高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

 

47.面会を妨害する兄を法的に止めたケース

 

こんにちは。高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。

 

私のもとには「親に会えない」という深刻な相談が毎日のように寄せられます。
なかでも非常に多いのが、「きょうだいの一人が親を囲い込み、面会を妨害してくる」というケースです。

 

今回は、その中でも実際に法的な手続きを経て、面会妨害を止めることができた一例を紹介します。もちろん個人が特定されないように再構成していますが、同じような悩みを抱えている方にとって参考になるはずです。

 

 

 

■親に会わせてもらえない苦しみ

 

今回ご相談くださったのは50代の女性・Aさん。
お母様は要介護2の認定を受けて、兄Bさんの家で暮らしていました。

 

Aさんが実家に行っても、兄からは「母は体調が悪いから会えない」「余計なことをするな」と門前払い。電話をかけても取り次いでもらえません。介護サービスのケアマネジャーに連絡をしても、「ご家族同士で解決してください」と言われてしまい、完全に行き詰まっていました。

 

「母の顔を何年も見ていない。もし急に亡くなったら、私はどうしたらいいのか……」
 

そう語るAさんの表情には、深い絶望がにじんでいました。

 

 

■兄が面会を妨害する理由

 

Bさんの言い分はシンプルでした。
 

「母は自分が一番面倒を見ている。他のきょうだいが口を出すのは迷惑だ」

 

確かに介護の中心を担う子どもは負担も大きく、苛立ちを抱えるのも理解できます。
しかし、それを理由に他のきょうだいから親を引き離すことは許されません。

実際にはBさんは母親の預金通帳も管理しており、周囲からは「財産目当てではないか」との疑念も出ていました。

 
 

 

■法的手段を取る決意

 

Aさんは最初、できるだけ穏便に済ませようと考えていました。手紙を書いたり、兄と話し合いの場を設けたりしましたが、すべて拒絶されてしまいます。

 

「もう、このままでは母に二度と会えないかもしれない」
 

そう強い危機感を抱いたAさんは、弁護士を通じて法的手続きを取る決断をしました。

 

 

■家庭裁判所に申し立てる

 

Aさんが行ったのは、家庭裁判所への 「審判の申立て」 でした。
具体的には「親の意思を確認し、子どもによる不当な面会妨害をやめさせたい」という趣旨です。

 

裁判所は、母親に会うことが本当に望ましいのか、母親自身の意思や健康状態を確認するため、調査官を派遣しました。さらにケアマネや訪問看護師など、介護関係者からの意見も集められました。

 

 

■裁判所の判断

 

調査の結果、母親は「娘にも会いたい」とはっきり意思を示しました。
 

これを受けて裁判所は次のように判断しました。

  • 親の意思を尊重すべきである
  • 面会妨害は家族の信頼関係を著しく損なう
  • 兄には母親の生活支援をする権利はあるが、他のきょうだいの面会を排除する権利はない

結果として、「Aさんが月に2回以上、母親と面会できるようにする」 という審判が下されました。

 
 

 

■兄の抵抗と実際の効果

 

もちろんBさんは強く反発しました。
「俺が一番母の世話をしているのに、なんで裁判所にまで口を出されるんだ」と。

 

しかし法的な効力を持つ審判が出たことで、施設やケアマネも動きやすくなり、兄の一存で面会を拒むことはできなくなりました。

 

その後Aさんは、数年ぶりに母と再会することができました。
母は涙を流しながら「来てくれてありがとう」と語ったそうです。

 

 

■法的手続きを取る意味

 

Aさんのケースから学べるのは、「親に会いたい」という気持ちは決してわがままではない ということです。
 

面会を妨害しているきょうだいにとっては不都合かもしれませんが、親の意思を無視して子どもが勝手に排除することは許されません。

また、家庭裁判所を通すことで「親の意思」が客観的に確認される点も大きな意味があります。
 

兄弟間の争いではどうしても「言った・言わない」で平行線になりがちですが、裁判所の調査という第三者の目が入ることで、状況は大きく変わります。

 

 

 

 

■同じ悩みを抱える方へ

 

「兄(姉)が親を独占して会わせてくれない」
「施設に入っているはずなのに、どこにいるのかさえ教えてもらえない」

 

こうした声は全国にあふれています。
一人で悩み続けると、時間だけが過ぎ、後悔だけが残ってしまいます。

 

もちろん法的手続きを取ることは簡単ではありません。
家族関係がさらに悪化するリスクもあります。
それでも「親に会いたい」という気持ちを叶えるためには、時に覚悟を決める必要があります。

 

 

■まとめ

 

今回のケースを振り返ると、次のポイントが見えてきます。

  1. 面会妨害は法的に是正できる
  2. 裁判所は「親の意思」を重視する
  3. 弁護士を通じた働きかけで施設や介護関係者も協力しやすくなる

親と会えない苦しみを抱えている方へ。
どうか「もう無理だ」と諦めないでください。
法的な手段を取ることで、状況を変えられることはあります。

 

あなたの「会いたい」という思いは正当であり、守られるべきものです。
その気持ちを大切に、次の一歩を踏み出していただければと思います。

 

 

 

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