. 誰かが「主導権」を握ろうとする

一人のきょうだいが親の通院や財産管理を担うと、「自分が決める」「他は口を出すな」という構図が生まれやすくなります。
これが「囲い込み」の問題にもつながります。

 


信じていた相手が敵のように見える苦しみ

 

きょうだいは、人生で最も身近な他人です。
幼い頃は一緒に遊び、時にはケンカをしても、どこかで「家族だから大丈夫」という安心感がありました。

だからこそ、関係が壊れたときの衝撃は計り知れません。

 

「兄は味方だと思っていたのに、まるで私を追い出そうとしている。」
「妹から“お母さんに近づくな”と言われ、裏切られた気持ちになりました。」

 

このような出来事は、親との距離以上に、きょうだいとの関係をめぐる深い喪失感を生みます。

心理学では、こうした感情を「二重の喪失」と呼びます。
 

親とのつながりを失う悲しみと、きょうだいとの信頼関係を失う悲しみ。
この二つが同時に押し寄せるため、心が耐えきれなくなるのです。

 

 


「敵」ではなく「対立する立場」

 

ここで、少し視点を変えてみましょう。
きょうだいは本当に「敵」なのでしょうか?

 

実は、きょうだいの多くは最初から悪意を持っているわけではありません。
それぞれが「親を守りたい」「自分が正しいことをしている」という思いで行動しているのです。

 

つまり、「敵」ではなく「意見が激しく対立している立場」なのです。

 

もちろん、相手の言動が理不尽に感じることもあるでしょう。
ですが、相手を完全な悪者としてしまうと、ますます話し合いが難しくなります。

 


自分の感情を整える3つのステップ

 

きょうだいとの関係が壊れてしまったとき、まず大切なのは自分の心を保つことです。
ここでは、感情を整えるための3つのステップをご紹介します。

 

1. 感情を「事実」として認める

  • 怒り
  • 悲しみ
  • 裏切られた寂しさ

これらの感情は、すべて自然なものです。
「こんな気持ちを持つ自分はダメだ」と否定せず、
「私は今、こう感じているんだな」と受け止めてあげましょう。

感情を否定せずに認めることが、冷静さを取り戻す第一歩です。

 

2. 言葉にして書き出す

頭の中でぐるぐるしている思いを、紙に書き出してみましょう。
感情が整理され、客観的に自分を見ることができるようになります。

 

3. 第三者に相談する

家族だけで話し合うと、感情がぶつかり合って解決しにくくなります。
ケアマネジャー、地域包括支援センター、専門家など、
中立的な立場の人に入ってもらうことが効果的です。

 

 


Aさんのケース:妹との断絶

 

50代女性のAさんは、母親の介護をきっかけに妹との関係が崩れていきました。

「最初は一緒に母を支えようねって言ってたんです。でもいつの間にか、妹が母を囲い込むようになって……。」

 

Aさんが母に会おうとしても、妹はこう言います。

「お母さんは疲れるから、来ないで。」

 

Aさんは妹に何度も電話をかけ、手紙も送りましたが、返事はありません。
やがて妹のことを「母を奪った敵」としか見られなくなっていきました。

 

しかし、専門家を交えた話し合いの場で、妹が涙ながらにこう語ったそうです。

「私も母を守りたくて必死だった。でも、どうしたらいいか分からなくて……。」

 

この言葉を聞き、Aさんは少しだけ妹の立場を理解できたといいます。

「妹を完全に許せたわけじゃないけれど、“敵”ではなく“同じ母を想う立場”なんだと思えたんです。」

 


「距離を取る」という選択肢

 

もし今、きょうだいとの関係がどうしてもつらいなら、一時的に距離を取ることも大切です。
無理に話し合いを続けて心が壊れてしまっては、元も子もありません。

  • 直接の連絡は一旦控える
  • 書面や第三者を通じて必要最低限のやり取りをする
  • 自分の生活を優先する期間を持つ

これは「逃げること」ではなく、自分を守るための大切な手段です。

 

 


心が軽くなる視点

 

最後に、心が少し軽くなる考え方をお伝えします。

  1. 親をめぐる対立は、愛情の裏返しでもある
    互いに親を大切に思うからこそ衝突することもあります。
     
  2. きょうだいもまた「親の子ども」である
    あなたと同じように、きょうだいも親への想いと葛藤を抱えています。
     
  3. 完全な和解を目指さなくてもいい
    すぐに仲直りする必要はありません。
    少しずつ距離を調整していくことが大切です。
     

まとめ:敵ではなく、同じ親を想う人

 

きょうだいが敵のように感じるとき、その痛みは深く、孤独を伴います。
しかし、その裏には共通する想いがあるはずです。

「親に幸せでいてほしい。」

この一点は、たとえ意見が違っても変わらないものです。

 

今日お伝えしたことをまとめます。

  • きょうだいとの対立は、価値観や過去のわだかまりから生まれる
  • 相手を完全な「敵」と決めつけず、「対立する立場」として見る
  • 自分の感情を認め、整理する
  • 必要であれば第三者を介し、距離を取りながら関わる
     

最後に

 

きょうだいとの関係が壊れたとき、人は深い悲しみと孤独を感じます。
しかし、それはあなたが親を想っている証拠でもあります。

どうか自分を責めずに、まずは自分自身の心を守ってください。
 

そして、少しずつ冷静さを取り戻したときに、相手を見る目も変わることがあります。

きょうだいは敵ではなく、同じ親を愛する者同士。

その視点を心の片隅に持ちながら、今日を生きていきましょう。

 

 

 

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